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 アメリカ、ネバダ州と言えば「エリア51」に墜落したUFOが運び込まれたとか、宇宙人が収容されたという陰謀論が付きまとっている場所であるが、本当に心配すべきは地球上の生命体だったようだ。

 モルモンクリケット(Anabrus simplex)と呼ばれるキリギリスが大量発生し、小さな町を侵略しているのだ。

【画像】 ネバダ州の小さな町でキリギリスが大量発生

Millions of Mormon crickets invade parts of Nevada

「まるで黙示録だ」そう表現する人もいるほど大量発生したのはモルモンクリケットだ。彼らは地面を覆い尽くし、壁を這い上がり、建物を侵食し、ネバダ州北東部の小さな町、エルコの住民たちを脅かしている。

 「窓から見た時、壁全体がモルモンクリケットで覆われていました。本当に怖かった」と住民のコレット・レイノルズ氏は語る。

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 モルモンクリケット(Anabrus simplex)は、主に北アメリカ西部で見られる大型の直翅類(バッタキリギリスなどを含む昆虫の目)で、クリケット(コウロギ)と名付けられているものの、キリギリスの一種である。

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 約7.6cmと大型で茶色から黒色の体色をしている。

 彼らは町の農作物を片っ端から食いあらし、道路や壁一面を埋め尽くし、交通上の問題も引き起こしている。

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 ネバダ交通局は、車に轢かれたモルモンクリケットにより路面が滑りやすくなるため、道路を掃除し、撒砂を行っている。

 「動いている彼らを見て、道路全体が這い回っているように見えて、肌がゾワゾワする。とても気持ち悪い」と住民のステファニー・ギャレット氏は語る。

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アメリカで周期的に起きるモルモンクリケットの大量発生

 昆虫学者たちによると、モルモンクリケットはアメリカ西部で周期的に大量発生を起こすそうだ。

 だが、その原因やパターンについては完全にはわかっていない。一部の研究者は、気候変動、特に湿度や温度の変化が大量発生を引き起こしている可能性があると指摘する。

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飛ぶことはできないが巨大な体と強靭な後脚で跳躍するモルモンクリケット

 モルモンクリケットの名前は、19世紀のモルモン開拓者たちがユタ州で体験した大量発生に由来しているといわれている。

 開拓者たちは飢饉に見舞われ、彼らの作物を食べ尽くすモルモンクリケットの大群に襲われた。伝説によると、開拓者たちが祈りを捧げると、大群のカモメが飛んできてクリケットを食べ尽くし、開拓者たちを救ったとされている。

 モルモンクリケットは非飛行性だが、その代わりに強力な後脚を使用して跳躍する。非常に社会的であり、特定の季節に大群を形成し、広大な地域を移動しながら植物を食べ尽くすことがある。

 食性は雑食で、植物だけでなく他の昆虫や動物の死骸も食べる。食物が不足している時や、個体数が多くなると、互いを食べるカニバリズムを行うこともある。

References:Forget about aliens, the real invasion is Mormon crickets | KLAS / written by parumo

 
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アメリカでモルモンクリケットが大量発生。ネバダ州の町を侵略(※昆虫出演中)