全仏で予期せぬ騒動に見舞われた加藤。彼女に下された裁定はいまだ波紋を広げている(C)Getty Images

 世間を騒然とさせた失格処分に、意外なところから興味深い意見が展開された。

 物議を醸したのは、今月4日に行なわれたテニスの4大大会「全仏オープン」の女子ダブルス3回戦での一コマだ。アルディラ・スーチャディ(インドネシア)とペアを組んだ加藤未唯(ザイマックス)は、第2セットの途中に相手コートへ返球。しかし、これがボールガールの頭部を直撃してしまったのである。

【動画】波紋を広げた加藤の失格騒動。 ボールガールが涙したボール直撃の瞬間をチェック

 直後に「わざとやったんじゃありません」と加藤本人から説明された主審は最初に「警告」を発するにとどめていた。がしかし、痛みと驚きから涙するボールガールを見て、対峙したマリエ・ブズコワとサラ・ソリベストルモ(チェコスペイン)が猛抗議。結局、スーパーバイザーも介入する事態となり、加藤とスーチャディは失格となった。

 後日に加藤は失った賞金とツアーのポイント回復を求めたが、全仏側は訴えを却下。世界中から批判の声が集まってもなお、「ボールガールがあんなに長い間泣いているのを見ると、何らかの決断をしなければならない」(大会ディレクターのアメリ・モレスモ氏談)と姿勢を崩さなかった。

 この一大騒動で奇しくも脚光を集めてしまったボールキッズ。その危険性を熟知する元経験者が持論を語っている。ベルギーテニス専門サイト『Tennis Plaza』で、フリースタイルテニスオランダ代表であるスタイン・ヴァン・ドミニクは「カトウへの決定は正しいものだったと思う」と口にした。

 何を隠そう、過去にボールキッズを務めた経験を持つヴァン・ドミニク。その危険性も熟知する彼は今回の騒動を「正直に言ってしまえば、複雑な気持ちだよ」と吐露。そして、次のように続けた。

「あの瞬間、カトウが相手に無意識にボールを打ってしまったのは確かだと思う。でも、大会としてはどこかで線を引かなければならないんだ。だから、彼女とペアの人が失格となるのは正しいと言えるよ」

 さらにヴァン・ドミニクは語る。2020年の全米オープンで、ノバク・ジョコビッチが線審にボールをぶつけてしまって失格処分となった騒動を引き合いに出した彼は、「もちろん警告だけという決定もありえるが、ジョコビッチだってわざとでなくても失格になった」と強調。そして、「トッププレーヤーはどうしてしまったらダメかを把握している。どのケースに陥ったら退場になるかってルールもね。だから、いかなる時も自分をコントロールすべきだ」と訴えた。

 いまだあらゆる意見があげられる今回の騒動。テニス界には、同様の問題が起きないためにも、何らかの解決策が求められそうだが……。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

加藤未唯の失格騒動に新たな意見噴出!元ボールキッズが「失格は正しかった」と訴えた理由とは?