乃木坂46山下美月と注目の俳優・鈴木仁がW主演を務めるドラマプレミア23「さらば、佳き日」(毎週月曜夜11:06-11:55、テレビ東京系)の第1話「いつかもっと好きな人が現れる」が6月12日に放送された。

【写真】笑顔で兄と話す晃(山下美月)だが、“秘めた”思いを抱える…

■仲睦まじい兄妹が“新婚”と偽り新生活をスタートさせる

原作は「ひだまりが聴こえる」(“文乃ゆき”名義)でも人気を博した茜田千の同名コミックで、「このマンガがすごい!2017」オンナ編にもランクインしている。絵本の出版社に勤務しているドジで情けない広瀬桂一(鈴木)と、保育士として働く頼りがいがある広瀬晃(山下)。2人は“新婚夫婦”として新しい生活をスタートさせたが、誰にも言えない秘密があった。それは2人が“兄妹”だということ。この物語は、誰にも言えない秘密を抱えながら生きる2人の純愛ラブストーリーになっている。

■隣人に「新婚さん?」と聞かれ「新婚です」と答えた晃

第1話は、新居に2人が引っ越してきた場面と、現在の状況に至る起点となった6年前のことが描かれている。

2023年春、桜の花びらが舞う季節に新居に越してきた晃と桂一。表札に2人の名前が並んでいるのを見る晃の表情が、“ここまでにいろんなことがあったけど、やっと…”という気持ちを物語っていた。

これまでにも「電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-」(テレビ東京)や「映像研には手を出すな!」(MBS/TBS)、連続テレビ小説舞いあがれ!」(NHK)、「弁護士ソドム」(テレビ東京)などのドラマに出演してきた山下。作品ごとに演技の幅を広げ、表現力もどんどん豊かになってきている。「さらば、佳き日」でもこれまでの経験を生かした様々な“心情表現”が多く観られるので、そこが大きな見どころと言えるだろう。表札を見た時の感慨深げな表情もその一つ。

引っ越しして早々に隣人に遭遇し、「仲良しそうね。随分お若いでしょう。新婚さん?」と聞かれ、少し考えて晃が出した答えが「そうなんです。新婚です」だった。引っ越し蕎麦を取りに行った桂一がドア越しに聞いていることも晃はわかっていたはず。それでも「兄妹です」ではなく「新婚」と答えたことに、晃の引き返せない、引き返したくないという“覚悟”も感じられた。

そのすぐ後、部屋に入った時に桂一が晃を抱き寄せ、「何ですか?」と驚く晃に「だって、新婚さんでしょ?」と言われ、キスする仕草に戸惑ったり、2人の距離感が気になる場面も多く見られる。

■兄・桂一の大学の女友達に嫉妬「私もあんなふうになりたい」

話は6年前に遡り、2017年の春、晃は高校生で桂一は大学生。両親が仕事の都合で海外にいるため、兄妹だけの生活を送っていた。効率よく家事をするのが好きな晃は、しっかり者で世話好きというのはこの頃から変わっていない。

兄との2人暮らしで何の不満もない生活を送っている中、桂一が大学の友人・岡田敦子(高月彩良)を家に連れてくるという晃の心を乱す出来事が起こった。自分より大人っぽくて、桂一と親しげに話す様子に、2人の前では平静を装いながらも不安と嫉妬心が…。

そのことを唯一相談できるのは親友の森珠希(加藤小夏)。珠希は父親との2人暮らし。母親が家を出ていき、父親は元気をなくし、珠希の心の中にも影を落としていた。そんな珠希の心の支えが、牧嶋剛(伊藤あさひ)。桂一と同じ学校に通う大学生で、珠希と同じ棟のアパートに住んでいる“幼なじみ”という存在。剛は珠希を妹のように可愛がるが、珠希はどうやらそれ以上の感情を抱いている様子。晃と桂一の2人の関係性とは種類は違うが、珠希と剛の関係性というのも気になるところ。

晃は「すごくキレイでいい匂いがした。私もあんなふうになりたい」と敦子のことを桂一に話すと、桂一は「晃は変わらなくていい。そのまんまでいい」と言って頭を撫でた。その言葉を聞いた晃は「好きだよ」と思いをストレートに伝えた。

今回のタイトルは母親(小沢真珠)の「晃には桂一よりももっと素敵な人が現れるわ」という言葉からきている。小さい時に聞いたその言葉は晃の中にずっと残っていて、まるで“呪縛”のようなものになっているように感じる。

第1話を見て印象的だったのは晃の表情と仕草。言葉以上に表情の変化や手に力が入ってしまうなどのちょっとした動作から、晃の気持ちが多く伝わってきた。

“新婚”と偽る兄妹という複雑な関係だけに、繊細な気持ちの揺れや変化を見つけることでこの物語をより深く理解することができるのではないだろうか。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

兄・桂一(鈴木仁)に恋心を抱く妹・晃を演じる山下美月/(C)「さらば、佳き日」製作委員会