米海軍はアーレイバーク級を90隻建造するとか。

今回は米海軍への引き渡しまで

アメリカ海軍は2023年6月27日、最新のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦ジャック・H・ルーカス」が、建造元であるハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)のインガルス造船所から引き渡されたと発表しました。

ジャック・H・ルーカス」はアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の75番艦で、原型、いわゆるフライトIといわれる初期建造艦と比べて、多くの改良が施されたフライトIIIと呼ばれるタイプの最初の艦になります。

フライトIIIは、搭載するレーダーが最新の「SPY-6」と呼ばれるものになっているのが最大の特徴です。これは、従来のフライトIやフライトIIに属する艦が搭載する「SPY-1」と比べて探知距離や精度、整備性などの面で格段に向上しています。

またSPY-6は、ソフトウェアの改修によって新たな機能を追加したり、能力の向上を図ったりすることができるのも特徴のひとつです。ソフトウェアの拡張機能を用いて、将来的に複数の艦艇によるレーダーの協調運用を可能にするといったことも計画されているようで、別々の艦艇に搭載されているSPY-6同士がリアルタイムで情報を共有することができるようになると、自艦のレーダーでは島影などに遮られて見えない海域があったとしても、そこを見ることができる別位置に所在する僚艦のレーダー情報を共有・統合することで、広大な範囲の状況図を作成できるようになります。

艦名は、第2次世界大戦末期に行われた硫黄島の戦いで、弱冠17歳ながら味方兵士3名の命を救ったアメリカ海兵隊員、ジャクリン・ハロルドルーカスに由来します。彼は第2次世界大戦における最年少での名誉勲章受賞者で、その勇気と栄誉を称え、命名されたそうです。ちなみに彼は戦後、アメリカ陸軍に再入隊し、今度は第82空挺師団の落下傘兵士になったとのこと。最終的に陸軍大尉で除隊しています。

なお、同艦はこの後も120日間にわたって造船所のあるミシシッピ州パスカグーラに留まり、各種試験が行われるそう。アメリカ海軍のスケジュールでは2024年に就役する予定です。

アメリカ海軍の最新鋭イージス駆逐艦「ジャック・H・ルーカス」(画像:アメリカ海軍)。