新たな研究によると、髪の毛に含まれるストレスホルモンの量を調べることで、将来、心臓や血管の病気になりやすいかどうかを予測できるそうだ。
オランダの研究チームによると、髪の毛に含まれる「コルチゾン」と心臓・血管系の病気のなりやすさに、関係があることが明らかになったという。
コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンの一種で、心身がストレスを受けると、急激に分泌が増える。
将来的には、髪の毛のストレスホルモンを調べる健康診断や、ストレスホルモンに作用して病気を治す新しい薬などが期待できるそうだ。
「コルチゾール」や「コルチゾン」といったホルモンは、ストレスを感じると分泌されることからストレスホルモンと呼ばれている。
長期間、強いストレスを受け続けると、ストレスホルモンが増加し、体の代謝や脂肪に影響していることがこれまでの研究から明らかになっている。
また、これらのストレスホルモンは髪の毛にも蓄積されており、白髪や薄毛を進行に影響を及ぼすという報告もされている。
髪の毛のストレスホルモンと心臓・血管系の病気の関係性を調査
では、ストレスホルモンと心臓・血管の病気のなりやすさに関係性はあるのか?これまでその関係を具体的に示したデータはあまりなかった。
そこでエラスムス・ロッテルダム大学医療センターなどの研究チームは、世代間研究で16万7000名以上のオランダ人成人から集められた、6341本の毛髪サンプルに含れるコルチゾールとコルチゾンの量を調査した。
その上で、この調査の参加者を平均5~7年間観察し、ストレスホルモンと心臓・血管系の病気のなりやすさとの関係を分析した。
毛髪のストレスホルモンを調べることで、心疾患、血管系の病気予防に
その結果、長期的にコルチゾン(なおこのホルモンはコルチゾールの前駆体だ)の量が多い人は、脳卒中や心臓発作といった病気にかかる可能性が2倍高いことがわかったのだ。
また年齢層ごとに見ると、病気になる危険性は57歳以下の人たちでは3倍以上も高くなる一方、それ以上の年齢だとストレスホルモンと病気とに特に関係がないことも判明したという。
こうしたことから、健康診断などで毛髪に含まれるストレスホルモンを調べ、心臓・血管の病気の予防につなげたらどうかと、研究チームは提案している。
また将来的には、ストレスホルモンに作用する心臓や血管の病気を治す、新しい薬などが考案される可能性もあるとのことだ。
ただし、この研究はただ相関関係を明らかにしただけで、ストレスホルモンが直接の原因となって病気を引き起こすと言っているわけではない。
また研究対象となったのはほとんどが白人なので、ほかの人種にも当てはまるのか、今はまだわからないそうだ。
References:Stress hormone measured in hair may predict who is likely to suffer from cardiovascular diseases / written by hiroching / edited by / parumo
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