今や運動靴という枠組みを飛び越え、1つのカルチャーとしても世界中で愛されているスニーカー。その魅力である軽快な履き心地と個性豊かなデザインは、一流の革靴を日々の相棒とする読者諸氏をも魅了してやまない。ここでは“本物”を知る大人の男が選ぶべきスニーカーを提案する。

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写真=青木和也 スタイリング=泉敦夫 文=TOMMY 編集=名知正登

 登山、スキー、釣りなどアウトドアスポーツと呼ばれるものは世に数あれども、この数年で一気に注目を集めるようになったのがトレイルランニング。林道や砂利道、登山道など未舗装路を走るこのスポーツは元々、自然が豊かなアメリカやヨーロッパで人気を集めていたが、近年のアウトドアブームに乗ってここ日本でも競技人口は増加の一途。

 それとともに需要が高まっているのが、未舗装路を走るための機能性を有するトレイルランニングシューズである。

 不安定な路面に対応するためのグリップ力や、走行時の着地の衝撃を和らげるのみならず石や障害物などを踏んだ際に怪我から守るクッション性のほか、足首などを保護するサポート性能やアッパーの耐久性と防水透湿性も当然必須。そのハイスペックさが“モノにこだわる”男心をくすぐると、アウトドアだけでなくタウンユースする人も少なくない。

 今回は数ある中から機能性とデザイン性が融合した、選りすぐりの5作を集めた。

 

1. On「Cloudvista」

同社トレランコレクション史上、最軽量を実現したエントリーモデル

 世界特許技術のクラウドテックが生む最上級の履き心地と、そのユニークなソール形状で注目を集めているオン。この「クラウドビスタ」では、ミッドソールに軽量高反発素材のヘリオンスーパーフォームを組み合わせることで、同社のトレイルランニングシューズの中でも最軽量を実現した。

 通気性に優れたシュータンとTPU製マッドガードを備えた2層構造のアッパーは足馴染みも良く、走行時には正確な足のコントロールを可能とする。さらにアウトソールにも独自技術のミッショングリップを採用。小さなラバー製ラグが多様な路面で優れたグリップ力を発揮。クッショニングのバランスも良く、これからトレランに挑戦しようという初心者にぜひ推したい一足。

2. adidas「TERREX AGRAVIC FLOW」

タイヤメーカーが開発したアウトソールが、極上のグリップ力を発揮

 アディダスアウトドアスポーツ・レーベルとして誕生したアディダス テレックスから、汎用性に優れた最新トレランモデルに注目。メッシュアッパーに搭載されたゴアテックス メンブレンが防水性と透湿性を発揮し、悪天候の中でも快適な走行を叶える。

 また本作最大の特長が、極上のグリップ力を発揮するコンチネンタル ラバーアウトソールであることは間違いない。欧州生産車新車納入シェアNo.1のタイヤメーカーにより開発された同素材は、自動車やレース用自転車に採用されるだけあって、地面を確実に掴んで軽快に足を前へと進める。ミッドソールに搭載されたフォーム素材、ライトストライクによるクッション性と反発力も合わせて、ぜひお試しあれ。

3. BROOKS「Cascadia16」

創業100年以上の老舗が生み出した、完成度抜群のオールラウンダー

 ここ日本では知る人ぞ知る存在だが、全米ランニングシューズNo.1シェアを誇る老舗ブランドがブルックス。創業100年を超える同社のトレランシューズの代表作にして、ロングセラーを続ける「カスケディア」は、数々のレースで伝説的記録を残すスコット・ジュレクが開発に携わったモデルとして知られる。

 その最新作の16では、随所をアップデート。1層構造のエンジニアードメッシュのアッパーには、TPUオーバーレイの補強を張り巡らすことで耐久性を向上。これに対して走りの要であるソールユニットは、ミッドソールとアウトソールの構造を改めて、より軽量かつ柔らかな履き心地に。あらゆる地形とコンディションにおいて安定した走り心地を提供する。

4. HOKA「CHALLENGER7」

代表作の1つ「チャレンジャー」をフルモデルチェンジした最新版

  世に厚底ブームを巻き起こし、トレランシューズを街履きするという新たな概念を生み出した改革者といえばホカ。その代表作の1つである「チャレンジャー」シリーズが今回、フルモデルチェンジ

 通気性の良いメッシュアッパーを軽量化し、柔らかな新フォームを採用したミッドソールは、地面からの高さを上げることでクッション性を向上。また、独自開発のラバーを追加したアウトソールは、舗装路や砂利道を走るグラベルロードバイクのタイヤから着想を得たラグパターンに一新。中央に小さなラグを狭い間隔で配置し、周辺部に大型のアグレッシブラグを配置することで、起伏の激しい路面でも優れたグリップ力を発揮する。黒でまとめた配色も実にモダン

5. Salomon「WANDER GORE-TEX

衝撃の緩和とクッション性を向上。なお素晴らしきは防水性と汎用性

 1947年のブランド誕生以来、広大な自然を楽しみ、挑戦するためのプロダクトを開発し続けてきた同社。「ワンダー ゴアテックス」はその名が示すように、アッパーにゴアテックス メンブレンを搭載することで防水性と汎用性を高めることに成功。

 足全体を優しくホールドするセンシフィット構造により安定性も向上し、包み込むようなフィット感を味わうことが可能。これに加えて、ミッドソールに内蔵されたエナジーセルと呼ばれるフォーム素材が生み出す弾力性と柔軟性も特筆もの。走行時の着地による衝撃を緩和し、快適なクッション性を存分に感じられよう。昨今、ファッションアイテムとしても注目を集めるサロモンだけに、最初の一足としても最適だ。

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