モバイルゲームにおいて、「コラボレーション施策」はメジャーなプロモーション手段のひとつです。人気IPやキャラクターとのコラボや、自社内の別作品とのコラボなど様々な組み合わせがありますが、その中でも「VTuber」とのコラボが注目されています。「VTuber」は、「YouTuber」のように自主制作の動画に制作者自身が登場するのとは異なり、ゲーム内にイラストを登場させやすく、ゲームとの親和性も高いという特長から、様々なモバイルゲームで「VTuber」とのコラボが行われているのです。
今回はその中から「ホロライブ」とのコラボを行った『タワーオブスカイ』のユーザーがどのように変化したのか、iGageで見ていき
たいと思います。

株式会社ゲームエイジ総研(代表取締役社長:光井誠一)は、「ゲームビジネスに特化したマーケティングリサーチ&コンサルティングファーム」として様々な分析を行っています。ゲーム市場規模をまとめた定期刊行レポートとして「Monthly Game Trend Radar(マンスリー・ゲームトレンドレーダー)」の発刊、プラットフォーム別のアクティブユーザー数や、ネットワークサービスでのゲームに関する情報取得などのデータも収集しております。また弊社が運用しているマーケティングデータサービス「iGage(アイゲージ)」では約240万名のスマートデバイスのユーザーのログを自動取得しており、動向やトレンドなども観測しております。

モバイルゲームにおいて、「コラボレーション施策」はメジャーなプロモーション手段のひとつです。人気IPやキャラクターとのコラボや、自社内の別作品とのコラボなど様々な組み合わせがありますが、その中でも「VTuber」とのコラボが注目されています。「VTuber」は、「YouTuber」のように自主制作の動画に制作者自身が登場するのとは異なり、ゲーム内にイラストを登場させやすく、ゲームとの親和性も高いという特長から、様々なモバイルゲームで「VTuber」とのコラボが行われているのです。

今回はその中から「ホロライブ」とのコラボを行った『タワーオブスカイ』のユーザーがどのように変化したのか、iGageで見ていき

たいと思います。

iGageの詳細はこちら: https://www.gameage.jp/igage/

MIXIから配信されている『タワーオブスカイ』が「ホロライブ」とコラボ

『タワーオブスカイ』は2023年2月28日にサービスが開始されたモバイルゲームです。MIXIが運営しており、同社の人気モバイルゲーム『モンスターストライク』とのクロスオーバーイベントが4月4日から4月18日まで行われました。その後5月30日から「ホロライブ」とのコラボを開始しています。

ホロライブ」とは2017年より活動を開始した、カバー株式会社が運営する日本の女性VTuber事務所で、日本での所属タレント数は30名以上、中には登録者数が200万人を超えるという人気タレントも複数名所属しています。主にYouTube上での配信活動などを行っていますが、各コンビニエンスストアとのコラボ商品の展開や、ゲーム内コラボなど様々な業界とのコラボ活動も積極的に行っています。

では、『タワーオブスカイ』がこの「ホロライブ」とコラボしたことでユーザーの動向はどのようになっているのでしょうか。

5月8日週と5月29日週ではユーザー数が13倍以上に

はじめに、サービス開始以降のユーザー推移を見ていきます。

サービスを開始した2月27日週のWAU(ウィークリーアクティブユーザー数)は11.3万人でしたが、2週目には9.4万人と、10万人台を下回ってしまいました。その後、4月4日から開始した『モンスターストライク』とのクロスオーバーイベントでユーザー減少に一旦歯止めをかけたものの、その後も下降トレンドは止まらず、5月8日週には2万人以下と大きくユーザー数が減少しました。

