6月24日(土)は格闘技ファンを熱くさせる注目の対戦が2試合行われる。日本人初の4階級制覇王者・プロボクサーの井岡一翔が自らの進退をかけて挑む覚悟のリマッチと、那須川天心との「THE MATCH 2022」から約1年の時を経て帰還する“PPV(ペイパービュー)ファイター”武尊の復帰戦だ。共にABEMAで独占生中継される。井岡の覚悟とは…? 武尊が選んだ日本人初の“PPVファイター”の道とは…?各試合の注目ポイントともに紹介する。

【写真】“引退”まで考えていたことを告白した武尊選手

■井岡一翔、WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチでフランコと再戦

日本ボクシング界を牽引するトップファイターの井岡一翔が、2022年大晦日に行われた「WBA・WBO世界スーパーフライ級王座統一戦」で対戦した、WBA同級正規王者のジョシュアフランコと6月24日に東京・大田区総合体育館にて再戦する。WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ『井岡vsフランSANKYO Presents LIFETIME BOXING FIGHTS 15』と題されたこの試合は、「ABEMA PPV ONLINE LIVE(アベマ ペイパービューオンラインライブ)」にて独占生中継される。

1989年3月24日生まれ、身長165cmでスーパーフライ級の井岡。アマボクシングの名門・東京農業大学に進学し、北京五輪代表を目指していたが代表選考決勝で敗れ、プロ転向のため2年で大学を中退。デビューから6連勝で無敗のまま日本ライトフライ級チャンピオンに。日本ライトフライ級王座を世界挑戦のため返上。

国内史上最速記録となる7戦目での世界王座奪取を果たし、平成生まれ選手として初の世界王者誕生となった。また、史上初のWBC・WBAの統一戦にて日本人初のWBC・WBA統一王座に。2012年12月31日に日本人最速の11戦目に二階級制覇を達成、2015年4月22日世界最速での三階級制覇を達成、2019年6月19日、日本人史上初の4階級制覇を果たしている。

輝かしい経歴を持つ井岡は昨年のフランコ戦でドローとなり、WBO王座6度目の防衛、一方、フランコはWBA王座2度目の防衛となった。その後、井岡は、WBO世界スーパーフライ級王者を返上しており、次戦に関して大きな注目が集まっていた。「挑戦する姿をみていただきたいです。必ずチャンピオンに返り咲きます」と宣言し、キャリアをかける覚悟でリマッチに挑む。

■基礎練習と世界戦を積み重ねる井岡は“今が全盛期

井岡は日々の練習時間の大半を圧倒的な量の基礎練習に費やしているという。「人って考えれば考えるだけ動きが遅くなるんですよ、無の方が早い」と語り、究極をいえば試合中には積み重ねた基礎練習によって勝手に身体が動くまでに仕上げていくスタイル。東洋太平洋フェザー級王者の堤駿斗選手は「パンチのフォームだったり、自分が攻撃するときのディフェンスだったり、本当に基礎的なところを極限まで磨いていて。あれは達人の域です」と絶賛している。井岡は「自分の思っている通りに進めたいタイプ」だと自己分析して「車の降り方ひとつでも納得のいく降り方がある」と生活すべてにおいてのこだわりを見せる。

WBC世界バンダム級王者・薬師寺保栄は、「小さい時から知っているし、まさか世界チャンピオンになるとは思ってなかった。試合を何十戦とやってきて、試合の運び方が上手だなと。全盛期のあの時の…ということよりも、年を重ねるごとに試合の運び方がうまくなっていると感じます」と今が最強であると語った。

元WBA世界ライト級王者・畑山隆則、元WBA世界ミドル級王者・竹原慎二、元WBC世界スーパーフライ級王者・川島郭志といったボクシング界のレジェンド3人も、日本人で最も世界戦を経験している井岡選手の強さについて太鼓判を押す。「1番すごいところは経験。キャリアのほとんどが世界戦。世界戦は1試合やるとノンタイトルの10戦くらいの神経を使う。(井岡選手は)100戦くらいやっているみたいな…それが1番の強み」と、その経験値のすごさを明かしている。

技巧派で手堅い試合運びとテクニックが持ち味の井岡が、フランコ相手にどんな試合を見せてくれるのか注目が集まる。

■武尊「引退することを考えた」天心戦からPPVファイターとして復帰

一方、再びリングに上がることを決意した武尊。フランス・パリにて同6月24日(土)に『武尊 復帰戦 Impact In Paris』が行われる。2022年、当時キックボクシングの“神童”と呼ばれた那須川天心に判定負けした武尊は「あの瞬間は本当…引退することを考えた」と心身の回復に努め休養を宣言していたが、「デビューして10年。負けた姿を見せて引退するのは違うかなと思って」とまで回復した。

武尊は2023年3月29日に、ABEMAの専属PPVファイターになったことを発表した。PPVファイターとは日本初の契約で、武尊の場合は1試合ごとに最低保証として破格の1億円が支払われ、視聴チケットの売り上げに応じた追加報酬も発生する。日本ではこれまでなかった動きだが、海外ではすでにある契約システム。武尊も会見で「格闘家や色んなスポーツでプロを目指してゆく選手にとって、未来に繋がるもの。アスリートがもっと認められ、評価され、そこに対しての対価が支払われる。夢のある業界にしていければ。格闘技のワールドカップのような大会を行って、世界中へ配信してもらえたら、さらに発展すると思う」と大きな使命感を持って挑戦することを誓っている。

自身の強さに追い込みをかけて、見る人が必ず満足できる試合を提供するという自信。PPVファイターはそれがある者だけが名乗れるだろう。

■あくまで強気なサグデン「一瞬で終わるさ」

武尊の復帰戦は、“欧州最強”ともいわれ、強引に前に出てくる様子から“ブルドッグ”とも恐れられるベイリー・サグデンが相手。サグデンについて、武尊は「世界トップレベルの選手たちとしのぎを削ってきている選手。日本格闘技のレベルもすごく高いと思っているので、自分の力を図れる機会だと思うし、今回の試合は“対世界”の一発目として良い基準が見える。世界に日本の格闘技界にこんな強いやつがいるんだよっていうのを見せたいと思っています」と勝利へのゆるぎない決意を明かした。

サグデンの方も試合のオファーを受けたときに「最高に興奮したね。アイツは近代史上最強のキックボクサーのひとり。この20年間で最強の日本人キックボクサーだ。試合が待ち遠しくて仕方がない」と語り、「俺の打撃はテンシンよりはるかに強い。倒れたらまず起き上がれない。一瞬で終わるさ、今のままならな」と強気な姿勢をみせている。

6月24日は戦う男たちのボルテージが上がる様子を目の当たりにする1日となるだろう。

井岡一翔のリマッチと武尊の復帰戦は同日6月24日(土)に配信される/(C)AbemaTV,Inc.