『忍風戦隊ハリケンジャー』の20周年を記念した新作Vシネクスト『忍風戦隊ハリケンジャーござるシュシュッと20th anniversary』が、6月16日から、期間限定で上映中。今回は江戸時代を舞台に、ハリケンジャーたちの先祖5名の忍者が、世界を滅ぼす「天翔石」を巡り、“ウラ七本槍”と呼ばれる最強の敵イランダ&アウンジャと激闘を繰り広げる。今回クランクイン!は、本作に出演するハリケンレッド/椎名鷹介・鷹之介役の塩谷瞬、ハリケンブルー/野乃七海・なみ役の長澤奈央、ハリケンイエロー/尾藤吼太・吼太郎役の山本康平カブトライジャー/霞一甲・一角役の白川裕二郎、クワガライジャー/霞一鍬・一牙役の姜暢雄にインタビューを実施。ゴウライジャーの2人を筆頭に、わちゃわちゃトークが繰り広げられた。

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ゴウライジャー、初っ端から大暴れの巻

 取材時間になるとドアの向こうから何やらにぎやかな声が。そして「ハリケンクイズ!」「いえーい!」とクイズで盛り上がるキャストたちが登場すると、一気に取材現場が華やかな雰囲気に変わった。この日、和服姿で取材に応じてくれたキャスト陣。見た目は威風堂々としているのにもかかわらず、学生の昼下がりのテンションで楽しそうに盛り上がるギャップに、思わず笑みがこぼれてしまった。

――皆さん本当に仲が良いんですね!

姜:そうなんですよ! 仲が良いことだけが僕らの取りえです。でもね、昔は皆のことが大嫌いだったんです!

山本:おーい! 冗談ですからね?

長澤:20年も経てば変わったこともあるってことだよね?

塩谷:(笑)。

姜:今は和気あいあいとやってます。ねぇ、兄者!

白川:そう! 和気あ~いあい!

全員:(笑)。

白川:笑ってくれる人がいるから頑張れます。どうも、純烈です。

ーー今のやりとりだけでも皆さんの仲の良さがバシバシと伝わってきました(笑)。さて、今回上映されるのは10周年記念作品『忍風戦隊ハリケンジャー 10 YEARS AFTER』から約10年ぶりの新作であり、シリーズとしては20周年を記念した作品です。制作が知らされたときは皆さんどんな気持ちでしたか?

塩谷:夢のようでした! 本当にこの20年間、役者を頑張ってきてよかったなと思いましたし、こうやって僕たちにとって原点となる作品で、みんなで集まって、しかも新しいキャストも増えて全国上映できるのは幸せなことです。

白川:そうだよね。俳優とは違う道に進む人もいる中で、みんなで集まって、しかも思い出に残る作品をできるのはすごくいいことだよね。

塩谷:うん。また新しい僕らの夢をかなえることができたし、この作品をたくさんの人に見てもらえれば、次の新しい道や未来が開けるような気がします。それに、ここまでくる過程でスタッフの方や、康ちゃん(山本)や奈央ちゃん(長澤)たちが、すごく頑張ってくれたんです。

山本:いやいやそんな…! でも作品になって本当によかった! ここの2人(長澤と山本)はファンのみんなにどんな形でもいいから作品を届けることが目標だったんで、それがもうすぐかなうことがうれしいよね。

長澤:そうだよね。ようやくだね!

姜:何事もなければ上映できるだろうけど…大丈夫かな、みんな?

山本:大丈夫だよ! 怖いこというなよ!

全員:(笑)。

■新作の注目ポイントは、“鷹之介”塩谷の酔っ払いシーン!?

――(笑)。そんな思いがこもった作品で、久々にハリケンジャーゴウライジャーに変身した皆さんが、“名乗り”を披露する姿は思わず感動してしまいました。今回は江戸が舞台ということでこれまでとは違う環境だったかと思うのですが、演じる際どんな思いでしたか?

長澤:今回は舞台となる江戸時代に合わせて、和服でお芝居をすることがメインだったので、シノビジャケットを着るシーンが少なかったことが新鮮でした。それに、ハリケンジャーではない新しいキャラクター、大江戸ハリケンレッドがいたことも新しい感覚で楽しかったです。

白川:監督やスタッフさんは当時の方が多かったので、そういう意味でも懐かしさを感じる現場でしたね。

塩谷:僕らは、忍者は忍者でも“現代忍者”だったので、200年前の大江戸で本当に忍者がいる時代で時代劇をやれたのも新鮮で楽しかったです。今、時代劇ってないじゃないですか? だから、忍者をよく知らない子供も多いと思うんですよ。そういう子たちが本作を見て「忍者って何?」「江戸って何?」「あの格好したい!」と思ってもらえたら、今作を作った意味があるのかなって思ってます。

山本:もちろん名乗らせていただいたり、変身したりするシーンもありますしね! 相変わらず合わないところは合わないし、合うところは合うという(笑)。ただ「みんないくぞ!」というレッドの声から「おー!」って声をかけると、絶対合うことが20年越しに分かりました(笑)。

――今作で「ぜひ注目してほしい」「ここが面白い」というポイントはありますか?

