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 まるで戦闘機のような姿をした世界最速の超音速旅客機オーバーチュア(Overture)」は、東京・シアトル間を4時間半で飛べるほどの速さだ。

 昨年その構想プランをお伝えしたかと思うが、2023年6月、フランスで開催された「パリ航空ショー2023」では、超音速飛行を支える「シンフォニー・エンジン」など、オーバーチュアに搭載される飛行システムの全体像が公開された。

 機体を開発するアメリカの超音速旅客機メーカー「ブーム・スーパーソニック社(Boom Supersonic)」によれば、オーバーチュアはこれまでの旅客機の2倍の飛行スピードを誇り、それを100%持続可能な航空燃料によって実現するという。

 この次世代旅客機は、すでに130機を受注したとのことで、その中には日本航空も含まれている。ついに現実のものとなる日が近づいてきたようだ。

【画像】 世界最速の超音速旅客機「オーバーチュア」のメカニズム

 「世界最速の旅客機」と謳われるオーバーチュアは、コンコルドの引退以来久しく絶えていた次世代の超音速旅客機だ。

 昨年公開された映像で紹介されているその姿は、飛行の効率を徹底的に追求したおかげで、 旅客機でありながら戦闘機を彷彿とさせる。”超"音速旅客機というだけあって、その飛行スピードは従来の旅客機の2倍に達する。

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 今回、フランスで開催されたパリ航空ショー2023では、心臓部となるシンフォニー・エンジンなど、オーバーチュアに搭載される飛行システムの全体像が公開された。

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 それは航空電子機器・飛行制御装置・油圧系・燃料系・着陸装置といったもの。これらの機構が、超効率的な飛行や安全性を支えることになる。

Overture Systems Configuration Revealed

 たとえば、オーバーチュアの燃料系は、亜音速・超音速での飛行中に重心制御を行うことが可能で、”持続可能な航空燃料”に完全対応している。

また油圧系は、同じ構造のものが3重に搭載される。おかげで仮に一部が故障したとしても、機体のコントロールに支障が出ることはない。

 着陸装置は各国際空港の仕様に合わせられたもの。世界600以上の路線で就航が可能だ。

 なめらかでいかにも空力性能が高そうなオーバーチュアの機体だが、それは複合素材構造によって強化されている。

 一方、無用なリスクを減らし、機体の熟成を図るために、主要システムには認証された技術が採用されたという。

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すでに130機を受注

 オーバーチュアはまだ開発中の機体だが、すでに130機を受注しているという。ユナイテッド航空・アメリカン航空、そして日本航空など、発注元には大手航空会社の顔ぶれが並ぶ

 またアメリカの軍需企業ノースロップ・グラマン社と共同で、オーバーチュアの軍用バージョンも開発されているとのこと。

 シンフォニー・エンジンを共同開発するフロリダ・タービン・テクノロジーズ社のステイシー・ロック氏は、プレスリリースで次のように語る。

 「オーバーチュアとシンフォニー・エンジンには、超音速旅行の未来に変革をもたらす大きな市場の可能性が秘められています」

 またシンガポール航空宇宙プログラムの会長リック・パーカー氏は、次のようにコメントする。

シンフォニー・エンジンは、オーバーチュアを長期にわたる商業的成功へ導くための鍵です。

ブーム社のシンフォニー開発戦略は革新的で、この分野に貢献するチャンスを狙う一流サプライヤーであることをうかがわせます。きっと画期的なワクワクするような超音速エンジンを開発してくれるでしょう

 オーバーチュアの生産工場は現在建設中だそうだ。

Overture Superfactory Construction Underway

References:Boom - Supersonic Passenger Airplanes / Boom Supersonic's fastest jetliner 'Overture' closer to reality / written by hiroching / edited by / parumo

 
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世界最速の超音速旅客機がついに実現に近づく。東京・シアトル間が4時間半