給与が上がらず、銀行にお金を預けておいても増えないなか、お金を守り、増やしていくのに有効な方法の一つは「節約」です。すぐ思いつく「住居費」「電気代」「水道光熱費」「スマホ代」「生命保険」「クルマ」等以外にも、節約ポイントはいろいろとあります。FPの頼藤太希氏と高山一恵氏が、著書『1日1分読むだけで身につくお金大全100 改訂版』(自由国民社)から、節約で盲点となりやすい重要ポイントを解説します。

固定費は“まだまだ”減らせる!

「住居費」「電気代」「水道光熱費」「スマホ代」「生命保険」「クルマ」といった典型的な固定費以外にも、節約できる費用はまだまだあります。

家の固定電話は月2,000円前後と、スマホ代よりは安いかもしれませんが、使っていないなら完全に損です。固定電話とセット契約で安くなるサービスもありますが、これも不要でしょう。

日本経済新聞の定期購読も、実は無料にできます。証券会社の楽天証券に口座開設(口座開設自体も無料)すると無料で使える「日経テレコン(楽天証券版)」では、日経電子版に掲載されているニュースが読めます。

毎月4,277円、1年で5万1,324円もの節約ができます。スマホでも読めてとても手軽です。NHKの受信料はまとめ払いがお得です。[図表1]を参考にしてみてください。

クレジットカードの年会費は「初年度無料」となっているケースが多いものです。

2年目からは解約しない限り年会費がかかるにもかかわらず、そのことを忘れて無駄な年会費を支払っている場合もあります。使っていないクレジットカードは解約しましょう。

音楽聴き放題や動画見放題に代表されるサブスク( サブスクリプション)サービスも固定費です。もし複数加入しているならば、どうしても使うものだけにして、その他は思いきって解約しましょう。サブスクについてはこの次に改めて述べます。

 

■チェック!

固定費はとにかく細かくみて徹底的に節約しましょう。月1,000円の節約でも年1万2,000円。無駄な出費をできるだけ減らしましょう。

サブスクをたくさん契約していない?

サブスクは、月々一定の会費を支払うことで、商品が定期的に手に入ったり、サービスが使い放題になったりするサービスのことです。

サブスクのサービスは多岐にわたっています。動画・音楽・電子書籍といったサブスクは[図表2]のとおりです。

このほかにもゲーム・コスメ・バッグ・洋服・食事・食材・花・掃除など、日常のさまざまな分野に、サブスクのサービスが広がっています。

サブスクは確かに、使いこなすことができればお得です。

しかし、契約しても使っていないのでは無駄。

クロスマーケティング「サブスクリプションに関する調査(2021年)」によると、サブスクを「定額分以上にしっかり使っている」人は20%、「定額分の元が取れる程度に使っている」人は35%とのこと。

「使っているが定額分の元は取れていない」19%と「あまり使えていない」25%の人は、いっそ解約すればいいはずですが、それがなかなか難しいのです。

サブスクを解約しにくいのは、行動経済学の「現状維持バイアス」のせいです。現状維持バイアスは、変化を避けてこのままでいようとする心理のこと。

たとえサブスクを使っていなかったとしても、「いつか使うかもしれない」「使えなくなるのは損失だ」と考えてしまい、解約できなくなってしまうのです。

ですから、ここは思い切って、全部解約してみることをおすすめします。

そうして、実際になくて不便だったサービスだけ再契約すれば、現状維持バイアスも克服して、支出を減らすことができるでしょう。

アンケート調査で判明…「一番の無駄遣い」は?

誰しも、お金を無駄遣いしてしまったという経験はあるでしょう。その中で、一番の無駄遣いだったものは、なんでしょうか。

株式会社エアトリが10~70代の男女843名を対象に行った「お金をかけて良かったもの・後悔したもの」の調査で、「お金をかけ過ぎたかな……と後悔したことがあるもの」の1位は「飲み代」(17.9%)。

2位「食費」(13.8%)、3位「スーツ」(11.5%)と続きます。ちなみに、男性のベスト3はこれと同じく「飲み代・食費・スーツ」ですが、女性のベスト3は「飲み代・洋服・食費」となっています。

とはいえ、何をもって無駄遣いとするかは人によって変わります。男女ともに無駄遣いの槍玉にあげている飲み代だって、気心の知れた仲間との楽しい飲み会の費用ならば、無駄遣いだとは思わないでしょう。

逆に、付き合いで仕方なくいく飲み会の費用は、お金だけでなく時間まで無駄にしてしまったと後悔してしまうかもしれません。つまり、一番の無駄遣いは、「自分にとって価値のない(価値を感じない)ものに対する支出」なのです。

お金持ちは基本的にケチなのですが、お金をまったく使わないわけではありません。予算を守りつつ、自分にとって価値のあるものにお金を使います。

また、お金を使うときにも目先の楽しみにとらわれず、中長期的な視点で考えます。流行の服を買っても、来年には着られなくなるものです。

でも、自分に似合う、本当にいい服を買えば、何年も着られます。お金持ちは、将来の価値を大事にしているというわけです。

お金の無駄遣いを防ぐには、まず、自分なりの価値基準を持ち、普段から価値のあるものだけにお金を使うということが大切です。

頼藤 太希

株式会社Money&You

代表取締役

高山 一恵

株式会社Money&You

取締役

(※写真はイメージです/PIXTA)