米アマゾン・ドット・コムはこのほど、2030年までの7年間でインドに150億ドル(約2兆1500億円)を追加投資すると発表した。

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2030年までのインド総投資額260億ドル

 アマゾンアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)が、訪米したインドのモディ首相と会談して明らかにした。

 アマゾンインドで事業活動を始めたのは04年。小売事業を始めたのは13年だった。それ以降同社はインド事業に積極的な投資を行っており、今回明らかにした追加投資で30年までの投資額は計260億ドル(約3兆7300億円)になる(ジャシーCEOのTwitterへの投稿)。

 ロイター通信によると、これに先立つ23年5月、同社傘下のクラウドサービス事業、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は30年までにインドに1兆600億ルピー(約1兆8600億円)を投じると明らかにしていた。

 今回発表した追加投資の大部分はこのクラウドサービス事業に充てるもようだ。だが、同社はインドの電子商取引(EC)事業にも力を入れている。アマゾンは先に、65億ドル(約9300億円)の対インド追加投資を明らかにしている。これにより、米ウォルマート傘下のインドフリップカートなどに対抗する構えだ。フリップカートインドのEC大手で、同程度の市場シェアを持つアマゾンと共に2強として知られる。

2025年までに輸出額200億ドル、200万人の雇用創出

 アマゾンインドサイトのブログ記事によると、ジャシーCEOは、モディ首相との会談で、中小企業支援やデジタル化、雇用創出などに取り組むと述べた。

 アマゾンは、インド小規模企業1000万社のデジタル化、輸出額200億ドル(約2兆8700億円)の実現、200万人の雇用創出を約束した。これらを25年までに行うという。

 すでに同社のインド事業は、小規模企業620万社超のデジタル化を実現している。インド小売事業者向け輸出販売事業における総輸出額は70億ドル(1兆42億円)超に達した。直接および間接雇用は130万人以上に上っており、目標達成に向けて順調に進んでるという。

他の米企業も対インド投資計画

 モディ首相の訪米中には、他の米企業も対インド投資計画を表明した。ロイターによると、半導体製造装置の世界最大手の米アプライドマテリアルズや半導体メモリー大手の米マイクロン・テクノロジーインドへの投資を増やす。米グーグルは、西部グジャラート州にフィンテックのオペレーションセンターを開設すると明らかにした。また、テスライーロン・マスクCEOは、モディ首相との会談後、記者団に対し「テスラインドに進出すると確信している」と述べた(ロイターの記事)。

 モディ首相は、首都ワシントン訪問の最終日に、米アップルのティム・クックCEOやグーグルのスンダー・ピチャイCEO、米マイクロソフトサティア・ナデラCEOなど、米国とインドテクノロジー企業の幹部らとも会談。同氏はこれらグローバル企業に対し「メーク・イン・インディア(インドでの製造)」を呼びかけた。

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