プロ3年目、プレーへの姿勢を問う声が上がっている。

 阪神の佐藤輝明は今季、好不調の波が大きく、安定した数字を残せていない。6月の月間成績は、ここまで打率は2割を切っており、本塁打はわずかに1本、交流戦では2試合でスタメンを外れた。今シーズンより指揮官に復帰した岡田彰布監督は、開幕から「5番・サード」で固定し起用し続けているものの、成績は伸び悩んだままだ。

 交流戦終盤には4試合連続で安打を記録、今月の初本塁打も放っているが、20歳の前川右京が台頭、クリーンアップで存在感を発揮するゲームも見られ、今後の起用法に変化があっても不思議ではない。佐藤はここ最近も、甘いコースを捕えることができず、ボール球に手を出しての空振りなどの場面が目につく。首位を堅持するチームにおいて、「大砲」としての期待は乏しいものとなって来ているようにも感じられる。

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 また、打撃の結果のみならず、野球への取り組む姿勢に異を唱える声も伝えられている。阪神OBである鳥谷敬氏が6月19日、メディアを通して佐藤の凡退時の態度に苦言を呈している。交流戦の楽天戦で一塁ゴロを放った際、バットを離さず、バッターボックスからも殆ど出ないまま、走り出さなかったという。

 自らアウトと判断し、走塁への意識を見せなかった佐藤に対し、鳥谷氏は「寂しさを感じた」と述べ、さらに「立ち居振る舞いに気を配るべき」「チームメイトへの影響も大きい」など、シビアな言葉も投げかけている。

 鳥谷氏のコメントの数々は佐藤が持つポテンシャル、さらにはスター性など、チームの「顔」としての存在であることを認めた上で、プレーヤーとしての成長を促すものであることは明らか。それだけに、結果だけではなく、グラウンド上でのプレーへの意識をもう一度、自身で問いただす必要があることは確かだ。

 これまでの起用法に加え、直近の打撃成績を見る限りでも、当面は佐藤がラインナップから消えることは考えにくい。しかし、球団OBの声は当然、ファンの耳にも届いており、今後、背番号8への視線はさらに厳しくなることも間違いないだろう。

 関係者やファンなど、周囲の反応を受け止め、プロ選手としての意識を表現して行けるか。キャリア3年目ではあるものの、佐藤は野球人生の岐路に立ったとも言えるかもしれない。(佐藤文孝)

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