「前夜の勝ちの勢いに乗れず、申し訳なく思っている」と語ったアンダーソン(C)Getty Images

 あきれるばかりの記録的猛打という光が、屈辱のレコードも浮かび上がらせた。エンゼルスは現地6月24日(日本時間25日)、ロッキーズ戦に25-1で大勝。28安打、25得点はいずれも球団新記録だった。

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 その猛打ショーのハイライトが3回の3者連続本塁打だった。先頭のマイク・トラウトが中堅バックスクリーン17号ソロをたたき込むと、続くブランドンドゥルーリー、マット・タイスと連続アーチ。しかもドゥルーリーとタイスは初球打ちだったため、3球連続本塁打という離れ業となったのだ。

 エンゼルスの3者連続本塁打は、今年4月23日のテイラー・ウォード、トラウト、大谷以来。3球連続本塁打に限れば「記録をたどることができる1990年以降にはなかった」と球団広報が公表し、事実上の球団新記録となった。

 確かにレアケースには違いない。もっとも、メジャーリーグ全体を見渡せば、2020年9月17日ヤンキースブレット・ガードナー、D・J・ラメーヒュー、ルーク・ボイト以来3年ぶり。さほどブランクのない記録であったが、周囲を驚かせたのは打たれた投手だった。当時ブルージェイズに所属していたチェース・アンダーソン。今回、エンゼルスに3球連続弾を被弾した投手と同一人物だったのだ。

 アンダーソンはこの日、2回2/3を3被弾を含む10安打で9失点し、2敗目を喫した。「前夜の勝ちの勢いに乗れず、申し訳なく思っている」と語った左腕。「ベースボールというのはいい時も、悪い時もある。この辛い事実を過去のものとして、前に進まなければいけない」とあくまで前向きに語った。5月にレイズからウエーバーを経て移籍してきたが、そこから8試合に先発したもののいまだ勝ち星はなく、防御率6・57と苦闘が続く。

 バド・ブラック監督は「膝元にボールを集めるのが彼の投球スタイルなんだが、今日は高めに浮いてしまっていたね。多くの投球が真ん中に集まっていた」と分析。屈辱的大敗の中でも、悪夢ともいうべき3球連続被弾の左腕をかばうところはなかった。

 アンダーソンブルワーズ時代の2017年には25試合で12勝4敗、防御率2・74という素晴らしい数字を残した。しかし、その翌2018年にはリーグワーストの30被本塁打。元来、被本塁打が多いタイプでもあった。2020年以降は防御率6点以上と苦しいシーズンが続いている。35歳、メジャー通算58勝のベテランには、悪夢を払拭してもう一花咲かせてほしいところだが。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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