15年ぶりに「インディ・ジョーンズ」の新作が登場!6月30日(金)に日米で同時公開される。1作目『レイダース/失われたアーク≪聖櫃≫』の公開が1981年、その時から映画館で鑑賞し、ハリソン・フォードと一緒に歳を重ねた筋金入りのファンは「シリーズ最後を飾るにふさわしい物語」ときいて想いもひとしおだろう。テレビやビデオ、配信でこの映画に出会った人、ディズニーのアトラクションに魅せられて何回も通っている人、街中に流れるテーマ曲を聴いただけでちょっとワクワクする人たちにとっても、これは格別のスリリング体験ができる作品になるはずだ。

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

インディ・ジョーンズ」はスティーブン・スピルバーグジョージ・ルーカスタッグを組んだ人気シリーズ。彼らが映画少年時代に熱中した冒険活劇が発想の原点だ。考古学者で冒険家の主人公インディ・ジョーンズが、秘宝を求めて世界中を飛び回りながら、様々な危険や謎に立ち向かう。魅力は、異国情緒あふれる場所、悪漢との追いつ追われつのチェイス、次々と押し寄せる絶体絶命の危機に立たされ、さあどうなる!?というシーンの連続と、時おり弱さを見せる人間臭さ。

時代は1969年アポロ11号から帰還した飛行士達を迎え大騒ぎのニューヨーク。大学教授を退官する寸前、70歳のインディの前に、かつての仲間バジルの娘・ヘレナ(フィービー・ウォーラー=ブリッジ)が現れる。彼女は、人間の想像を超える力を持つという”ダイヤル”の形をした秘宝の行方を追っていた。

そのダイヤルは、第二次大戦中にナチスの科学者ユルゲン・フォラー(マッツ・ミケルセン)との争奪戦の末、インディが半欠けの状態で手にし、博物館に寄贈したもの。一方、宿敵フォラーはアメリカに身を隠し、いまも陰謀を企て、インディを付け狙っていた。

人類の歴史を変える運命のダイヤルを巡り、インディ最後の冒険の旅が始まる……。

映画は、大戦中のナチスの軍用列車での壮烈なバトルから幕を開け、まさに手に汗握るアクションシーンの連続だ。特に中盤、ニューヨークでパレードの最中に展開するチェイスは超大掛かり。なんとインディは馬に乗って地下鉄構内まで逃げまくる。舞台は、シシリアモロッコ・タンジェへと場所を移して展開。陸、空、海を、ローテク、人力など様々な乗り物で逃走、追撃。これこそ冒険活劇の醍醐味だ。

ハリソン・フォードは撮影時、70代後半のはず。さすがに、40代半ばのシーンは、CGで“アンチ・エイジング加工”がされているが、それ以外は、ほぼありのまま。革ジャンにフェドーラ帽に皮のムチ、おなじみのスタイルを身にまとうと、「待ってました!」といいたくなる勇姿だ。体を張ってのアクションは、もう驚くほかない。

ナチの科学者フォラーに扮しているのは、”北欧の至宝”と讃えられるデンマークの名優、日本でも大人気のマッツ・ミケルセン007マーベル映画、ハリー・ポッター魔法ワールドと、大作シリーズの悪役としては欠かせない存在。満を持して、インディ・ジョーンズシリーズへの出演となった。

他にも、インディの旧友役でスペインの名優、アントニオ・バンデラスが出演。第1作と3作『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』でインディの親友サラー役を演じたジョン・リス=デイヴィスが今回も顔をだす。

第1作の公開時に比べて格段に進歩しているのが、映画館の上映環境だ。本作は3Dこそないが、客席が動く4DXなど全13の形態で上映が決定している。映像だけでなく、音の良さも革命的に変わり、コンサートばりの迫力サウンドも楽しめる。

なんといっても『インディ・ジョーンズ』はジョン・ウィリアムズが手がけた映画音楽の金字塔。『レイダース/失われたアーク≪聖櫃≫』は生オーケストラの演奏付きで上映する「フィルムコンサート」の人気コンテンツになっているほどだ。

ジョン・ウイリアムズは御年91歳。引退説もあったが、今回も音楽を担当し、素晴らしいスコアを作り出している。

どうせなら、この映画音楽を満喫できる極上の音空間、IMAXやドルビーアトモス、ドルビーシネマといった設備の劇場で観て、アドレナリンを出しまくってはいかがでしょう。

文=坂口英明(ぴあ編集部)

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中川右介(作家、編集者
「……陸、海、空、地下と、あらゆる場所で、あらゆる乗り物を駆使しての闘いが展開されていく。まさに集大成。……」

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『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』