任天堂6月27日(火)、同社が運営する公式Twitterアカウント「任天堂株式会社(企業広報・IR)」上の発言として、6月23日(金)に開催された「第83期 定時株主総会」における質疑応答の要旨をPDF形式で公開したと発表した。

 任天堂は玩具・コンピュータゲームの開発や製造、販売をおこなっている、日本の企業である。1889年の創業以来、花札やトランプの製造で高い知名度を獲得したほか、1983年には家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」を発売。家庭用ゲーム機やソフト開発でも世界的に有名な企業となった。

 先の6月21日には同社が展開する最新型の家庭用ゲームNintendo Switchで販売予定のソフトを紹介する「Nintendo Direct」を公開し、大きな話題を呼んだ。

 以下に、任天堂が公開した質疑応答の一部をピックアップする。興味のある方は公式サイトへアクセスし全文を確認してほしい。

 今回の発表では、ファミリーコンピュータの発売から今年で40年の節目を迎えることへ関連して、世代や国籍を問わず愛される任天堂の強みに関する質問とその回答が公開された。

――「Nintendo Direct 2023.6.21」でファミコン40周年のキャンペーンの発表があった。(私の)父はファミコンで遊んでいたが、息子の私もNintendo Switchをプレイしている。世代や国境を超えて愛される任天堂の強みについて考えを聞かせてほしい。

代表取締役社⻑ 古川俊太郎氏(以下、古川氏):

 ファミコンは今年で発売から40周年を迎えます。思い起こせばファミコンが発売された当時、私は小学校の6年生でした。そうした時代の流れの中で、親の世代や祖父⺟の世代の方々が、お子さんやお孫さんと3世代にわたって、当社のゲーム機で楽しまれている様子を世界中で見ることができるようになりました。

 このことが、⻑年ゲーム専用機のビジネスを続けてきた当社の⼤きな強みとなっているように認識しています。

 そして、多くのお客様に当社のゲームを⻑く遊んでいただく中で、たくさんのキャラクターなどの任天堂IPを育んでいただいたことが、現在の任天堂のブランドの価値につながっていると考えています。引き続き、お客様にユニークな提案を続けていくことで、世界中のお客様に末永く当社のゲーム機で遊んでいただけるように努めてまいります。

 また、現行のゲーム機であるNintendo Switchから今後発売が予想される次世代機への引き継ぎに関する質問とその回答も公開された。

――Wii では発売後約6年で後継のWii Uが発売され、ファミコンも約7年で後継のスーパーファミコンが発売された。Nintendo Switchは今年で7年目に入り、終盤の局面に入ってきていると思うが、次世代機への移行に関して具体的な施策があればおしえてほしい。

古川氏:

 Nintendo Switchは累計1億2000万台以上販売しています。当社のゲーム専用機のビジネスの歴史の中においても、7年目となる当期(2024 年3月期)に1500万台のハードウェア、1億8000万本のソフトウェア販売を見込んでいる例はなく、未知の領域に入ったと捉えています。

 今後はハードウェアを過去数年のようなペースで販売することは容易ではないと考えていますが、ソフトウェアに関しては、多くの普及台数を活かしたビジネスができる機会があると考えています。

 昨年の『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』や、今年の『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のように、Nintendo Switchには発売3日間で1000万本以上の販売となったタイトルがありますが、当社の過去のハードウェアではソフトウェアがこれほどのペースで売れた例はありませんでした。

 また、引き続き新作タイトルを発売していくことに加え、発売済みのタイトルについても、追加コンテンツを配信するなどによって、お客様に⻑く遊んでいただきたいと考えています。

 次世代機への移行に関しては、以前はハードウェアだけが当社がお客様とつながる手段であり、ハードウェアが新しくなるとお客様との関係を再構築していく必要がありました。一方、NintendoSwitch に関しては、ニンテンドーアカウントを介してさまざまなお客様と直接つながることができています。

 ニンテンドーアカウントは、ゲーム専用機由来だけではなくモバイルアプリ由来も含めて、世界中で多くの方に作成いただき、アカウント数は2億9000万以上となっています。

 Nintendo Switchから次世代機への移行においては、ニンテンドーアカウントを活用しながら、お客様にうまく移行していただけるように努めていきたいと考えております。

 くわえて、大阪に存在するテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」内で展開中のエリア「スーパー・ニンテンドー・ワールド」へ来園された方からの質問とその回答も公開された。

――先日、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにある「スーパー・ニンテンドー・ワールド」に行ってきた。非常に楽しかったが、少し狭く感じた。任天堂は、自社のキャラクターで勝負できる力を持っている会社だと思うので、今後もう少しテーマパークを広い地域に展開していったらどうか。

古川氏:

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン様が現在展開している「スーパー・ニンテンドー・ワールド」については今後拡張の予定があり、「ドンキーコング」をテーマにした新しいエリアが2024年に開業する予定です。

 また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは、「スーパー・ニンテンドー・ワールド」のエリア外においても、3 月から開始した「NO LIMIT!パレード」にマリオカートのフロートが参加しており、夏には水かけ祭り「スーパーマリオ・パワーアップ・サマー」も予定されています。

 また、「スーパー・ニンテンドー・ワールド」は⼤阪に続いて、今年、米国のハリウッドでもオープンしました。今後、米国オーランドやシンガポールでもオープンしますので、世界中のより多くのお客様に当社キャラクターに触れていただければと考えています。

代表取締役 フェロー 宮本茂氏:

 家族みんなで遊べる場所(を提供できる)というのが、任天堂の魅力だと認識しています。任天堂のキャラクターやゲームを 3 世代にわたって楽しんでいただいていること、そしてそのような方々が世界中にいらっしゃることは、当社の強みであり、特別なことでもあります。

 モバイルアプリや映画の制作に取り組んだことにより、当社の IP をご存じの方が世界中で増えてきたと実感しています。映画に関しては、ご家族みんなで映画館に行って一緒に楽しまれたという声も多くお聞きしています。

 テーマパークビジネスに関しては、これからも、ユニバーサル・ディスティネーションズ&エクスペリエンシズ様と密接に連携して展開していきたいと思います。詳しくはユニバーサル・ディスティネーションズ&エクスペリエンシズ様からの発表をお待ちください。

 映像も複数の展開をしていきたいと思います。こうした取り組みを通して当社のIPを世界中のあらゆる世代の方々に知っていただき、ご家族で安心して楽しんでいただけるブランドをつくっていけたらと思います。今後も応援をよろしくお願いいたします。

 質疑応答のピックアップは以上となる。今回公開された資料では、上記3問を含め全18問の質疑応答がおこなわれているので、興味のある方は公式サイトへアクセスしてみてほしい。

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