アベンジャーズ”の創設者であるニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が主人公のドラマ「シークレット・インベージョン」の第2話が、6月28日に配信された。第2話では、フューリーと侵略軍の若きスクラル人リーダーのグラヴィク(キングズリー・ベン=アディル)との出会いやタロス(ベン・メンデルソーン)が隠していた秘密、モスクワで起きたテロ事件に対する各国の動きなどが描かれ、スリラー好きにはたまらない緊張感たっぷりの展開の連続にヒリヒリした。(以下、ネタバレがあります)

【写真】ひょうひょうとした様子でスクラル人の指を切り落とす…ある意味一番恐ろしいMI6エージェントのソーニャ

■30年近い付き合いのグラヴィクを失望させたフューリー

今作は国際平和維持組織「S.H.I.E.L.D.(シールド)」の元長官として多くのヒーローを“アベンジャーズ”にスカウトしてきたフューリーが、誰が敵で誰が味方か分からぬ状況下で人類を守るべく暗躍する物語。第1話で今作においての侵略者は、フューリーと親しいタロスと同じスクラル人であり、若きリーダーのグラヴィクが首謀者であることが明かされたが、第2話ではフューリーとグラヴィクの関係性から描かれた。

2人が出会ったのは1997年。映画「キャプテン・マーベル」(2019年)によると、フューリーがスクラル人の将軍タロスと出会ったのが1995年なので、そのわずか2年後である。当時のグラヴィクはまだ子どもだが、クリー人との戦いで両親を失ってから一人で生きてきたためか、同世代の子どもよりも大人びて見える。フューリーはそんな彼の前で、キャロル・ダンバース/キャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)と自分でスクラル人が暮らす新天地を見つけると断言した。

だが、新天地は見つからない上に、フューリーは彼らの能力を“利用”してスパイ工作をさせ、加えて「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年)の後、しばしの間、姿を消してしまった。スクラル人側から見れば、無責任な発言と行動で誠意は感じられない。まだ少年だったグラヴィクがいつまでたっても約束を果たしてくれないフューリーに失望するのも当然と言えば当然であろう。その結果、グラヴィクらは地球を我が物にすべく、民族対立を利用して人類が自滅するよう誘導していく。

■100万人に上るスクラル人の生き残りが全て地球に!?

モスクワでのテロ事件では実行犯がアメリカ人活動家に擬態していたため、アメリカとロシアの対立をあおった上に欧州の緊張感も高めた。そんな状況下で、フューリーは驚きの事実をタロスから引き出す。フューリーは地球にいるスクラル人は生き残った100万人のうちの一部だと思っていたが、実は全員が地球に上陸していたことが判明。しかもシェイプシフター(擬態の名手)であるスクラル人は、誰一人として宇宙人であることを疑われることなく地球に溶け込んでいるというのだ。

擬態しているのは一般市民だけでなく、英国の首相やNATO事務総長など各国の要人の多くもスクラル人であり、すでに彼らに世界規模での政治を掌握されているといっても過言ではないだろう。しかもフューリーだけでなく、”アベンジャーズ”の一員である軍人のジェームズ・“ローディ”・ローズ(ドン・チードル)すらもその正体に気付いておらず、地球人はすでに劣勢状態だ。

加えてよりによってこのタイミングでフューリーは、部下のマリア・ヒルを死なせたことを理由に、ローズを通してアメリカ政府から解雇を命じられる。一方、グラヴィクは英国首相らが集うスクラル人評議会で上層部を説き伏せ、スクラル軍の将軍に任命される。力を得たグラヴィクと、後ろ盾を失ったフューリー。この違いが今後の戦いにどう影響するのかは、想像し得ない。

■MI6エージェント・ソーニャがつかんだ情報とは?

誰もが戦々恐々としている状況の中で、ある人物が動き出す。MI6エージェントのソーニャ(オリビア・コールマン)だ。ロシア諜報員に連れ去られたアメリカ人活動家を追って、彼らの隠れ家である精肉店にひょうひょうとした様子で現れたかと思うと、電話一本で男どもを追い出し、たった一人でテロリストを尋問。

ニヤリとしながら指を切り落とし、スクラル人であることを確認すると血液を160度まで上昇させる液体を注射して、情報を引き出し、あっという間に精肉店から脱出してしまった。グラヴィクらも居場所を突き止めて救出に向かっていたが、後の祭りソーニャは何らかの情報をつかんで姿を消していた。

フューリーはソーニャの家に隠しカメラを仕掛けているため、今後、彼女がつかんだ情報を知る可能性もあるが、戦力不足は否めない。「S.H.I.E.L.D.」時代からの右腕マリア・ヒル(コビー・スマルダーズ)を失い、タロスと口論した今、フューリーは単独で動くのか。クビを宣告された際、ローズ大佐に強気で食ってかかったフューリーだが、実際のところは…。

ちなみに第1話のラストで撃たれたヒルについてだが、第2話を見るまで“本物のヒル”は生きているかも、と一縷の望みがあったものの、ヒルの母親が認めているので“本当に”死んでしまったようだ。残念でならない。

フューリーの結婚相手はスクラル人?

今作は毎話、最後のワンシーンに驚きの展開がインサートされるようで、第2話ではフューリーがスクラル人の女性が暮らす家に向かった。すると次の瞬間、彼女は人間の姿になり、フューリーに結婚指輪をはめることを要求。フューリーはスクラル人と結婚していたようだ。部屋には人間の姿をした彼女の大きな絵が飾られているが、果たしてフューリーは彼女がスクラル人であることを承知しているのか? 次回第3話では、そこにも注目したい。また、グラヴィクやタロスの娘・ガイア(エミリアクラーク)らが暮らすロシアの村の奥で、ダルトン夫妻なる科学者が研究している“何か”の正体も気になるところだ。

今作は全6話のため、残りはわずか4話。フューリーは誰が味方で誰が敵か分からぬ状況の中で、人類だけでなく、スクラル人をも救うことはできるのか、彼自身の運命は?「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」史上、最もスリラー好きを唸らせる一作になりそうだ。

ドラマ「シークレット・インベージョン」は、毎週水曜昼4:00よりディズニープラスで独占配信中。

◆文=及川静

「シークレット・インベージョン」第2話より/(C) 2023 Marvel