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image credit:ABB Robotics

 地球上で最大の「多種多様な生物のゆりかごアマゾンの熱帯雨林も現在では森林破壊などでどんどん失われている。

 その傾向は過去40年でさらに加速し、豊かな緑や土壌も枯渇に向かう一方だ。

 こちらの「YuMi」は、そんなアマゾンの森をよみがえらせる活動を猛烈な速さでお手伝いするコラボレーションロボット。

 二本腕の YuMi の今回のお仕事はガーデニング。といっても熱帯雨林の保護を行うペルーの団体のもと、植物の種を延々とコツコツ植える作業だが、その効率の良さはさすがロボットなだけはある。

 なんと一日でサッカー場2つ分のペースで働けちゃうんだそうだ。

【画像】 地球上で最大かつ最も多様なアマゾンの熱帯雨林

ABB Robotics Amazon reforestation pilot

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 南米ブラジルを中心に広がるアマゾンの熱帯雨林は、地球上で最も大きく、最も多様な熱帯雨林として知られる。

 およそ550万平方キロメートル。広大な面積をもつ熱帯雨林は生物の多様性もきわめて高く、地球の動植物の種の半分以上が生息する。

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熱帯雨林の再生活動に協力。双腕のコボットYuMiが種まきでお手伝い

 だが悲しいことにこの熱帯雨林は、伐採をはじめとする森林破壊などの影響で、過去40年間で急速な枯渇に向かっており、現地では回復をめざす活動が地道に進められている。

  双腕のコラボレーションロボット(略称:コボット) YuMi は、そんなこんなで弱りっぱなしの熱帯雨林を元気にするため、植物の種をまく作業に専念している。

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 気候変動の一因としての森林破壊を防ぐため、植樹などで熱帯雨林の再生活動を行うペルーの非営利団体、ジャングルキーパーズのもとで、少しでも早く楽に仕事が進むよう手伝ってるのだ。

 スイスを拠点とするロボティクス企業ABBが開発したYuMiは、プラスチックの筐体に柔軟なパッド、そして機能的で軽量なマグネシウム合金製アームを2本備える。

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 今回の YuMiの仕事は、土を入れた育苗ポットに穴を掘ってつまんだ種を入れ、その上に土をざっとかけてならすこと。

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 人間ならなにかと手間がかかるこの作業も、器用な腕を2つ持ってるYuMi は簡単に素早く済ませる。

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 またロボットなので不便な地域の作業や人手が不足の問題も解決できるのだ。

「協働」プロジェクトで活躍。1日でサッカー場 2つ分の種まきも可能

 YuMi はわずか3分半でコンテナ1個分の育苗ポットのすべてに種をまく。ABBによるとYuMi を使えばたった1日でサッカー場 2つ分の種まきができちゃうそうだ。

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 ちなみに国際サッカー連盟FIFA)によるサッカー場のサイズ規定は、長さ100~110メートル、幅64~75メートルの範囲内。つまりたった1日で6,400~8,250平方メートルもの広さに相当する種まきが可能ということだ。

 この「協働」プロジェクトについて、YuMi を担当するABBロボティクス・製造部門代表のサミ・アティヤ氏は、気候変動の主な要因でもある森林破壊に対し、ロボティクスとクラウド技術が中心になる可能性を示したと述べている。

このような自動化により熱帯雨林の保護にあたるレンジャーが、きわめて反復的な作業から解放されて、より重要な作業を行えます。我々が企画した実証的プログラムは、彼らが住む土地の保全に役立っています。

今のテクノロジー YuMi を使ってレンジャーの仕事に専念

 アマゾンの熱帯雨林は現在までにおよそ20%が失われたという。

 そのほとんどが伐採が伴う焼き畑農業などに使われ、3年ほど使われた後に放置され不毛な荒れ地になった区画もある。

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 だがもし YuMi が種まきをずっと進めて行けるなら、人が作業するよりはるかに速く荒れた大地も回復しそうだ。

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 しかもその間レンジャーを兼ねる保護スタッフらは森林保護に関する地元住民への教育や、違法伐採者のパトロールなど、人間中心の仕事に専念できる。

 ジャングルキーパーズの設立者の一人モシン・カズミもこうコメント。

今のテクノロジーを使わなければ、保護活動は行き詰まってしまいます。

YuMi をこちらの拠点に置くのはすごくいい。レンジャーに新しいやり方を紹介できるんですから。私たちの活動もよりスピードアップして拡大します。本来の使命をもっと進められます。
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 これまで単調な種まきに費やしていた時間や体力を、保全に欠かせない別な仕事に生かせるときたら導入しない手はないだろう。

アマゾンの熱帯雨林でも、YuMiが人手不足の解消の手段に

 このような農業の自動化は決して目新しいものではない。また気候変動が森林再生活動だけで食い止められるものかどうかも疑問だ。

 だがこうした作業に大量の排気を伴う大がかりな農業機械ではなく、クリーンでコンパクトなロボットを使うのは環境面もふくめ何かと扱いやすそう。

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 なによりアマゾンの熱帯雨林のように不便な場所でも、人手不足の解消にハイテクが取り入れられるのは喜ばしいことだ。

 疲れ知らずで黙々と人に代わって種をまき続けるYuMi のこれからの活躍を期待しよう。

References:designtaxi / futurismなど /written by D/ edited by parumo

 
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森にたくさんの緑を!コツコツと2本の腕で種を植え、アマゾンの緑化に貢献するロボット