2023年6月9日に、『Summer Game Fest 2023』が開催。本イベントでは、日本はもちろん、海外を含めたさまざまなゲームタイトルの最新情報が発表された。

【画像】冒頭から前作ラストシーンと相違があり、謎が深まるトレイラー映像

 「ソニック」シリーズの最新作である『ソニック スーパースターズ』の発売決定、童話『ピノッキオの冒険』をテーマにしたアクションゲーム『Lies of P』の体験版配信など、同イベントは多くの情報で沸き立った。なかでも、筆者が注目したのは『ファイナルファンタジーVII リバース』(以下、『FF7リバース』)だ。

 『FF7リバース』は、2020年に発売された『ファイナルファンタジーVII リメイク』(以下、FF7R)の続編にあたる作品。1997年発売のオリジナル版『ファイナルファンタジーVII』をリメイクする新シリーズの第2弾として、2024年初頭の発売が予定されている。

 そんな本作の新トレイラーが、今回の『Summer Game Fest 2023』で公開。3分25秒の映像中には、今後のストーリー展開を示唆する意味深長な描写やセリフが散見された。本稿では、その内容について解説・考察をしていきたい。

※なお、一部『FF7R』のネタバレを含むためその点はご了承願いたい。

■爆発炎上するミッドガル 搬送されるバレットたち

 トレイラーの冒頭では、炎上するミッドガルが映し出される。アナウンサーのセリフから察するに、「竜巻」によってミッドガルの零番街や弐番街が被害を受けたようで、ティファバレットレッドXIIIエアリスらが搬送されていた。前作『FF7R』の終盤では、クラウドを含めた仲間たちはミッドガルを脱出していたはずなので、彼らが倒れている姿が出てきたのはなかなか衝撃的だ。

 とはいえ前作の内容を見る限りでは、リメイク版『FF7』のストーリーは、原作とは違った展開が起こる可能性が示唆されており、さらに物語上には少なくともふたつの世界線のようなものがあることもわかっている。バレットたちが搬送されている光景は、そうした世界線のなかの一部かもしれないし、あるいは“仲間の誰かが見た悪夢”という形の、いわゆるミスリードであるかもしれない。

 続いて、ミッドガルを抜けた一行が外の世界を冒険するシーンへ。住宅街や工業地帯が大半だったミッドガルから一転、花畑や海、森林が広がっていて、そのギャップが印象的だ。

 さらに、宇宙が映し出された幻想的なシーンも確認できた。オリジナル版でも登場したコスモキャニオンで、ブーゲンハーゲンという老人から話を聞くイベントだろう。映像としては10秒くらいのものだが、場所の奥行や宇宙の表現、なによりブーゲンハーゲン本人の質感の進化は凄まじかった。

 その後は、クラウドたちの前に立ちふさがるセフィロスの話をはじめ、どこかへ向かう黒づくめの集団、バレットレッドXIIIの共闘など、今後の展開を匂わせるシーンが連続する。タークスの新人であるイリーナも登場し、先輩のルードタッグを組み、クラウドたちと激闘をくり広げていた。

■「ティファは“俺”が殺したはずだ。ならばあれは誰だ」 台詞に込められた謎に注目

 ここからの映像はバトルが中心に。大剣を振るうクラウドや接近戦を仕掛けるレッドXIIIのほか、ティファエアリスによる連携技らしきものも。さらに一連の流れのなかには、船倉のような場所でセフィロスの変異した姿をとる敵と戦う場面もあった。オリジナル版になぞらえるなら、おそらく「ジェノバBIRTH」とのボス戦だろう。

 さまざまなシチュエーションのバトルには見ごたえがあったが、それぞれの画面上に表示された目的地への距離にも注目したい。400メートルや1キロに始まり、さらに11キロという途方もない距離も示されていた。フィールドの規模を踏まえると、本作はオープンワールドになっている可能性もありそうだ。

 オープンワールドと一口に言っても、どれほどの自由度があるかは作品による。しかし、ストーリーを重視している本作であれば、『DEATH STRANDING』や『Ghost of Tsushima』のような、「ストーリーの順序は固定でそれ以外は自由」というタイプのほうがふさわしい気はする。

 映像の最後には、ニブルヘイムの魔晄炉でセフィロスと対峙するティファの姿も。ティファセフィロスの刀を使って斬りかかるが、あえなく返り討ちにされる。本編の7年前の出来事なので、おそらく回想シーンとして挿入されているのだろう。オリジナル版にも同様のシーンがある。だがここでセフィロスは、「ティファは俺が殺したはずだ。ならばあれは誰だ」と言う。

 リメイク第1作の時点でティファは生きている。オリジナル版をなぞる形でクラウドと再会し、ミッドガルを牛耳る神羅カンパニーと戦った。つまり、セフィロスが嘘をついているのか勘違いしているのか。あるいはセフィロスが本当のことを言っているのなら、本作のティファは“別人”ということになる。

 個人的な見立てでは、セフィロスが嘘をついている可能性は低いように思う。さきほどのセリフで、彼は自分のことを“俺”と言ったからだ。セフィロスは『FF7』本編でこそ自分を“私”と言っているが、それは自身の出生を知り、ジェノバと星に執着するようになって以降の話。その前の一人称は“俺”で、『クライシスコア ファイナルファンタジーVII』では親友のアンジールやジェネシスと普通に話していたし、後輩のザックスにも気を使えるいい先輩だった。“俺”と言うセフィロスは、正気だったころの自分を取り戻している可能性がある。

 記事の冒頭でも書いたように、前作『FF7R』では少なくともふたつの世界線があることが示唆されていたため、ティファの生死についてもその影響なのかもしれない。

 『FF7リバース』の発売は2024年の初頭。現時点で原作のどこまでが描かれるのかは不明だが、ディスク2枚組であること、『FF7』自体のリメイクシリーズ自体が3部作を予定していることなどから、今回も相当なボリュームになるだろう。オリジナルと違う展開を示唆した前作を踏まえて、今後どのようなストーリーになっていくのか、いまから楽しみだ。

(文=夏無内好)

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