週末動員ランキングで3週連続1位に輝くなど日本でも大ヒット中の『リトル・マーメイド』(公開中)。人間の世界に憧れる人魚姫アリエルのひたむきな姿が、観る者に一歩踏みだす勇気をくれる感動作で、1989年公開のアニメーション版から人気を博す「パート・オブ・ユア・ワールド」、「アンダー・ザ・シー」といった名曲たちも新たに生まれ変わって大きな話題を集めている。特にアリエル役の新星、ハリー・ベイリーが歌う「パート・オブ・ユア・ワールド」は、40の国のSpotifyのバイラルチャートでTOP10にランクイン。日本でも1位を獲得しているだけでなく、本作からほかに11曲もチャートインしている。

【写真を見る】映画ファンが選ぶアラン・メンケンの人気曲とは?『リトル・マーメイド』からはあの名曲がランクイン!

そんな『リトル・マーメイド』を彩る楽曲を手掛けたのは、アラン・メンケンとリン=マニュエル・ミランダのコンビ。そして、メンケンといえば『リトル・マーメイド』以外にも、『美女と野獣』(91)に『アラジン』(92)、『ノートルダムの鐘』(96)、『ヘラクレス』(97)、『塔の上のラプンツェル』(10)など、錚々たるディズニー作品の楽曲を手掛けてきた巨匠中の巨匠。そこでMOVIE WALKER PRESSでは、ファンに向けて「一番好きなアラン・メンケンの楽曲は?」というアンケートを実施。TOP5の楽曲をランキング形式で発表すると共に、たくさんの応募のなかから印象的なコメントをピックアップし、それぞれに寄せられた熱い想いを紹介したい。

ディズニー作品になくてはならない名作曲家、アラン・メンケン

まずは、メンケンの紹介から。1949年生まれのニューヨーク出身で、ディズニー以外にもブロードウェイのミュージカル作品で活躍してきた。アカデミー賞において計8回の歌曲賞、作曲賞の受賞歴を誇るほか、グラミー賞でも最優秀楽曲賞に輝いた「ホール・ニュー・ワールド」(アニメーション版『アラジン』)をはじめ11回の受賞を果たし、トニー賞、エミー賞も獲得。現在までに18人しかいない、アメリカ・ショウビズ界の4大アワード、通称EGOT (エミー賞、グラミー賞、オスカーアカデミー賞、トニー賞の頭文字から)を制覇した一人にも名を連ねている。

ディズニーとのタッグはアニメーション版『リトル・マーメイド』から始まり、「パート・オブ・ユア・ワールド」、「アンダー・ザ・シー」など登場人物たちの心情に寄り添い、物語を盛り上げる楽曲を数多く制作してきた。彼が携わったディズニー作品は興行的、批評的にも大成功を収め、いわゆる“ディズニールネサンス”と呼ばれる黄金時代を築く立役者になったことは誰もが知るところだろう。今回のアンケートでも、そんなメンケンが生みだす、耳に残るキャッチーなメロディラインに魅了されてきた人たちの想いが確認できる。

「『世界で一番好きな作曲家はアラン・メンケンです!』と胸を張って言えます。とても美しいメロディの楽曲たちは、ディズニー作品になくてはならないものだと思っています」(20代・女性)

アラン・メンケンの楽曲はどれも美しく、曲を聴くだけで主人公たちの感情が強く伝わってきます」(30代・女性)

ディズニーの音楽が好きでコンサートにもよく行くのですが、アラン・メンケンさんの音楽は聴くだけでその名場面が頭に浮かびます。数々の名曲を生みだす天才だと思っています!」(20代・女性)

このほかにも、家族そろって映画を観た、発表会や結婚式で楽曲を“演奏した”&“使用した”といった思い出を振り返るコメントも続々。メンケンの楽曲がいかに長きにわたって親しまれ、大勢の人生を彩ってきたかを再確認できる。

