Blackmagic Designによると、新作ドキュメンタリー「Bad Like Brooklyn Dancehall」の編集、グレーディング、VFXに、DaVinci Resolve Studioが使用されたという。ベン・ディジャコモ監督は、ポストプロダクションに対するDaVinci Resolve Studioのエンド・トゥ・エンドのアプローチにより、より意図的に、クリエイティビティを犠牲にすることなく、厳しい締め切りを守ることができたと評価している。「Bad Like Brooklyn Dancehall」は、2023年度のトライベッカ映画祭でプレミア公開される。

Bad Like Brooklyn Dancehall」は、1980年代から1990年代にかけてブルックリンで反響を呼んだジャマイカダンスホールシーンを称え、その音楽と文化的影響が、今日の若い世代にも影響を及ぼしている様子を紹介している。同ドキュメンタリーは、グラミー賞受賞のシンガーソングライター、シャギーが制作総責任者を務め、ショーン・ポールやDing Dongなどの著名なアーティストが出演している。

同作は、ポップカルチャーに大きな影響を与えたにも関わらず、長い間認知されることがなかった文化を称える作品であるとディジャコモ監督は述べている。また、数十年にわたる歴史的なアーカイブ映像を組み込んで、実際のダンスホール・カルチャーと同じように活気のあるエンターテインメントにする必要があった。

ディジャコモ監督:これを実現するためには時間が必要でしたが、ピクチャーロックして、カラーやミキシングの作業に回すために、常に急いで作業しなければなりませんでした。最初から、Resolveをエンド・トゥ・エンドのポスト・ソリューションとして使用したことは、大正解でしたね。いつでも作品全体にアクセスでき、プロジェクトのすべてのエレメントを常に芸術的に進化させることができました。Resolveの柔軟性がなければ、このような意図的な作品にはならなかったと思います。

ディジャコモ監督は、同作のエディター、カラリスト、VFXアーティストも務めたが、特にドキュメンタリーでは長回しが多いため、早くに編集を始めたいと考えていたという。

ディジャコモ監督:デイリーを処理した後、撮影の記憶がまだ新しいうちに全ての選択を行いました。編集上の判断は色をベースにしているので、選択を行う際に、露出やホワイトバランスをすばやくマッチさせる必要がありました。ドキュメンタリーでは環境をコントロールできないのでなおさらです。バランスの良いセレクトショットを用意しておいたことで、ビジュアルに気を取られずに編集に集中することができました。選択を行う際に、Resolveのカットページが非常に役立ちました。時には1つのクリップに集中することもありますが、UIがクリーンだと、特別に注意を払うことができるように感じます。ソーステープビューアがないと、もうログを取ることができないと思います。非常にシンプルな機能ですが、全ての素材をすぐに把握できるんです。

ディジャコモ監督はまた、編集中に、DaVinci Resolve Studioのグループフレームワークやレンダーキャッシュ機能を重宝したという。

ディジャコモ監督:ノードグループ、クリップフィルター、共有ノードの機能は、長編映画の編集において非常に役立ちます。私は毎回かなりの数のスマートフィルターを作成するのですが、例えば、すべてのアーカイブクリップだけを見るなど、様々なコンテクストで使用できます。プロジェクトを俯瞰で見るには最適な方法ですね。編集中にページ間を行来することがあるので、レンダーキャッシュのパイプラインも気に入っています。調整クリップを使用することで編集作業をスピードアップでき、さらにリフレーミング、エフェクト、ルック、ダイナミックズーム、あるいはそれらすべての組み合わせを試すことができます。インスペクタに触らなくても、ショットの雰囲気をすぐに確認できます。VFXは楽しいですし、その後、パワービンに入れて手元に残しています。

ディジャコモ監督は通常、CMの仕事でDaVinci Resolve StudioFusionページを使用しているが、「Bad Like Brooklyn Dancehall」では、VFXツールをさらに深く掘り下げて使用したという。

ディジャコモ監督:冒頭のクレジットシーケンスは、レンズ歪み、レンズブラー、レンズ反射、カラーコンプレッサー、水彩画、フィルムグレインなどのResolve FXを大量に使用して、Fusionで作成しました。また、Fusionで文字のスタイリング機能を使い、別々のクリップですべてのタイトルアニメーションを作成しました。最初にテンプレートを作成した際、テキストや位置のFusionノードのパラメーターの一部をユーザーコントロールで調整していたので、エディットページから直接、名前や位置を変更できました。これは、多数のタイトルを常に移動・編集する場合にかなり効率的でした。DaVinci Resolveと同様に、Fusionのパワーは、合成、3D、モーショングラフィックスの包括的なアプローチによって生まれるもので、それらを統合できます。

音楽のバックグラウンドを持つディジャコモ監督にとって、サウンドは非常に重要であった。

ディジャコモ監督:編集中に、多くのサウンドの作業も行っていたので、Resolveに映画制作者向けのFairlightオーディオページが搭載されていることは非常に大きいですね。サウンドには特別な注意が必要ですが、他のNLEソフトでは、このレベルの精巧さを実現するのは困難ですね。ドキュメンタリーは環境をコントロールできないため、グレーディングが難しいことがあります。露出や色温度が変化しますが、DaVinci Resolveのカラースタビライザーとカラーワーパーはこれらの問題の解決に役立ちました。複雑なキーフレームは必要ありません。また、アーカイブ映像は通常、フィルムやテープの経年に伴いダメージがあります。Resolveのアナログダメージ機能では、このような微妙な、しかし非常に特徴的なディテールを、わずかな調整で簡単にマッチさせることができます。私は雰囲気やルックにこだわりを持っています。カラーに関しても、カットやローワーサードを調整したり、冷たいサウンドエフェクトでショットの温かみに影響を与えたり、その逆を行うようなこともあります。これらすべての決定がまとまることで、最高の感動を生み出すのが好きです。「Bad Like Brooklyn Dancehall」では、DaVinci Resolveの柔軟性により、これを実行できました。
Blackmagic Design導入事例:トライベッカ映画祭出品作「Bad Like Brooklyn Dancehall」の場合