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≠MEの全国ツアー「≠ME全国ツアー2023『We shout “I am me.”』」が昨日6月30日に東京・日本武道館ファイナルを迎えた。

【写真19枚】≠MEの東京・日本武道館公演より、そのほかのライブ写真。

≠MEは今年3月に東京・東京国際フォーラム ホールAで「≠ME 4th ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT」を開催。その中で4月から全国ツアーが行われること、ファイナルが6月29、30日の2日間にわたって日本武道館で開催されることがサプライズで発表され、メンバーは涙を流しながら喜びをあらわにした。≠MEが単独で日本武道館のステージに立つのは結成5年目にしてこれが初めて。開催の発表から約3カ月、≠MEはメンバー12人一丸となって邁進し、各日約8000人、計1万6000人に及ぶ観客を日本武道館に集めることに成功した。

開演時刻を迎え、オープニングムービーとともに「Overture」が流れ始めると、スタンド席、アリーナ席の一面がペンライトのカラフルな光で染まる。「Overture」が鳴り終わると同時に、コンサートの1曲目を飾ったのはデビュー曲「≠ME」。ビビットな色合いのチェックの衣装でステージに姿を現した12人は、イントロが流れている間、横一列に並んでポーズを決めたまま動かず、その立ち姿だけで観客の心を鷲づかみに。開演したばかりにもかかわらず会場のファンは沸騰したかのような盛り上がりを見せ、落ちサビ前にはステージ上のメンバーに向かって「好きだー!」と叫んだ。曲を重ねるたびにライブの勢いは右肩上がりに加速し、4曲目「好きだ!!!」ではメンバーがゴンドラでアリーナを横断しながら観客と手を振り合う。鈴木瞳美がセンターを務める「ポニーテール キュルン」では力のこもった“ガチ恋口上”が響き渡り、≠MEはその声を笑顔で受け止めた。なお、初日公演ではサンリオキャラクターのマイメロディがこの曲のスペシャルゲストとして登場し、メンバーとともに両手でハートを作るポーズを決めた。

メンバーが1人ひとり元気いっぱいに自己紹介したあと、ライブはユニット曲のコーナーへ。≠MEの幅広い楽曲、表現力をたっぷりと堪能できる、緩急を効かせた構成でパフォーマンスが展開された。まずはキックボードに乗って登場した永田詩央里と本田珠由記の”しおみる”コンビが「2時半ろけんろー」を披露し、ロックンロールサウンドにキュートな歌声を乗せて観客の心をほぐす。冨田菜々風が雅やかなダンスを経て披露されたのは、初日公演のセットリストには入っていなかった「薄明光線」。スモークが幻想的な光景を作り出す中、どよめきが起こる客席を櫻井もも、蟹沢萌子、冨田の3人は突き抜けるような力強い歌声で圧倒した。

演歌パートも盛り込んだカオスなナンバー「ウルトラレアキッス」では尾木波菜、菅波美玲、本田がラケットを使って、甘くキュートな楽曲「サマーチョコレート」では鈴木と谷崎早耶がゴンドラの上からボールを客席に飛ばす。その後もシリアスなナンバーと明るく弾けるような楽曲が交互に続き、蟹沢と冨田によるデュエット曲「ピオニーズ」では2人の情熱的で濃密な歌に合わせて客席が真っ赤な光一色に。「こちらハッピー探検隊」の曲中にはセンターの“河口夏音隊長”を中心に寸劇が繰り広げられ、日本武道館の大きなステージに朗らかな空気が漂った。

観る者を飽きさせない多彩なパフォーマンスを届けた12人は、続くブロックでクールな一面を全開に。ダンストラックに合わせて切れ味鋭いダンスを披露したのち、≠ME史上最高難度のダンスが見どころのガールクラッシュ感あふれるナンバー「天使は何処へ」へとつなげ、会場中の視線をステージ上に釘付けにした。さらに間髪をいれずに「P.I.C.」が始まると、メンバーは椅子やステッキ、帽子を駆使した魅惑のパフォーマンスを展開。川中子奈月心がピエロに扮したり、尾木が片手で側転を披露したりと、エンタテインメント性の高いステージで楽曲の世界観を強調した。

日本武道館への思いを語るインタビュー映像を挟んで始まったライブ後半、ステージ上に用意されたのはメンバーが以前から憧れていたというバンドセット。赤と白のきらびやかな衣装に着替えた12人は生バンドが生み出すダイナミックなサウンドを味方に、これまで以上に迫力あふれるライブを届けていく。「クルクルかき氷」でファンと一緒にタオルを振り回した彼女たちは、ステージ上を縦横無尽に動き回り、客席にウェーブを起こして会場の空気をひとつに。「『君の音だったんだ』」では櫻井と冨田による息ぴったりのハーモニーが生演奏に乗せてたくましく響いた。続く「はにかみショート」は、冨田がピアノの伴奏に合わせてソロで歌い上げる特別なアレンジで曲が始まる。観客はその姿を息を呑んで見つめていたが、その後バンドのアンサンブルが加わり、曲の途中から櫻井がドラムを演奏し始めるという驚きの展開に大盛り上がり。櫻井が鳴らす軽快なリズムクラップを重ねた。