■【第1位】アラジンジャスミンが夜空を魔法の絨毯で飛び回る「ホール・ニュー・ワールド」

アンケートで栄えある第1位に選ばれたのはアラジン』から「ホール・ニュー・ワールド」。ランプの魔神の力で異国の王子になったアラジンが想いを寄せる王女ジャスミンを城から連れ出し、魔法の絨毯に乗って世界中を飛び回るシーンで流れる名曲だ。先述のとおりアニメーション版『アラジン』はグラミー賞に加えて、アカデミー賞の歌曲賞、ゴールデン・グローブ賞の主題歌賞にも輝いている。

「イントロを聴くだけで泣いてしまうくらい大好きな曲です」(30代・女性)

「美しいメロディ。美しいハーモニー。美しいテーマ。浮遊する映像と恋のときめきを的確に表現しつつ、説明的に陥っていないのが、本当にすばらしいと思います。いまだにメロディを聴くだけで胸がドキドキします」(50代・男性)

「小学生の頃にピアノの発表会で憧れのお姉さんと連弾で弾いた思い出の曲です。アラジンジャスミンの重なり合うハーモニーと、魔法の絨毯に乗って夜空を旅する景色が浮かんでくるような開放感のある曲展開が好きです」(30代・女性)

など、2人の距離が近づくマジカルでロマンティックなシーンへの憧憬や、その雰囲気にこれ以上ないほどマッチした楽曲という意見が多数寄せられていた。

■【第2位】ベルと野獣の心が重なり合う姿を盛り上げる「美女と野獣

第2位には『美女と野獣』の「美女と野獣」がランクインした。父親に代わって森の奥深くにある城で暮らさなくてはならなくなった心優しいベルが、城の主である野獣としだいに心を重ねていき、2人だけの舞踏会を美しく彩るナンバー。アニメーション版『美女と野獣』でメンケンは、アカデミー賞作曲賞に輝いただけでなく、この楽曲で歌曲賞も受賞している。

「2人の心が通い合った大事なシーンにぴったりで、自分もこんな風に恋愛できたらすてきだなと幼いながらにキュンとしました。ベルのドレスや髪型に憧れたものです」(30代・女性)

「映像と音楽がシンクロして、魔法にかかったかのように、毎回感動で胸がいっぱいになって涙があふれ出てきます」(40代・女性)

「あのすばらしいダンスシーンが脳裏に甦ります。私自身の結婚式でも、スタッフの方にお願いして演奏してもらいました」(30代・女性)

「ベルと野獣の互いに対する気持ちが愛へと変わっていくところが、ロマンティックで大好きです!」(30代・女性)

ダンスを通じて野獣とベルの心が通い合うシーンに寄り添った楽曲ということで、「何度観ても感動する!」という声が多くみられた。また「楽曲を聞くだけでそのシーンがはっきりと浮かび上がる」という意見も多く、メンケンの手腕が発揮された1曲だ。

■【第3位】セバスチャンらが陽気に歌う様子が楽しい「アンダー・ザ・シー」

第3位には、実写版が公開中の『リトル・マーメイド』から「アンダー・ザ・シー」が登場。人間の世界やエリック王子への想いに焦がれるアリエルに対し、カニのお目付け役、セバスチャンが「陸よりも海のほうが楽しいよ!」と海の仲間たちと歌うポップな楽曲。『美女と野獣』以前に、メンケンに初めてアカデミー賞歌曲賞をもたらした楽曲で(作曲賞も初受賞)、カリブ海を思わせる陽気なメロディに思わず体も踊りだしそうになる!

ダイビングが大好きで、よく潜る前に聴いています。『アンダー・ザ・シー』を聴いて潜る海は格別で、まるで自分がアリエルになってお魚たちと歌っているような気分が味わえます!」(10代・男性)

「明るい気持ちになれる曲で、これを聴きながらだと嫌いな家事も捗ります!(笑)」(20代・男性)

「試写会で実写版リトル・マーメイド』を観てきました!セバスチャンたち海の仲間たちがリアルになっているのがとてもよかったです。『ナショナルジオグラフィック』の映像を観ているようで、しかもその生き物たちが最高にかわいくてかっこいい。最高のショーでした!」(30代・男性)

