いつも輝く笑顔を見せるアイドルも、苦悩する。日向坂46の一期生・加藤史帆も例外ではなく、水着カットやランジェリーカットに挑戦した1st写真集『#会いたい』(小学館)で見せる表情とは裏腹に、自身のブログで日々の葛藤を吐露したことがあった。それでもなお、仲間のポジティブな言葉に支えられながら活動を続ける彼女が、胸の内に秘めていた思いとは。写真集の撮影秘話、卒業を控える同期の影山優佳との思い出、自身の卒業に対する考えとともに聞いた。

【写真】色白美脚も 加藤史帆の撮り下ろしショット&水着姿など1st写真集先行カット

■数年越しでようやく叶った憧れの地・ハワイでの写真集撮影

 加藤史帆1st写真集『#会いたい』は、彼女が「訪れたい!」と願っていたハワイ・オアフ島で全編を撮影した作品。南国らしい太陽の光を浴びて、海辺やプール、カフェ、ホテルでのびのびと過ごす表情を余すことなく収録し、水着カットやランジェリーカットにも挑戦している。

――写真集出版のお話を聞いた当時の心境から、伺います。

加藤:「体のコンディションを整えなきゃ」と思いました(笑)。ツアー中でもあったので、ダイエットはせずに撮影へ向かったんですけど、写真集は形として残るし、このお仕事をやっていなければ出せないものだし、家族もおひさま(ファンの愛称)も宝物にしてくれるはずだから「頑張らなきゃ」と気合いを入れました。

――お話があったのは、コロナ禍になる前だったそうですね。

加藤:そうです。でも、コロナ禍で海外へ行けなくなってしまって、国内の選択肢もあったけど「ハワイへ行きたい」とスタッフさんにずっとお願いしていたんです。わがままだったかもしれないけど、スタッフさんのご厚意で「海外へ行っても大丈夫!」となったタイミングで、実現していただきました。

――実際、撮影へ向かったのはいつですか?

加藤:全国ツアー(日向坂46 Happy Smile Tour 2022)中にひっそりと…(笑)。メンバーもおひさまも気付いてなかったと思います。「明日からハワイ」と言わず、フラッと行ったので、「いつ行ったの?」とビックリしていました。

――写真集発表記念のSHOWROOM配信では「日焼け止めを塗らなかった」と明かしていましたが、日焼けしていたらバレそうですよね…?

加藤:そうなんです、日焼けしちゃって。実は、いまだに腕とかに日焼けの跡が残っています(苦笑)。元の肌が白めなのでメンバーにはバレなかったんですけど、メイクさんからはファンデーションを塗っているときに「焼けたね」と言われました。

■水着カットの撮影では日常的なスタイル維持が役立った


――撮影地のハワイは「小学生以来」に訪れた、憧れの地だそうですね。当時の記憶はありますか?

加藤:あります。当時、親がいろいろな場所へ旅行に連れていってくれて、その1つが人生初の海外になったハワイでした。幼かったけど空港で降り立ったときに感じた日本とは違う空気の香り、海のきれいさも覚えていて、とにかく何もかもが新鮮だったから「絶対にまたいつか行きたい」と思っていました。

――大人になってから訪れた現地は、見え方も変わったのではないかと。

加藤:変わりました。幼い頃は非現実的過ぎて、テーマパークのような感覚で楽しんでいたので。あと、当時は偏食がひどかったんです。食わず嫌いもひどくて、現地の食べ物を味わえなかったんですけど、今回の撮影で食べたらおいしくてイメージが変わりました。

――撮影以外の時間も、満喫できましたか?

加藤:帰国する最終日は飛行機のフライトまで時間があったので、パンケーキ屋さんに行きました。あと、写真集の読者プレゼント用のアイテムを買うためにおみやげ屋さんへ行って、パジャマとかマグカップとかを購入しました。

――読者プレゼントは悩みました?

加藤:悩まなかったです。私が「おみやげでもらえたらうれしい」と思うものを、パッパッと選んで。生活のそばに置けるものを選んだので、いつでも私を感じてもらえたらうれしいです(笑)。

――(笑)。事前にダイエットをしていなかったとは、意外です。

加藤:全国ツアー中で日々体を動かしていましたし、雑誌「CanCam」(小学館)の専属モデルをさせていただいているので、日頃から体に気を使っていたのも大きかったです。

――日常的に、スタイル維持を心掛けているんですね。

加藤:日向坂46の制服がバロメーターになっていて、ウエストぴったりに作ってもらっているので、ちょっとでもお腹が出るときつくなるんです。衣装を着て「ちょっと危ないかも」と思ったら寝る前に腹筋したり、こまめにやっています。

――その努力は写真集の水着カットやランジェリーカットにも生きています。ただ、「鬼シャイガール」と自称するほどですし、恥ずかしさもあったのかなと。

加藤:以前、グループの写真集『日向坂46ファースト写真集 立ち漕ぎ』(新潮社)で、上着を羽織りつつの水着カットやランジェリーカットはあったので、段階は踏んでいたんです。今回の撮影では、最初は恥ずかしかったけど、カメラマンさんが「CanCam」でお世話になっている方でしたし、ハワイの開放的な土地柄もありオープンな感じで撮影できました。成長できたので、今年の夏は苦手なノースリーブも着られそうです(笑)。

――(笑)。「鬼シャイガール」も克服できました?

加藤:たぶん。帰国後、「CanCam」の撮影で「写真集を経験するとこんなに変わるんだ」と、編集部の方に言われたんです。実感はないけど、いろいろな表情ができるようになったみたいで。グループに加入した当初はカメラが怖くて、カメラに向かって笑うことすらできなかったのに、写真集の力も借りて、人間としても変わったと本当に思います。

■不安や焦りがあった時期も 今は「お仕事ができる喜びを感じている」


――写真集発売記念のSHOWROOM配信では、3月に卒業したラジオ番組『レコメン!』(文化放送/毎週月曜〜木曜)で4年間共演したオテンキのりさんにも「見せたい」と話していました。じかに報告できましたか?

