アイティフォーは6月19日熊本県の「令和5年度Web3等先端技術を活用したDX実証事業委託業務」に係る公募型企画コンペに参加し、5月22日に受託者に選出されたと発表した。

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 今回のコンペで同社は、chaintopeと共同で、同社のブロックチェーン基盤「Tapyrus」を活用した終活サービス「Digital Safe(デジタル金庫)」を提案した。なお、終活での地域密着型のデジタルサービスは、日本初の試みとなる。

 近年、法務省が自筆証書遺言のデジタル化に係る制度の創設に向け準備を進めるなど、終活でのIT活用へのニーズは今後、全国的に拡大することが予想される。こうした状況のなか、同社は熊本県の「令和5年度Web3等先端技術を活用したDX実証事業委託業務」に係る公募型企画コンペに参加し、「貸金庫」と「終活ノート」を組み合わせて電子化したDigital Safeを提案した。この提案は、同社が2022年に飯塚市九州工業大学chaintopeとの産学官連携による「九州工業大学の履修証明書電子発行に関する共同実証実験」で蓄積したブロックチェーンのノウハウを生かしたもの。

 「令和5年度Web3等先端技術を活用したDX実証事業委託業務」に係る公募型企画コンペは、熊本県が主催する、県全体でのDX推進に向けた先端的デジタル技術についての知見の蓄積と、その活用の模索への参考を目的としたもの。選出された企業は、24年3月22日まで、(1)ブロックチェーンNFT、デジタルツイン・メタバースのうちいずれかの先端技術を用いた課題解決の取り組みの実施、(2)実施結果について分析した報告書の作成――の2点の業務を受託する。

 コンペの参加企業は、熊本県の課題解決に資する内容を提案する必要がある。解決すべき課題は、熊本県が指定する六つのうちいずれかを選ぶ形で、同社は「健康・医療情報の活用・見える化」「手続きのペーパレス化・オンライン化」の二つを設定した。

 今回のコンペでアイティフォーが提案したDigital Safeは、終活に対する意識向上を目的としたアプリケーション提供を行う。アプリケーションは貸金庫と終活ノートを組み合わせたサービスで、ユーザーが生前整理事項、データ受取人などをスマートフォンから登録する。登録した情報はいつでも閲覧可能で、指定のタイミング(即時/ユーザーの認知症診断後/ユーザーの死亡後など)でデータ受取人へ共有することができる。また、情報はブロックチェーン技術を用いて保管されるため、改ざんされる心配がない。

 Digital Safeを導入することで、県民の終活に関する意識と行動の変化につながることが期待されるほか、重要な情報を暗号化してオンライン上で保管できることから、災害時に重要書類を紛失・焼失するリスクがないなど、有事の際のデータ保護にも有効。また、アプリケーション運用者が利用実績や各生前整理事項の登録件数の傾向を把握することで、県民のニーズに合った行政サービスの検討や、地域金融機関などとの連携によって相続関連情報の県民への提供など、データを活用したサービス強化を地域一体で実現することを想定している。