【家電コンサルのお得な話・131】 2023年6月2日参議院本会議で「改正戸籍法」が賛成多数で可決・成立し、24年度に施行の見込みである。これにより、戸籍法第13条に規定する戸籍の記載事項として「氏名をカタカナ等で表記した読み仮名」が追加されることとなった。「キラキラネーム」の制限も注目だが、それ以上に気になるのが、全国民が施行から1年以内に読み仮名表記の届け出をしないと、自治体による推測の読み仮名で登録されてしまう可能性があることだ。

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●「キラキラネーム」は施行日からの申請で制限



 今回の戸籍法の改正で注目を集めているのが、氏名の仮名表記の許容性および氏名との関連性に関する審査について、戸籍法に「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」という趣旨の規定が設けられたことである。

 いわゆる「キラキラネーム」と呼ばれる個性的な名前(漢字の本来の読み方とは全く違う読み方の名前等)を付けることが、改正戸籍法の施行日からの申請では制限される。

 また、カタカナでの読み仮名表記は戸籍を持つ全国民が対象となるが、その登録の一部に関して記載しているのが図1である。さらなる詳細は法務省の「法制審議会-戸籍法部会」のホームページを参照してほしい。いずれにせよ、これから戸籍に記載される「氏または名が初めて戸籍に記載される者」については、届け出時に読み仮名表記も申請できるので、一般的な読み方であれば特に問題はないだろう。


●届け出を放置したら自治体が「誤った読み仮名」で登録!?



 注意を要するのが、「既に戸籍に記載されている者」についてである。

 この場合の届け出の流れを簡単に記せば、

・全国民は改正戸籍法の施行日から1年以内に読み仮名表記の届け出が必要になる。

・これを放置して1年が経過すれば、本籍地の自治体が職権で「おそらく、こう読むのだろう」という読み仮名表記を登録する。

・この登録が違えば、「一度だけなら、家庭裁判所の許可がなくても変更できる」

 ――というものである。

 例えば筆者の場合、堀田 泰希(ホッタ ヤスキ)という読み仮名であるが、届け出を放置し、1年が経過すれば、自治体が「ホリタ タイキ」と判断して登録する可能性があるのだ。このように自治体の登録が誤っていた場合、一度だけなら、届け出だけで変更できるということである。

 この変更も放置すれば、登録は「ホリタ タイキ」となってしまうため、何らかの行政サービス等を受けるときに「検索しても引っ掛からない」等の不都合が生じる。さまざまな行政サービスの手続きにおける混乱も予想される。

 要綱には、「自治体が判断した読み仮名表記を登録する場合には通知せねばならない」ことが記載されているが、この件を始めとして、自治体からの各通知には必ず目を通し、速やかに対応していただければと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
「改正戸籍法」の要綱案(氏名の仮名表記の収集に関する事項)の抜粋