現役ドラフトで加入したオコエもチームに貢献している(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 巨人は15日の西武戦(東京ドーム)に3-2のサヨナラ勝ち。延長10回一死一、二塁で梶谷隆幸が移籍後初のサヨナラ打を放ち、試合を決着させた。チームはこれで今季2度目の5連勝、貯金を今季最多の4に伸ばし、交流戦単独首位に浮上、優勝も視野に入ってきた。

 笑顔がはじけた。2-2の延長10回1死二塁から坂本勇人が敬遠となり、一死一、二塁で迎えた打席。梶谷は平井克典の外角フォークを捉えて、左中間へ運んだ。打った瞬間にサヨナラと分かる打球にベンチからナインも飛び出し、喜びを分かち合った。

【動画】移籍後初!梶谷が延長10回一死一、二塁から値千金のサヨナラ打を決めたシーン

 ここまでは苦難の連続だった。DeNAから活躍を期待され20年オフにFA移籍。しかし、度重なる故障に悩まされた。21年10月には腰椎椎間板ヘルニア、22年5月にはリハビリ中に今度は左ひざを痛め手術と、昨シーズン一軍出場は叶わなかった。

 迎えた今シーズン、腰の不安は抱えつつも守備、走塁で全力プレーを欠かさなかった。お立ち台では「まだまだジャイアンツファンの前で活躍する姿を見せられていない。何とかここから挽回して、認めてもらえるよう頑張ります」と声を張り上げた。離脱期間を取り返すべく、継続した活躍を誓った。

 またこの日、光ったのは左腕・中川皓太にもあった。9回、守護神の大勢危険球退場とアクシデントを受けて、同点の9回無死一、二塁のピンチに登板。緊迫した場面も修羅場を潜り抜けてきた男は強かった。

 金子侑司スライダーで空振り三振に取ると、続く古賀悠斗146キロの直球で三ゴロ併殺打に打ち取った。魂の10球で火消しに成功し、思わず渾身のガッツポーズも飛び出し、ベンチでは安堵の表情を浮かべた。

 「8回の男」で知られた左腕も昨年は腰痛のため、一軍登板なし。勝利の方程式が築けずに苦しむチームに責任感を感じていたという。

 リベンジ組の逆襲が目立ったこの試合で光ったのはオコエ瑠偉のワンプレーにもあった。同点で迎えた10回先頭の吉川尚輝が安打で出塁すると、続くオコエはしっかり送りバントを成功させ、好機をお膳立てした。この日も途中出場、最近は激しい外野手争いもあり、定位置は確保できていない。オフに現役ドラフトで楽天から加入。「野球ができるだけで幸せ」というセリフは野球ファンの胸を打った。献身的なプレーで少しでも活路を見出だそうとしている。

 また「勝負は6月」と開幕前から原監督が公言してきたチームで、いよいよ戦力が整備されつつある。リベンジ組の意地を賭けた戦いにも引き続き、注目が集まりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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