コロナのパンデミック以降、自宅で仕事をする「在宅ワーク」を主流とする働き方をする人が世界的増加傾向にある。
会社に行かなくても家で仕事ができるのは便利だが、長期的に見ると、逆にこれが思わぬ弊害を引き起こすという。
イギリスのオフィス関連の家具販売会社『Furniture At Work』 は、健康の専門家や3Dデザイナーと協力して、在宅勤務が人体にどのような悪影響を与えるのかをシミュレーションした。
このまま在宅ワークを続けていると70年後、こんな体型になるという。
というかまあ、あと70年も在宅で仕事を続けていられるほど長生きできる人はほとんどいないと思うので、あくまでも参考までに見ていこう。
【画像】 不適切な環境で在宅勤務を続けると健康に悪影響の可能性
スマホやパソコンなど、座りながらの作業は姿勢を悪くするリスクがある。くわえて、在宅勤務をしている人のなかには、自宅に適切な専用のデスクを設置するスペースがない場合もある。
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そのため、ソファやベッドで仕事をすることを余儀なくされている人たちは、毎日何時間も背中を反らせたり、首に負担がかかったりすることになる。
このような作業を何年も続けると、背骨のバランスが崩れ、胴体が腰の前に引っ張られ、猫背の外観につながる可能性がある。
そうした健康状態になることを避けるためにも、在宅勤務者は軽いストレッチをして体を動かし、定期的に休憩を取ることが推奨されている。
イギリスのオフィス家具会社Furniture At Workは、専門家の協力を得て、70年後の2100年までに在宅勤務者がどのような姿になるかをシミュレーションした。
猫背でかぎ爪の手を持ち、目は腫れて下半身が肥満に
イギリスの在宅勤務者の3分の1 は、自宅に専用のワークスペースを持たないというリーズ大学の調査結果を受けて、今回アンナと名付けられたモデルが作成された。
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Swollen eyes, a hunchback and claw-like hands: What remote-workers will look like by 2100 https://t.co/FrMfrVi8nW pic.twitter.com/Ejnt4rRO2t
— Daily Mail U.K. (@DailyMailUK) June 16, 2023
Furniture At Work はアンナの姿について、このように説明した。
自宅に仕事をするための適切な場所がない場合の影響を視覚化するために、当社は科学的研究を利用し、医療専門家と協力して、将来の在宅勤務者がどのようなものになるかを明らかにしました。
アンナは、テクノロジーの継続的な使用、画面への露出、姿勢の悪さなどにより、多くの身体的影響を示しており、潜在的な精神的健康問題も浮き彫りになっています。
アンナは、いかにも不健康そうな外見をしている。
彼女のかぎ爪のような手は、タイピングなどの細かい運動活動を継続的に行った後の指のけいれんや筋肉の痛みを表す非医学用語で「テキストクロー(text claw)」と呼ばれていて、在宅勤務中にマウスやスマートフォンを長時間使用し、指を不自然な位置に丸めてしまう習慣が長年ついた結果だ。
また、ベッドやソファで仕事をしていることで肩が上がった猫背になり、一日中画面を見つめているため、目が暗く腫れ上がっている。
特に、長時間座って集中するように設計されていない作業環境では、スクリーンを使用すると目に悪影響を与えてしまう。
十分な自然光や商業オフィスの明るい照明がなければ、目を細めて画面を見つめるリモートワーカーは、目に余分な負担をかけ、頭痛を引き起こす可能性がある。
ちなみに2021 年の調査によると、イギリスの在宅勤務者の 3 人に 1 人が、毎日の終わりに目の疲れについて不満を抱いているそうだ。
身体的変化は精神的悪影響の変化へと繋がる
アンナの下半身には、バランス悪く脂肪がたっぷりとついてしまっている。これは姿勢の悪さも原因の1つだ。
また、仕事が多忙なほど、ラップトップのそばでベッドやソファに座って食事を済ませることが多くなるだけでなく、通勤のために家を出る必要がまずなくなる。通勤やオフィス内での移動など、歩く機会が激減してしまう。
在宅勤務はキッチン棚にも近いため、自宅での身体活動が不足すると新鮮な空気の不足で免疫力も低下し、肥満や糖尿病、心臓病のリスクが高まる可能性が出てくるというわけだ。
さらに、在宅勤務者はオフィスのように同僚と直接話して、同じ空間で一緒に仕事をすることがない。
こうした社会的交流を逃すと、在宅勤務者で特に一人暮らしや一人暮らしで働く人は、孤独感や不安、憂鬱を増長させる可能性があることも判明している。
適切なワーク・ライフ・バランスを保つことが重要
今回の調査結果に基づいて、医療専門家は在宅勤務者に対し、体重増加が長期的な健康リスクとなる可能性があるため、在宅勤務中に健康を維持するための措置を講じるよう呼びかけている。
定期的に自宅で仕事をしている場合は、やはり専用のワークスペースを設定したほうがいいと、United Medical Education の創設者ブライアン・クラーク氏はアドバイスしている。
人間工学に基づいた家具を備えた指定されたワークスペースを設定することも、仕事と個人の時間の間に明確な境界線を確立するために重要です。
一方、プロアクティブ・ヘルスケア社ディレクターのサラ・ギブソン氏は、「20-20-20」ルールに従うことを推奨している。
長時間スクリーンを見つめる場合、20分ごとに20秒間画面から目を離し、20フィート(約6メートル)離れたものに焦点を合わせてください。
最終的に、複数の専門家が在宅勤務を続ける人たちに、このようにアドバイスを促している。
正確なワーク・ライフ・バランスがなく、勤務時間や勤務終了後に戻る場所が決まっていない場合、いつ「スイッチを切る」べきかわからないという不安が圧倒的になる可能性があります。
私たちは実際に仕事から離れているわけではないと感じ始め、ストレスや孤独が増加し、燃え尽き症候群につながる可能性があります。
これらのリスクを回避するために、在宅勤務者は社会的なつながりとセルフケアを優先し、仕事とプライベートな時間の間に明確な境界線を確立する必要があります。
References:Swollen eyes, a hunchback and claw-like hands: Grotesque model reveals what remote-workers will look like in 70 years/ written by Scarlet / edited by parumo
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