「子どもの頃から耳に残る楽しい曲でよく口ずさんでいました。子どもも大人も気持ちを楽しくさせてくれるすてきな曲だと思います」(30代・女性)

アンダー・ザ・シー」には、「とにかく聴くだけで気分が楽しくなる!」という声が多く寄せれられた。楽曲が流れる、海の生き物たちのダンスシーンの演出も含めて、エンタテインメント性の高さが評価されているようだ。

■【第4位】アリエルの張り裂けそうな想いがリアルに伝わってくる「パート・オブ・ユア・ワールド」

第4位も『リトル・マーメイド』からで「パート・オブ・ユア・ワールド」がランクイン。父であるトリトン王をはじめ、周囲から人間の世界に憧れる気持ちを理解されないながらも、まっすぐに“憧れる想い”を持ち続けるアリエルが歌い上げるエモーショナルなナンバー。

アリエルの心情と『リトル・マーメイド』の神秘的な世界観が巧みに表現されていて、聴くだけで胸がギュッとなるようなせつなさを覚えるメロディが大好きです」(20代・女性)

「That World(人間の世界)に憧れる気持ちを思い留めていたアリエルが、エリックと出会ったことで恋に落ち、Repriseで曲名通りYour World(あなたの世界)へ行くと気持ちの変化が表されているところがすてきすぎる。まさに神曲です」(20代・男性)

アリエルの歌声がすてきなのはもちろんですが、率直な想いが歌われていることに惹かれて好きになりました。日頃、社会に対していろんな不満を抱えている自分とアリエルが重なったことも理由だと思います」(20代・女性)

作品を象徴する楽曲とも言え、劇中では何度も流れるが、溺れるエリック王子を浜へ運んだアリエルが、離れた岩場から「いつかそこへ行ってみせる!」と決意を込めて歌う場面は強く心に残るはず。アリエルの感情をより如実に表しており、この楽曲を選んだファンの声からは、「アリエルの想いに共感する」といった、思い入れの強さが特に伝わってくる。

実写版リトル・マーメイド』のために作られた新曲も紹介!

TOP5に2曲が入ったことからも根強い人気の高さが伺える『リトル・マーメイド』。上記のコメントには実写版に言及する声もあったが、城の中でじっとしているのではなく、外の世界へ飛び出して様々なことを見て経験したいとエリック王子が歌う「まだ見ぬ世界へ」など、本作のためにメンケンとミランダが作った新曲を推す回答も数多く集まっていた。

「何もかも初めて」

「何もかも初めて」は、邪悪な魔女アースラとの契約で人間の足を手に入れるも、代わりに声を失ったアリエルが心のなかで歌う楽曲。海で漁師に助けられたアリエルは、運よく城に迎えられ、エリック王子と対面する。最初はアップテンポなリズムで人間の世界と初めての恋に心を躍らせる気持ちが描かれるが、やがて声を代償にしたことの重大さを理解していく変遷を、巧みな楽曲構成で表現している。ちなみに、この曲の歌詞をよくよく聞くと、「パート・オブ・ユア・ワールド」に対するアンサーソングのように捉えることもできるので、ぜひ聴き比べてみてほしい。

「新たに書き下ろされた曲なのに、すっと耳になじんだことに驚きました。アリエルが足を手に入れ、憧れていた陸を探検したいワクワクと未知の世界のわからないことに対する不安が入り混じった感情が、テンポやメロディで表現されていたので、よりいっそうアリエルの気持ちを身近に感じた気分になりました」(20代・女性)

「スカットル・スクープ!!」

「スカットル・スクープ!!」は、アリエルの友人のカツオドリ、スカットルがメインで歌う楽曲だ。エリック王子が誰かと結婚することを決断したという噂を聞きつけ、その情報を慌ててアリエルに伝えにやってくる。まくし立てるようなラップの曲調で、ラッパーとしても活躍するオークワフィナとセバスチャン役のダヴィード・ディグスによるかけ合いは見事。日本語吹替版では声優の高野麗(スカットル)と木村昴(セバスチャン)が担当しており、こちらにも絶賛の声が相次いでいる。

