『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(23)チームが登場して初日をアドベンチャラスに飾り、最終日には受賞結果が発表され、役所広司が男優賞、是枝裕和監督作品『怪物』(23)の坂元裕二が脚本賞を受賞、W快挙を成し遂げて、日本勢にとってドラマティックな展開で幕を閉じた第76回カンヌ映画祭。コンペティション部門の最高賞であるパルム・ドールに輝いたのは、ジュスティーヌ・トリエの『Anatomy of a Fall』。史上3人目となる女性監督の獲得となった。世界最大級のエンターテインメント界のお祭りだけに、新旧含めて、こんなにたくさんのセレブたちを一度にチェックできる機会もない!コート・ダジュールのようにゴージャスでスタイリッシュに、フェスティバルを彩った俳優たちとは?
【写真を見る】俳優デビュー作『The New Boy』で第76回カンヌ映画祭に参加した11歳の少年、アスワン・リード
■ファッションに注目。次世代を担ってくれそうなアップカミングな俳優を発見!
●アスワン・リード
日本語の表記すらまだ出てこないアスワンくん。それもそのはず、今回のカンヌでプレミア上映された、ワーウィック・ソーントン監督作のオーストラリア映画『The New Boy』が俳優デビュー作。それまではもちろん無名の11歳の少年だ。同作の主演、ケイト・ブランシェットとともにカンヌに参加、レッドカーペットデビューを果たした。ハリウッドのメディア取材でも、イベントフォトコールなどでも、隣のケイトに負けず劣らず放たれるオーラは、只者じゃない! レッドカーペットルックに選んだのは、オールレッドのルイ・ヴィトンのセットアップスーツ。
●ラヒ・チャダ
カンヌのメンズルックといえば、タキシード。そんななか、是枝裕和監督作の『怪物』プレミアレッドカーペットに登場した、とびきり個性的なルックに身を包むチャダは目を引いた。インド出身のスーパーモデルで俳優、実業家でもあるという。ビジューやチュールがあしらわれたスーツは、エキゾチックレッドで、彼のインスタによると、ニューヨークファッションウィークなどでコレクションを発表するHomolog Parisのものとのこと。中東やインドをベースに活動するらしいが、『RRR』(22)人気もあるし、世界進出もまもなく⁉
●マヌエル・リオス
モデル、俳優のリオスは出身のスペインでは子役として活躍していてキャリアは長いらしいが、昨今のレッドカーペットやファッションのイベントで、とにかくよく見かける!公開に先立ってすでに話題になっているペドロ・アルモドバル脚本・監督作『Strange Way of Life』に出演し、グローバルなファッションアイコンになるのは目前といった感じ。同作のプレミア時に選んだのは、ホワイトのトップスからのぞく、吸い込まれそうな胸元のラインが美しいサンローランのルック。合わせたジュエリーはカルティエだ。『怪物』のプレミアレッドカーペットでは、一見オーソドックスなタキシードルックに見えるが、ボウタイではなくロングのタイが胸元を彩るシャツのタックスをチョイス。こちらもサンローランとのこと。彫刻のようなボディと滑らかなラインのコントラストがすばらしい。
■リスクを恐れず、個性を発揮した“ファッションフロンティア”部門
メンズが選ぶカンヌのレッドカーペットルックといえば、やはりタキシードがお約束なのだが、そもそも昨今のメンズウェア自体にバラエティと自由がうまれている。リスクを恐れないスタイリッシュな開拓者たちとは?
●バティスト・ジャビコーニ
カール・ラガーフェルドのミューズだったことで知られるジャビコーニが、『Jeanne du Barry』プレミアレッドカーペットへ選んだのは、グリッターに輝くディオールの、ツイードのセットアップ・スカートスーツ。ゴツめなシルバーのネックレスを合わせたところもいい!
ドラマ「ストレンジャー・シングス」で人気の出たヒートンは、最も格式の高いテールコート(裾の長いことから燕尾服と呼ばれる)の変形版に挑戦。ドレスコードは守りつつ、タキシードジャケットがロングコートになったともいえるオリジナリティあふれるルックは、サンローランのもの。彼って、こういうエフォートレスにみせるスタイリングが上手!
■「隣の人のために装う」というメンズの着こなし
身にまとったタキシードは、慣習に則ったクラシカルなものだけど、それは一緒に連れ立つ人のため。誰かのためにするファッションは、メンズの中でも最も洗練度の高いもの。(通常は女性を先に表記するものだけど、ここではあえてメンズを先に。)
娘も同行しファミリーでの参加で、すごく幸せそう。
●ハリソン・フォード&キャリスタ・フロックハート
インディ・ジョーンズを演じ続けること40年以上!
伝統的で、非の打ち所がないパーフェクトなルック。
よくよくみると、奥様のドレスにマッチさせて、ジャケットの裾にはホワイトのラインが!
タキシードジャケットもさることながら、ボトムの長さとフィット具合が秀逸。トラディッショナルなタキシードを颯爽と着こなし、カップルでレッドカーペットに登場したメンズをピックしたのだけど、まるで「ハリウッドを代表するおしどり夫婦リスト」のよう!
■ベストルッキング特別賞は、マッツ・ミケルセンに授与したい!
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』に出演したことで、カンヌ入り。50歳を過ぎてから、どんどん色気と渋さ、そして人気が出た俳優の一人だ。なんというか、この年齢だからこそ出せる落ち着きと魅力。選ぶ役にしてもファッションにしても、絶妙の選択が心地よい。そんなミケルセンが出席した『Jeanne du Barry』のプレミアレッドカーペットでのルックは特に優秀。シャツをブラックにしたことで、彼のグレーヘアとのセクシーな対比を生み、連れ添った奥様のルックも際立たせることに成功!(『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』プレミアの時、シャツはホワイト)こちらのカスタムメイドのタキシードは、ゼニアのもの。フォトコールイベント出席時の、ブラウンのオーバーシャツとボトムのルックもとてもよかったし、これぞメンズのエレガンスを体現!
文/八木橋恵
コメント