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 イギリスでちょっと変わった実験が行われた。スーパーのショッピングカートの持ち手部分に心拍を測定するセンサーを設置し、「脳卒中」になるリスクがある人を診断したのだ。

 心房が細かく動いてけいれんし、不整脈を起こす「心房細動」という心臓の病気がある。これになると脳卒中のリスクが5倍以上もあがるという。心臓に血栓ができやすく、それで血管がつまってしまうからだ。

 2100人以上が参加した今回の研究では、これまで心房細動と診断されたことがなかった39人にこの心房細動が見つかったそうだ。

 この研究は、将来的には日常生活を送りながらも、気軽に健康診断を受けられる可能性を示している。

【画像】 不整脈の一種「心房細動」

 「心房細動」は、心臓に流れている電気信号が乱れるせいで起きる不整脈の一種だ。心臓が痙攣でもしたかのように細かく震えて、うまく血液を送り出せなくなる。

 息苦しさや疲労を感じさせるといった症状もあるが、とりわけ大きな問題になるのは、それによって血栓ができやすくなることだ。

 これが流れていってしまうと血管がつまってしまうことがある。だから心房細動がある人は、そうでない人に比べて、5倍以上も脳卒中や脳梗塞になりやすい。

 脳卒中は予防することもできるので、できるだけ早く病気を見つけることが大切だ。

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photo by iStock

ショッピングカートにセンサーを設置し、病気を発見

 今回、リバプール・ジョン・ムーア大学の研究チームは、世界中で4000万人がわずらうこの危険な病気を日常生活の中でチェックする方法を試している。

 そのための秘策がショッピングカートだ。これを押すハンドルバーの中にはセンサーが仕込まれており、不規則な心臓の動きが検出されたら赤いライトで知らせてくれるようになっていた。

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日常生活の中で手軽に健康診断できる未来へ

 リバプール市内のスーパーマーケットで行われた実験には、2100人以上のボランティアが参加し、心臓の健康診断機能付きのショッピングカート買い物をした。

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 これと併せて薬剤師による検査も行われた結果、これまで心房細動であることを知らなかった39人の買い物客で、この病気が見つかったそうだ。

 この実験で異常ありとされたの全体の1割近くの220人。さらなる検査で最終的に心房細動と診断されたのは、そのうちの4分の1から2分の1の人だった。

 またスーパーの買い物客のうち、センサー内蔵カートを使用してくれたのは3分の2ほど。カートの使用を断った人もいたが、そのほとんどは健康診断が嫌だったわけではなく、単純に急いでいたからであるそうだ。

 こうした結果から、ショッピングカートで健康診断をするというアイデアは、大抵の人が受け入れられるものであることがわかる。

 このことから研究チームは、もっとたくさんの人を集めて大規模な実験をする価値があるとしている。

LJMU tests cardio-monitors in trollies at Sainsbury's

 ちなみに検査の結果は本人に知らされ、心房細動と診断された人は、2週間以内に心臓専門医の診察を受けられるよう取り計らわれたそうだ。

 この研究は、エジンバラで開催された欧州心臓学会で発表された。

References:Grocery Carts Can Tell Researchers Who May Be at Risk for Stroke –And 39 Shoppers Were Diagnosed / Supermarket trolleys set to help diagnose common heart rhythm disorder and prevent stroke / written by hiroching / edited by / parumo

 
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ショッピングカートのセンサーが命を救う可能性。脳卒中のリスクがある買い物客を診断