このところ、世界各地で大きな地震が相次いで観測されている。日本時間の6月16日午前3時過ぎ、トンガ付近を震源とするM7.2の地震が発生。これに続き、同日深夜から17日朝にかけて、今度はフランスで最高規模M5.8の地震が相次ぐ。ボルドー北にある西岸シャラント・マリティーム県では多くの民家や学校、教会などが破損し、約170人が避難するという騒ぎになった。2日後の19日にも、北米中部(メキシコカリフォルニア湾)を震源地ととするM6.6の地震が記録されるなど、数千キロ離れた国々で頻発する大規模地震に、地震学者の間では大きな懸念が広がっている。

 近年、記憶に新しいのは、2月6日トルコ南部で発生したM7.8の大地震だ。建物の倒壊や火災により、トルコシリア両国で甚大な被害が発生。日本からも救援隊が向かうなど、現在も各国による支援活動が続いている。

 実はこの大地震直後にSNSで拡散され、波紋を広げたのが「地震雲」だった。

「地震が起こる前の1月19日トルコ西部の都市ブルサ周辺に、巨大な雲が発生したとして、その映像がSNS上にアップされていたんです。昔から、地震が起こる前には、その予兆として地震雲が現れると言われることもあり、やはり本当だったのかと現地メディアが報じました」(科学ジャーナリスト)

 今回の北米中部やフランスの大規模地震では、まだ直前に地震雲が出たかどうか明らかになっていないが、そもそも雲というのは、夜間に気温が下がることで、空気中の水蒸気が水滴となって現れるもの。低気圧や台風などが接近、空気が上昇して冷やされることでも発生するといわれる。

「つまり、もし地震雲があるとすれば、なんらかの理由で震源付近の上空の空気が冷やされたか、あるいは地震の原因となる地下プレートからガスや空気が上昇し、それが冷やされたかのどちらか。ただ、気象学者の中には地震と雲との因果関係を否定する人も少なくないため、まだ答えが見つかっていないのが現状です」(前出・サイエンスライター)

 トルコ地震の際は「地震雲」のほか「核実験による人工地震説」も浮上したが、こちらは地震の波形が通常と同様だったことから、すぐに打ち消された。

 ただ、核実験をはじめ、地下構造調査のために、爆弾を使用して人工的な地震を起こすことはあるそうなので、そういった話に尾ヒレがつき、一気に拡散された可能性もある。

 世界各地で頻発する地震が意味しているものは何か。そして地震雲との関係は…。

ジョン・ドゥ

アサ芸プラス