「『リトル・マーメイド』を試写で観ました。昴君のラップ最高でした!」(30代・女性)

木村昴君のラップパートの新曲がよかったです!」(30代・女性)

■【第5位】ラプンツェルフリンの周囲を美しいランタンの光が照らす「輝く未来」

第5位には、初めて3Dで作られたディズニープリンセス作品『塔の上のラプンツェル』(10)がランクイン。主人公はどんな傷や病も癒してしまう魔法の金色の長い髪を持ったラプンツェル。森の奥深くの高い塔に閉じ込められて暮らす彼女が、塔に忍び込んできた大泥棒のフリンと出会ったことから外の世界へ飛び出す冒険ストーリーで、しだいに互いを意識し始める2人の心情を盛り上げる「輝く未来」が選ばれた。ボートに乗って河を進む2人を囲うように、無数の光輝くランタンが空に舞い上がっていく美しい光景が広がり、こちらもここまでに挙がった楽曲に負けず劣らずのロマンティックなデュエット曲になっている。

「綺麗なランタンの景色が目に浮かぶので大好きな曲です」(30代・女性)

「輝くランタンに囲まれたラプンツェルフリンのロマンティックなシーンに、あまりにも合致する歌詞、優しくて美しいメロディが大好きな曲です!個人的には楽曲を含めてディズニー史に残る名シーンだと思っています」(30代・女性)

「思わず口ずさみたくなるような、きれいなメロディラインが好きです」(30代・女性)

アニメーション版から数えると、第1位の「ホール・ニュー・ワールド」の『アラジン』、第2位の「美女と野獣」の『美女と野獣』に比べて、比較的近年のディズニー作品である『塔の上のラプンツェル』。それでも、やはりロマンティックなデュエットシーンは世代を超えて人気であることがわかる結果に。

東京ディズニーシーのために作られた「コンパス・オブ・ユア・ハート」

TOP5すべてにディズニー作品が入った形になったが、映画楽曲以外のメンケンの曲も支持されており、最も多かったのが「コンパス・オブ・ユア・ハート」。こちらは東京ディズニーシーのアトラクション「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」で使用されている曲であり、テーマパークの楽曲も手掛けるメンケンの活動範囲の広さと人気ぶりを改めて知ることができる。

アラン・メンケン様の楽曲はどれも心に響き、穏やかで、メロディが優しく心地よい。前向きな気持ち、幸せな気持ちにしてくれる魔法です。特にディズニーシーシンドバッドで聴ける『コンパス・オブ・ユア・ハート』は神曲」(30代・女性)

「何度聴いたか。何度歌ったか。何度感動をもらったか。そんな曲が多いですが、この曲も欠かせないと思って選びました。ディズニーシーに行ったら必ず乗るシンドバッド。壮大な曲に前向きになる歌詞。何度励まされたかわかりません。これを聴くためにディズニーシーに行くくらいです(笑)」(30代・男性)

「初めて聴いた時から耳から離れなかったです。勇ましい気持ちになる曲調と歌いたくなるようなメロディラインがいい。なによりディズニーシーのアトラクションのために作ってくれたというのがとてもうれしいです」(30代・男性)

男女問わず、幅広い世代から支持さえていることがわかるアラン・メンケンの楽曲たち。そんな彼が参加した最新作『リトル・マーメイド』のサウンドトラックはCDやデジタル配信でも聴くことができる。「パート・オブ・ユア・ワールド」、「アンダー・ザ・シー」などの名曲の日本語歌、英語歌が網羅され、全世界で唯一、メンケンによる書き下ろしスコア(ボーナス・トラック)をCD化した決定版も発売中だ。劇場で得た感動をお家や外出先で堪能してはいかがだろうか?

構成・文/サンクレイオ翼

「パート・オブ・ユア・ワールド」、「アンダー・ザ・シー」といった名曲に彩られた『リトル・マーメイド』/[c] 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.