加藤:まだ報告できてないし、写真集も渡せていないんです。今一番、渡したい人かもしれません。

――そんなのりさんと出会った『レコメン!』は、どんな番組でしたか?

加藤:根っからの臆病だから、ラジオも最初は怖くて「私が担当していいのかな」と不安だったんです。でも、4年間でのりさんにトークを鍛えてもらい、しゃべれるようになりました。スタッフの皆さんも優しかったし、日向坂46と同じくらい素でいられる現場だったので、卒業は悲しかったです。

――毎週、自分の思いを吐き出せる場所としても重要だったのではと思います。

加藤:本当にそうです。怒っているときは怒ったまま話していたし、深夜の空気やのりさんに甘えていたので、スタッフさんはヒヤヒヤしていたと思います(笑)。それから『レコメン!』を通じて、ラジオも好きになったんです。ラジオって台本通りではなく、その時々の感情や思っていることを聴けるのがリスナーとしても面白いので、自分もいろいろな感情を出していました。

――番組卒業後は、思いを吐き出せていますか?

加藤:「CanCam」でモデル仲間のめるる(生見愛瑠)と仲が良くて、話しているとポジティブになれるし、助けられています。あと、グループのキャプテンで同期の(佐々木)久美さんにも、思いを打ち明けていて。私はたまに、エヴァンゲリオンの主人公・碇シンジくんのように「もうダメだ」とつぶやくモードになってしまうときがあるんです(苦笑)。そんなときは、めるるや久美さんのようなポジティブな人に「今、こういうことで悩んでて…」と吐き出して、「大丈夫だよ!」という言葉を頂いて、前向きな気持ちを復活させています。

――3月のブログでは「自分の気持ちとかあまり書いてなくて」と前置きしながら、自身のアピールに「苦戦している」など、そのときの不安を吐露していました。

加藤:そのブログを書くまでは、更新も怖がっていたんです。最近は「デジタルタトゥー」という言葉もあるし、文字に残ってしまうと考えたら怖くなってしまって…。素直な気持ちを吐くと「誰かに笑われる」と考えるほど被害妄想もすごかったけど、発信しないと何も変わらないと思って書いてみたら、ブログも更新しやすくなりました。

――心の中で、不安や焦りがあった時期でもあったんでしょうか。

加藤:それもありました。2022年の終わりにクリスマスライブの「ひなくり2022」や『NHK紅白歌合戦』があり、お正月にお休みを頂いて「よし、頑張るぞ!」と思った矢先、1月〜3月はグループでの目立った活動があまりなかったんです。「来年は勝負の年だから頑張ろう!」とグループのみんなで話し合った年のスタートがその状況だったので、「どうしよう…」となっていたと思います。

――心情を吐露したブログから約3ヵ月。現在の気持ちは?

加藤:最近は『ラヴィット!』(TBS系/毎週月~金曜8時)のロケや『オオカミ少年・ハマダ歌謡祭』(TBS系/毎週金曜19時)などに呼んでいただけるようになり、幸せな日々を送っているし、お仕事ができる喜びを感じています。

■卒業はいつか「そろそろだよ」とささやく妖精が来たら


――グループではまもなく、加藤さんと同期の影山優佳さんが卒業します。影山さんは大きな音へ過敏に反応してしまう「耳の特性」を理由に卒業を決断しましたが、その思いをどう受け止めましたか?

加藤:ライブに参加できず苦しんでいる姿を間近で見ていたので、卒業と聞いたときは「そうだよね」と素直に受け入れました。サッカークイズ番組での活躍もあり、世間の方は「頭が良くてしっかり者」と思うかもしれないけど、私たちは「おっちょこちょいの末っ子」と思っているので、1人になるのは心配です(笑)。でも、ずっとお友達ですし、卒業後もご飯へ行ったり、遊んだりできればと思います。

――同期の絆ですね。影山さんが苦しんでいるとき、加藤さんはどのように寄り添っていたのでしょうか?

加藤:私は口下手なので、声を掛けるよりはそばにいようと思っていました。苦しんでいるときは、背中をさすったり。仕事帰りで「1人で夕飯を食べるのは寂しいかな」と思ったときには誘って、一緒にご飯を食べました。かげ(影山)の家にフラッと遊びに行ったこともあるんです。かげは料理がめちゃくちゃ上手で、おいしいご飯を作ってくれました。

――ほほ笑ましいです。一方、加藤さん自身は卒業についてどんな思いがありますか?

加藤:おひさまから言われますし、インタビューでも聞かれることが増えました。でも、悲しくなります。計画的に生きるのはすてきだと思いますけど、私は未来を想像できないタイプなので、今は頂いていることを全力で頑張りたいです。卒業のタイミングには「そろそろだよ」とささやく妖精が自分のもとに来ると聞いたことがあるので、自分の卒業はそのときかなと思っています。

――妖精が来るというのは、誰に聞いたんでしょう?

加藤:坂道グループを卒業した先輩です。それを聞いて納得して「妖精が来るまで頑張ろう」と思いました。今は、日向坂46をもっともっと大きなグループにしたい気持ちが強いし、昨年、東京ドーム公演という大きな夢を叶えたんですけど、ドームツアー国立競技場でのライブも夢見ているので、すべて叶えてから卒業は考えたいです。

(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:上野留加)

 日向坂46加藤史帆1st写真集『#会いたい』は小学館より6月20日発売。価格は2200円(税込)。

日向坂46・加藤史帆  クランクイン! 写真:上野留加