アベンジャーズ”の創設者であるニック・フューリーが主人公のドラマ「シークレット・インベージョン」が、6月21日より配信開始した。同ドラマはこれまでも影の立役者として活躍してきたフューリーが、再び地球外からの“インベージョン”(侵略)に立ち向かうサスペンス・スリラーアベンジャーズのメンバーでもある軍人のジェームズ・“ローディ”・ローズ(ドン・チードル)やフューリーの右腕マリア・ヒル(コビー・スマルダーズ)、「キャプテン・マーベル」以来、仲間になったスクラル人のタロス(ベン・メンデルソーン)などが登場。今作は視覚で捉えた相手なら、誰にでも擬態できるスクラル人が登場するため、誰も信用できない状態での心理戦が見どころになりそうだ。サミュエル・L・ジャクソン演じる「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」のフューリーは主要人物でありながら、主人公となるのは今回が初めて。そこで、フューリーとは何者かを解説する。(以下、MCU過去作のネタバレを含みます)

【写真】怪しさ満点!“誰も信用できない”「シークレット・インベージョン」登場人物たち

■ニック・フューリーはMCU第1作からの古参キャラクター

国際平和維持組織「S.H.I.E.L.D.(シールド)」の元長官であるフューリーは、MCU第1作の映画「アイアンマン」(2008年)から登場している古参キャラクターで、MCU映画でおなじみのエンドクレジットの中の映像“ミッドクレジットシーン”や終了後の映像“ポストクレジットシーン”によく登場するキーマンと言える。映画「アイアンマン」の登場もポストクレジットシーンで、アイアンマンであることを公表したトニー・スターク(ロバートダウニー・Jr.)に“アベンジャーズ計画”を持ち掛けるところから始まる。

続けて、「アイアンマン2」(2010年)では、またもトニーの前に部下のコールソン(クラークグレッグ)やナターシャブラック・ウィドウ(スカーレットヨハンソン)を率いて現れる。実はトニーの父親はフューリーと同じ「S.H.I.E.L.D.」の創設メンバーで、トニーが知らない父親の姿を彼に伝えていく役目も担っていた。

その後も「マイティ・ソー」(2011年)では、天文物理学者に“インフィニティ・ストーン”の一つであるスペース・ストーンが内包された四次元キューブの研究を依頼。「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」(2011年)では、エンドクレジット直前に長年の冷凍睡眠状態から目を覚ましたスティーブ・ロジャースキャプテン・アメリカ(クリスエヴァンス)を保護するなど、“アベンジャーズ”始動に向けて暗躍していた。

■映画「アベンジャーズ」で影の立役者から主要人物の一人に

その彼が主要人物の一人としてようやく登場するのが、かの「アベンジャーズ」(2012年)だ。地球侵略と四次元キューブ入手をもくろむソー(クリス・ヘムズワース)の弟・ロキ(トム・ヒドルストン)とアベンジャーズが死闘を繰り広げる同作では、フューリーがいよいよアベンジャーズ計画を発動。しかし、フューリーが四次元キューブを巡る “P.E.G.A.S.U.S.(ペガサス)計画”を隠蔽していたことが公になり、ヒーロー間の不協和音を生み出す原因になってしまう。

また、ドラマ「エージェント・オブ・シールド」(2013〜2020年)では、死者を蘇らせることができるクリー人の遺体から抽出した血清を用いた「T.A.H.I.T.I.(タヒチ)計画」を考案。アベンジャーズのメンバーが死亡した際に活用しようとしていたが、副作用が大き過ぎることに気付いたコールソンがプロジェクトを凍結させた。だが、水面下でフューリーが実験を続け、当のコールソンがロキに殺された際にこれを用いて彼を蘇生させた。

■若き日を描いた「キャプテン・マーベル」で彼の秘密が明らかに

「S.H.I.E.L.D.」を裏で操っていた秘密組織「ヒドラ」との戦いを描いた「キャプテン・アメリカウィンターソルジャー」(2014年)では重傷を負うもなんとか生き延び、人工知能が脅威となった「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」(2015年)では終盤に登場し、苦戦するヒーローたちに有益な情報と励ましの言葉を送った。

その後も「S.H.I.E.L.D.」の不動の長官として君臨していたが、「アベンジャーズインフィニティ・ウォー」(2018年)のポストクレジットシーンでサノスの“指パッチン”(デシメーション)により塵となって消えてしまった。

フューリーは「S.H.I.E.L.D.」のエージェントだった頃から優秀で、理事のピアース(ロバート・レッドフォード)も嫉妬するほどだった。そのスキルの高さは、アベンジャーズ計画誕生の前日譚キャプテン・マーベル」(2019年)を見れば一目瞭然で、まだ宇宙人の存在が明確ではなかった時代に擬態の名人であるスクラル人が扮(ふん)したピアースに違和感を覚え、真偽を確かめるために一瞬で罠を仕掛けるなど直感力も優れている。

また、「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年)では、家族を守るためにホークアイ(ジェレミー・レナー)の妻子の存在を「S.H.I.E.L.D.」のデータにすら記載していなかったことが描かれ、繊細な心遣いができる人物であることも判明。

余談だが、「キャプテン・マーベル」では猫好きであることも分かり、実は地球外生命体のクラーケンである猫のグースにメロメロになるも、かわいがり過ぎて攻撃され、トレードマークの眼帯をする羽目になったこと明らかになっている。

■「エンドゲーム」以降は「S.H.I.E.L.D.」を離れて独自に活動

「エンドゲーム」で復活を遂げた後に登場したのが、「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(2019年)。ここではいささか高圧的な人物として描かれていたが、ポストクレジットシーンで実はタロスが擬態していたことが明らかに。本物のフューリーは宇宙ステーションのようなところで、くつろいでいる様子が描かれた。

シークレット・インベージョン」には、このタロスとその娘、そしてタロスに反旗を翻す若きスクラル人リーダーも登場する。フューリーは少なくとも「ファー・フロム・ホーム」まではタロスと友好な関係を築いていたはずだが、新ドラマでは一体どうなるのか。そして、新たに“インベージョン”をしてくるのは一体何誰なのか? まずはそこに注目したい。

ドラマ「シークレット・インベージョン」は、毎週水曜昼4:00よりディズニープラスで独占配信中。

◆文=及川静

「シークレット・インベージョン」が6月21日に配信開始した/ディズニープラスで配信中/(C) 2023 Marvel