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(写真:PIXTA)

自転車に乗った女性が、男性にベルを鳴らしたところトラブルに発展した動画がSNS上で注目を集めている。争点になっているのが、自転車が“歩行者にベルを鳴らす”ことの是非だ。

ことの発端は、6月18日にTwitter上であるユーザーが投稿した動画。動画では、投稿者とその子供が乗る自転車の前カゴを掴み男性が「それじゃあ通りますっていいえばいいじゃん! 知らんか! おい!」などと、激昂する男性の姿が映されていた。ユーザーは《狭い通路だったので注意喚起のため一度ベルを鳴らしただけなのに、前カゴを捕まれ離してくれませんでした》とコメントしており、自転車が通ることを知らせようとベルを鳴らしたところ男性とトラブルに発展したことが見て取れる。

この投稿に対しては、男性に対し“怒りすぎ”などの批判や女性に対し“お疲れ様です”と同乗の声がある一方で、女性が歩行者にベルを鳴らしたという点に対し注目が集まっている。

《さすがに前カゴ掴んだりゴネたりはしないけど私も歩道歩いててチャリにベル鳴らされたら「ここ歩道やぞ?」って大きめの声で言うな》
《ママさん、歩道で歩行者にベル鳴らすのはダメっす逆ギレされる事もそりゃありますよ… 自転車は車両ですから優先は歩行者っすよ》
《おじさんが怒るのは仕方ない。歩道を歩いていて、自転車に当然のようにチリンチリンされたら、ここまで怒りはしないけれど私だってムカつくもん。》

ベルを鳴らしたことに対し、相次ぐ批判。そもそも自転車がベルを鳴らすのはナシなのだろうか?

実は、道路交通法の第五十四条(警音器の使用等)2項には《車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない》と記載されている。

“法令の規定により警音器を鳴らさなければならない”場合の定義については、

《左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき》

《山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき》

となっている。

となると、「左右の見通しのきかない交差点や曲がり角などの場合」、「『警笛鳴らせ』の標識がある場合」「やむを得ない危険が迫っている場合」以外は基本的にはベルを鳴らすのは道路交通法違反となる。つまり、街中でしばしばみかける、歩行者自転車が後ろから追い越す際にベルを鳴らすのは、道路交通法違反になる可能性があるのだ。罰則は、2万円以下の罰金または科料だという。

また、自転車は、歩道と車道の区別のあるところでは原則車道を通らなければならないが、やむを得ないと認められるときなどは歩道を走ってもよいという。しかし、自転車が歩道を走る場合は、車道寄りの部分を徐行しなければならず、歩行者の通行を妨げるような場合は一時停止しなければならない。こちらも違反すると2万円以下の罰金または科料となる。もちろんベルを鳴らして歩行者をどかすのはNGだ。

自動車と違い免許のいらない自転車。ルールがあやふやになっているという人も多いようだ。今回問題となっている動画で、女性がベルを鳴らした際の状況などは明らかにされていないが、少なくとも歩行者とのコミュニケーションにベルを使うのは控えたほうがよさそうだ。