株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2022年度の国内受託臨床検査市場を調査し、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1. 市場概況

主要臨床検査センター各社の決算状況や中小センターの経営状況などから、2022年度の国内受託臨床検査市場規模(受託事業者売上高ベース)を前年度比10.1%減の6,970億円と推計した。
2022年度は、2021年度同様に新型コロナウイルス感染症が流行し、同ウイルスPCR(核酸検出)検査数は前年度を上回る状況であったと考えられる。
しかし、2022年度には医療機関内にPCR等検査を行える装置が多数整備されたことから、新型コロナウイルスPCR検査の外部委託数は前年度比で減少する傾向となった。あわせて、同検査の保険点数引き下げに伴い受託単価が大幅に下落し、当該受託検査市場自体が縮小した。
新型コロナウイルスPCR検査の受託検査市場の縮小を受け、2022年度の国内受託臨床検査市場規模も減少に転じる結果となった。
※市場規模は、基本的には新型コロナウイルスPCR自費検査(自由診療)分は含まない。

2.注目トピック~企業間アライアンスなどが進展方向

2023年5月には新型コロナウイルス感染症法上の位置づけが5類に移行し、また検査法も迅速抗原検出検査(定性)が主流になってきており、今後は同ウイルスのPCR法の受託検査需要は減少する見通しである。
新型コロナウイルス検査特需からの反動減を受け、受託臨床検査の事業環境は厳しくなると見られ、すでに同業者間でのアライアンス事例などが一部でみられている。今後、受託臨床検査業界内では、業務効率化を意識した様々な取り組みが進むのではないかと考える。

3.将来展望

新型コロナウイルスPCR検査の特需は2020年度から2022年度にかけ顕在化したが、感染の収束傾向に伴い、同検査受託数の拡大を見込む状況ではなくなっている。
2023年度の受託臨床検査市場規模は、前年度に続き縮小を予測する。2024年度以降は、新型コロナウイルス関連検査受託分がほぼ剥落し、受託臨床検査市場は2019年度以前のように従来の臨床検査を主体とした微増推移トレンドに戻るのではないかと予測する。
ただし、中期的にみると、各種デジタル技術の活用推進を背景に検査結果データの共有化などが進展し、臨床検査件数は抑制の方向に向かうことで受託臨床検査市場も頭打ちに近づくものと考える。

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調査要綱
1.調査期間: 2023年3月~5月
2.調査対象: 受託臨床検査事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による取材、ならびに郵送アンケート調査併用
4.発刊日: 2023年5月31日

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