東京の美大に通う現役大学生で、グラフィックデザインやアートディレクションについて学ぶ傍ら、趣味として漫画を描いている御宿(@onjuku_2000)さん。現在は、大友克洋先生や松本大洋先生に影響を受けて、ミステリーやSFをテーマに漫画を描くことが多いという。そんな御宿さんが描いた号泣必死の短編「死んでも会いに来て」を紹介したい。

【漫画】本編を読む/主人公に起きた奇跡とは…?

4年間飼っていた猫が死んだ。その猫を拾った場所に座り込む主人公に「アンタ、そんな所で何してんの?」と女の子が話しかけてきた。「邪魔なんだけど」と言う女の子にムッとしながらも「猫が死んだから弔ってるんだよ」と不愛想に答える。

「どんな猫だったの?」と聞かれ、死んだ猫のことを思い返す主人公。思い出すのは、賃貸の部屋の壁で爪とぎする姿や、悩みに悩んで買った首輪を嫌がってつけてくれなかったこと、いつもそっぽ向いていて自分になついているのかもわからなかったことなど、“クソ生意気な猫”との思い出ばかり。

ただ、自分が疲れている時だけはピタッとくっついて離れなかったことを思い出す。しかし「愛されていた自信はない」とぼやく主人公に、女の子は「アンタはその猫ちゃんのこと愛していたの?」と聞く。

いわゆる愛猫家みたいな暮らしはしていなかった主人公だが、猫と過ごした4年間という時間は確かに存在して、その時自分の隣にいたのは「ほかの誰でもなくアイツだった」と語る。“猫を愛していたか?”の問いへの主人公の答えは…!?その答えが明かされる次のページをめくったとき、涙が一気に込み上げてきて止まらなくなる。何度読み返しても、この場面で涙があふれる名シーンだ。

読者からは「不思議だ、目から汗が止まらない」「全俺が泣いた」「涙腺崩壊が止まらない」のコメントが相次いだ。作者である御宿さんに「死んでも会いに来て」を描いたきっかけなどについて聞いてみた。

――「死んでも会いに来て」は何度読み返しても泣けてきます。「死んでも会いに来て」を描いたきっかけを教えてください。

実家でゴールデンレトリバーと黒猫を飼っていたんですが、黒猫が数年前に亡くなってしまって…。そのことがきっかけでこの漫画を描きました。なのでこの漫画はほとんど自己投影なんですよね。

――作中の猫のエピソードなどがリアルですね。自己投影された漫画とのことですが、黒猫ちゃんとの忘れられない思い出や、大好きだったところなど教えてもらえると嬉しいです。

黒猫の名前は「ランプ」です。母が好きなバンドの曲から「ランプ」という名前をつけて、病気で亡くなってしまうまで4年間一緒に過ごしました。本当に漫画の通り、そっけないけれど寂しいときには寄り添ってくれる頭のいい子でした。相方のゴールデンレトリバーは“かまってちゃん”なんですが、ランプはいつも“ガトリングネコパンチ”で反撃していたのを思い出します。今でも夢に出てくるぐらい大好きな子です。

――最後に、今後はどのくらいのペースで作品を描かれますか?

大学での制作がかなり忙しいのですが、漫画もその合間を縫って描いてTwitterやpixivにアップしていきたいなと思っています。商業誌にも載せていただく予定があるので、掲載が決まり次第、Twitterで告知する予定です。

“死んでも会いに来て”…この思いは愛猫を亡くしたことがある人には痛いほどわかる気持ちではないだろうか。「あの子も私のこと愛してくれていたのかな?」「私が愛していたこと、ちゃんと伝わっていたかな?」と自分と重ねて読んで涙が止まらなくなる。家でゆっくり読みたい作品だ。

取材協力:御宿(@onjuku_2000)

もう二度と会えないとわかっているのに、死んでも会いに来てほしいと願う