白川:そうですね。やっぱり塩谷さんが酔っ払いという設定にもかかわらず、全然酔っぱらっていないお芝居が面白いですね! 見どころです!

姜:やっぱり塩谷さんですかね! ト書き(セリフ以外の指示書き)に「酔っぱらっている鷹之介」って書いてあるシーンで、(酔っぱらっていることを)完全に無視しているところがあるんですよ。

塩谷:うるさいわ(笑)!

――ぜひ注目したいと思います(笑)。ハリケンジャーの皆さんの注目ポイントはどこでしょうか?

山本:俺はやっぱハリケンジャーの先祖を1人2役で演じるという設定のおかげで、ハリケンイエローと共演できたシーンですかね。普通ならありえない絵なので、うれしかったです。

長澤:私は西田健さん(日向無限斎/ハムスター館長の声)、高田聖子さん(日向おぼろ)、そして『シュリケンジャー』の声を担当していた松野太紀さん(長尾聡之心)が顔出しで出てくださって、5人だけではない当時からのレギュラーメンバーが大集結したのが一番の見どころかなと思いますね。

塩谷:あと、陽月華さんが新しいオイランダというキャラクターを演じてくれたことも、ハリケンジャーが大江戸に行く魅力がすごく深くなったポイントだと思います。そして、木村葉月さんがおぼろさんの弟子・雲母坂(きららざか)として入ったり、羽瀬川なぎさん演じる照姫がゴウライジャーの魅力を引き出したりと、新しい王道の戦隊になっているような気がして、そこも注目ポイントです!

■念願のオーディション合格に初主演…『ハリケンジャー』が変えた人生

――ありがとうございます。最後に皆さんにとって『ハリケンジャー』はどんな作品になったか教えてください。

白川:芸能界に入ってオーディションをめちゃくちゃ受けまくってたんですけど、ことごとく落ちてたんですよ。『ハリケンジャー』は、「受からなかったら辞めよう」と思っていた作品で、自分の人生を変えてくれた作品でもあります。そして、今こうしてこの場に立たせてもらえているのも『ハリケンジャー』という作品のおかげ。自分としては命の恩人のような存在です。

姜:僕も同じようにオーディションに落ちまくっていて、このオーディションに落ちたら「もう向いてないな」って辞めようと思っていました。それが、ゴウライジャーとして使っていただいて、自分の人生の中で見える景色がどんどん明るくなっていって、いろいろな作品に出させてもらえるようになったりして…本当にいい意味でこの腐れ縁が続けばいいなと思いますね。大事なものです。

山本:逆に俺は初めてのオーディションで、この世界に入るきっかけが『ハリケンジャー』でした。ほかを知らないまま始まった芸能生活だったので、10年、20周年とやらせてもらえたことも本当に宝だと思っています。『ハリケンジャー』を通じて出会えた人たちはファン、共演者、スタッフ、みんなが大切で、かけがえのないものだと今でも思っています。

長澤:私は当時高校生だったので、学校に行くような感覚で撮影所に通っていて、『ハリケンジャー』としての活動は「楽しい」の一言でした。中には大変なこともいっぱいあったけれど、本当に楽しくて充実した18歳を過ごすことができて、そこで出会えたものが全て財産になって…きっと私は誰よりも『ハリケンジャー』のファンなんです。だから10周年をやりたいと思ったし、20周年も「何がやりたい?」って聞かれたときに、「大好きなメンバーと楽しいことがしたい」っていうのが自分の中にありました。とっても大事な作品です。

塩谷:僕は15歳で東京に出てきて、一度関西の文化を学んで再度、東京に来た時に「一年で決まらなかったらアメリカに行こう!」って航空チケットを買って芸能界に挑みました。そこから10ヵ月、事務所に毎日通って稽古して、初めて芝居で声をかけてもらったのが『ハリケンジャー』のオーディション。主演デビューさせていただいて、俳優として一から全部教わって、テレビ、映画、舞台、イベント、CM、一通りやらせもらって…何も知らなかった自分を「俳優にさせてもらった」作品です。すごく意味と愛のある作品に出会い感謝しています。

 そして、ここにいる仲間たちは、戦友であり、家族のような関係です。10周年の時も思いましたけど、こうして20年経っても一緒に時を過ごせる仲間ってすごく大事だなと思って。本当にこの作品に出会えたことに感謝していますし、本作が新しい何かを生み出す次の力になればいいなと思っています。

 取材が終わると「楽しかったー!」「ちゃんと使えるところあった?」と現場を後にしたキャスト陣。『ハリケンジャー』としての活動を心から楽しんでいる姿が印象的で、作品が面白いのはもちろんのこと、この楽しむ気持ちが10年、20年と愛される理由の一つなのだろうと感じた。願わくは30年、40年先もキャストたちが『ハリケンジャー』であることを楽しむ姿を見続けたい。

(取材・文:河内香奈子 写真:小川遼)

 Vシネクスト『忍風戦隊ハリケンジャーござるシュシュッと20th anniversary』は、6月16日から期間限定上映。10月25日にBlu‐ray&DVDリリース。

『忍風戦隊ハリケンジャー』に出演する(左から)姜暢雄、白川裕二郎、塩谷瞬、長澤奈央、山本康平  クランクイン! 写真:小川遼