2023年6月24日、世界を揺るがす格闘技イベントが日本とフランスで同日開催される。

(参考:【写真】引退について言及する武尊

 フランス・パリでは、“ナチュラル・ボーン・クラッシャー”武尊の復帰戦となる『Impact In Paris』。そして日本の大田区体育館では、日本人初のボクシング4階級を制覇した井岡一翔選手が再び王者に挑む『SANKYO Presents LIFETIME BOXING FIGHTS 15』。

 世界から注目を集める二大カリスマ選手の魅力と試合の見どころを解説する。

 K-1では世界三階級を制覇し、キックボクシング界のカリスマとして君臨している武尊。昨年の『THE MATCH 2022』では、那須川天心と歴史に残る激闘を展開して大きな話題となった。

 あれから約1年。武尊は新たにABEMA専属PPVファイターとして契約を締結。フランスで行われる『Impact In Paris』で復帰戦を行うことが決定した。

 注目ポイントは、なんといっても武尊の「復活」だ。

 以前から「負けたら自分になんの価値もないと思ってた」と語っていた武尊は、『THE MATCH 2022』で那須川天心に敗戦したショックで引退まで考えたという。そして、しばらく休養するなかで心身を見つめ直し、「負けず嫌いなので、負けたまま終わるのは嫌」と、再び闘志を燃やしてリングに向かう覚悟を固めたという。

 休養明けのブランク、様々な環境の変化など、ファイトへの影響が懸念される要素はいくつかあるが、そのすべてを乗り越えて新生・武尊を見せつけることができるのか。

 そして、もうひとつのテーマは「対・世界」。武尊はこれまで日本を主戦場としていたため、海外での試合の機会は少なかったが、今回はパリに遠征。相手はISKA世界スーパー・ライト級王者のベイリー・サグデンという強豪だ。

 試合は「ISKA K-1ルール世界61kgタイトルマッチ 3分5R」で行われるが、サグデンはGLORYフェザー級(65kg)のランキングにも名を連ねており、体格では武尊を上回るという。

 武尊にとって初めて挑む階級、ルールとなるが、ここで確実に勝利を飾り、世界に向けてアピールすれば、かねてから熱望している“破壊神”ロッタン・ジットムアンノン戦の実現も近づくだろう。

 再始動の復帰戦でありながら、自らのキャリアと、日本のキックボクシング界の未来までもを背負った重要な一戦となる。なお、『Impact In Paris』では、白鳥大珠(TEAM TEPPEN)vsアレクシス・ソートロン(フランス/WAKO欧州王者、FFKMDAフランス王者)、大雅(TRY HARD GYM)vsウマハメド・ファレス(フランス/-63kg FFKMDAフランス王者)の試合も行われ、世界と闘う日本人選手の活躍が期待されている。

 そして、同日に大田区体育館でゴングが鳴るのが『SANKYO Presents LIFETIME BOXING 15』だ。こちらのメインイベントは、ボクシング世界4階級を制覇したカリスマ、井岡一翔が、昨年の大晦日に大激戦を繰り広げたものの引き分けに終わったジョシュアフランコとの再戦に挑む。

 見どころは、すべてを捨てて挑む井岡の「覚悟」だ。

 2022年12月31日、井岡一翔はWBO世界スーパーフライ級王者として、WBA世界スーパーフライ級王者ジョシュアフランコと2団体王座統一戦を行った。試合は12回0-1の引き分けに終わり、規定として、それぞれの王座を防衛という結果となった。

 年が明け、井岡にはWBO王者として指名試合が通達されたが、これよりもフランコとの再戦を希望。ダイレクトリマッチを実現させるためにWBO王座を返上し、無冠としてフランコの持つWBAのタイトルマッチに挑むことになった。

 井岡は「もう一度、彼と決着をつけてチャンピオンになることが一番望む試合だと思った」と語り、「また自分が挑戦してチャンピオンになる姿をお見せしたい」と、リスクを取りながらもWBA王座奪取に執念を燃やす。

 とはいえ、井岡がここでフランコに敗戦してしまうと、タイトル戦線から一歩引いてしまうことは否めない。さらにキャリアや年齢を考えると、引退の2文字も浮かんでくる。

 しかし、井岡は「決着をつけるために絶対に倒して勝つ」と断言し、気合い十分。ラスベガス合宿では、名トレーナーのサラス氏の指示を受けながら、そのテクニックに磨きをかけた。

 公開された練習映像では徹底的な基礎練習を反復する姿や、独特な身体感覚の磨き方などを解説。まだまだ進化をつづける肉体と精神をアピールしている。

 また、これまで井岡の試合は地上波テレビ放送されていたが、今大会はABEMAで独占PPV配信が決定。こちらの視聴者数の伸び具合にも注目が集まっている。

 6月24日、日本が誇る格闘技のカリスマたちが、覚悟と期待とプレッシャーを背負って世界に挑む。熱いドラマが生まれる瞬間を、ぜひリアルタイムで視聴してほしい。

(文=大谷弦)

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