しかしながら、5月19日に「ホロライブ」とのコラボが告知されると、この週(5月15日週)には新規・復帰ユーザーを含めたアクティブユーザー数は5.8万人に増加。更に、翌5月22日週のWAUはサービス開始週以来の10万人台に回復し、そして本番のコラボイベントが開始された5月29日週には、新規ユーザーだけで10万人以上を獲得し、継続・復帰を合わせたWAUは20万人を突破しました。このように、「ホロライブ」とのコラボをきっかけに、サービス開始以来最大のWAUを記録し、コラボ開始以前のユーザー数と比較すると13倍以上に増加したことがわかりました。【グラフ1.】

■コラボイベントによって大きく増加したのは、10代~20代男性

では、どのような人が「ホロライブ」とのコラボにより『タワーオブスカイ』をプレイし始めたのでしょうか。

性年代別のDAUデイリーアクティブユーザー)の推移を見ると、コラボの発表が行われた5月19日から徐々にユーザー数が増加し、コラボが始まった5月30日には顕著な増加がみられます。このコラボによって増加したのは10代から30代の男性で、その中でも特に10代から20代男性ユーザーが大きく増加しているのがわかります。【グラフ2.】

では、サービス開始時期と直近では、ユーザー構成はどのように変化したのでしょうか。サービス開始週と最新週の性年
代を比較してみます。

サービス開始週は20代と30代男性が多く、女性は20代が多くなっています。しかし、最新週のデータでは、10代男性の割合が倍増し、全体の3割を占めるまでになりました。20代男性も増加がみられますが、10代男性ほどではありません。女性も10代が増加しており、「ホロライブ」とのコラボで、若年層ユーザーが新規参入したことがわかります。【グラフ3.】

■「ホロライブ」コラボで、同じく若いユーザー層を獲得した『妖怪ウォッチ ぷにぷに』

そこで、同様のケースで「ホロライブ」とコラボをした、『妖怪ウォッチ ぷにぷに』の推移を検証してみました。

LEVEL-5が運営する『妖怪ウォッチ ぷにぷに』は、2022年7月27日にコラボイベント開催の告知が行われ、2022年8月1日からコラボを開始しました。元々、スマホ非所有の小学生以下の年少者に人気の高いIPで、親のスマホで子供がプレイするケースも多く、コラボの発表が行われる前までは、親世代である40代のユーザー数が最も多くなっていました。

しかし、コラボ発表が行われた7月27日から10代のユーザー数が大きく増加し、更にコラボが開始された8月1日には10代男性ユーザーの数は11.6万人にまで増加。コラボ発表前の4.2万人から3倍近くまで増加しています。

また、「ホロライブ」とのコラボは8月16日に終了しましたが、それと時期を合わせるように10代男性のユーザー数が減少しています。それでも、かつての中心ユーザーであった40代男女を上回るユーザー数を維持しており、「ホロライブ」とのコラボによって10代男性ユーザーが一定数定着したことがわかります。【グラフ4.】


今回は、「ホロライブ」とコラボすることにより、大きくユーザー数を増加させた『タワーオブスカイ』のデータを見てみました。このコラボの効果により、10代から20代の男性ユーザーの獲得に成功し、そのユーザー数は13倍以上に拡大したことが確認できました。また、同じく「ホロライブ」とコラボしユーザー数を伸ばした『妖怪ウォッチ ぷにぷに』も、特に10代男性が3倍近く拡大したことがわかりました。

ところで、このようにコラボ施策を行うことでユーザー数を増加させることに成功したモバイルゲームは多数ありますが、その反面、コラボ終了とともに残念ながらユーザー数が減少してしまうタイトルも多くあります。特に、ゲームに限らず、動画やSNS、マンガアプリなど、スマホで様々なコンテンツに接触する若年層をターゲットとするコンテンツは、いずれも同様に、競合コンテンツとの時間の取り合いという課題に直面します。

『タワーオブスカイ』に限らず、コラボによって獲得したユーザーを、その後どれだけ定着させることができるのか、事業継続のための連続的な打ち手が重要なテーマになることは言うまでもありません。

配信元企業:株式会社ゲームエイジ総研

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