Suica首都圏から長野まで使えるようになるいっぽう、「途中下車不可」など意外なデメリットが生まれます。しかし、そのデメリットを克服する「ちょっとしたテクニック」があります。

Suica首都圏エリアが長野駅へ拡大

JR東日本交通系ICカードSuica」の「首都圏エリア」が、2025年春から長野駅まで拡大。同時に「東京近郊区間」も長野駅まで拡大し、首都圏から長野まで、区間内のきっぷであれば「途中下車不可」「有効期限1日」となってしまいます。

これには「長距離切符で、途中の駅で下車して街歩きするのが楽しみだったのに」「千葉から長野までは長旅。途中で1泊してのんびり旅ができなくなるのか」と嘆く声も見られます。

いっぽうで、この変更をあまり深刻にとらえていない旅好きもいます。実は「裏ワザ」として、近郊区間内にもかかわらず「途中下車OK、有効期限2日以上」というきっぷを買うことは可能になっているのです。

大都市近郊区間」の運賃計算の特例を見ると、途中の経路は問わず最短距離で計算する、という文言に加えて、「新幹線を利用になる場合は含まれません」という但し書きがあります。たとえば東京近郊区間だと、東京~熱海・那須塩原・高崎間が当てはまります。

まりこれを利用すると、窓口で「浦和から長野までのきっぷをください。ただし、上野~東京間だけ新幹線経由にします」と申し出てきっぷを作れば、近郊区間の特例の適用外となるため、有効期限は3日で、かつ途中下車可能となるのです。

もっとも、これが使えるのは「在来線新幹線が並行していて、同じ運賃で計算されている」場合。東京圏~長野だと、あいだに挟む新幹線区間はなかなか無く、せいぜい東京駅周辺の1区間といったところでしょうか。

たとえば横浜~長野のきっぷを買う場合は「品川~東京だけ新幹線」が妥当ですが、本来は横浜線経由の最短距離で運賃計算されるところを、遠回りの東京経由で計算されることにも注意です。またこの場合、「新横浜~品川で新幹線に乗る」というきっぷで、東海道線の横浜~品川は乗れません(新横浜と横浜は別駅扱いなので、経路も異なるとされる)。ルールを詳細に確認するなど、あらかじめ十分注意しましょう。

さらに最終手段として、「近郊区間外へちょっとハミ出す区間できっぷを買う」という方法があります。実は2014年に東京近郊区間松本駅へ拡大した際、「1つ先の北松本駅まで買っておけばOK」という「ライフハック」が話題になりました。しかし今回は残念、大糸線では穂高駅の次の駅まで買うことでこの裏ワザが使えますが、長野方面へ行く場合、長野駅より先はJR線ではないため、「1駅だけハミ出して買う」ことはできません。

JR中央線で使われるE233系電車(画像:写真AC)。