この生バンドコーナーでクライマックスとなったのが、“推し”に対するファンの切なく深い思いをつづった「君はスパークル」、アイドル目線でファンに対する思いを描いた「『君と僕の歌』」が連続で披露された場面。「君はスパークル」では、休養から復帰した川中子が堂々とセンターに立ち、盛大な歓声を浴びる。また「『君と僕の歌』」ではペンライトの色を≠MEカラーにそろえるようメンバーが呼びかけ、日本武道館がまぶしいエメラルドグリーンの光でいっぱいに。さらに観客がシンガロングを繰り広げ、冨田が「約束さ 大きいステージに連れて行く」と歌うパートで「大きなステージに連れてきたよ!」と晴れやかに叫ぶなど、場内がエモーショナルなムードで包まれた。

感無量の表情を浮かべた冨田は「ファンの皆さんとの約束の歌」であるという「『君と僕の歌』」について語り始め、「目を閉じて夢を見ているような振付があるんですけど、ステージ上で目を閉じるとき、私はいつも『大きいステージに立ったらどんな景色が見えるんだろうな』って想像していました。そして今日、パッと目を開けたとき、その景色が目の前にありました。エメラルドグリーン色の、≠MEのカラーに染まった会場があって……夢って本当に叶うんだって思えた瞬間でした」とゆっくりと言葉を紡いだ。「今日このステージに立てたことで、私たちはこの先も同じように夢を叶えていけるって思いました」「これからもずっと一緒にいてください! 約束です!」とまっすぐに呼びかけた彼女は、続いて披露した「まほろばアスタリスク」の曲中にも「これからも≠ME12人についてきてください!」とファンへの思いを声に乗せる。そしてその言葉を強調するように、客席に向けて銀テープが放たれた。

「自分賛歌」で勢いよく幕を開けたアンコールでも感動的なパフォーマンスが続く。12本のマイクスタンドの前に並んだ≠MEは「虹が架かる瞬間」を丁寧に歌唱。曲が終盤に差しかかると弧を描くようにして向かい合って歌い、12人全員で日本武道館のステージに立てた喜びを噛み締めた。

記念撮影後にはスクリーンに特報が映し出され、ABCラジオ「ノイミーステーション」発のプログラムとして、≠ME初の地上波冠特番「ノイミーステーションTV」が8月5日深夜にABCテレビで放送されることがサプライズで発表された。ファンとともに今後の活動への期待を膨らませた≠MEは、始まりの曲「≠ME」をラストナンバーとしてパフォーマンス。この日2回目の「好きだー!」の叫びが日本武道館こだますると、コンサートの成功を祝福するように大量の紙吹雪がアリーナに降り注いだ。

リーダー蟹沢萌子 コメント

日本武道館は私たち≠MEにとってずっと憧れの場所だったので、このステージに立つことができて、2日間公演を行って改めてこの場所に立たせていただけて、すごく幸せを実感しました。
本当に≠MEのためにたくさんの方が集まってくださって、結成から約4年半ほど経つ中でこんなに≠MEを愛してくれている方がいっぱいいるんだなとすごく幸せを感じました。日本武道館という場所は私たちにとってすごく大きなステージですし、このツアーを通してたくさんの方に≠MEのパフォーマンスをみていただいたので、これからもっともっと≠MEを大好きになっていただけるようにメンバー全員で足並みを揃えてファンのみなさんと進んで行けたらいいなと思います。ツアーでは、どこの場所に行ってもみんなが待っていてくれることがすごく嬉しくて、そんなみんなの笑顔に私たちがパワーをいっぱいもらってました。どこも本当に楽しくて、今回いけた場所も行けなかった場所も何度でもみなさんのところへ会いに行きたいなって思いました。≠MEが世界中の人に愛してもらえるように≠MEを大好きになってもらえるようにみんなとがんばります!

初日公演出演 マイメロディ コメント

とってもかわいい≠MEのみんなといっしょにおどることができて、とーってもうれしかったの♪
たくさんのおともだちのみなさんがふっていたペンライトが、のはらにさく お花みたいできれいだったよ♡
メロディ、≠MEのみんなのことがもっとも~っとだいすきになったよ♡これからもいっしょにがんばろうね♪

≠ME「≠ME全国ツアー2023『We shout “I am me.”』」2023年6月30日 日本武道館 セットリスト

01. ≠ME
02. 秘密インシデント
03. マシュマロフロート
04. 好きだ!!!
05. ポニーテール キュルン
06. 2時半ろけんろー / 永田詩央里、本田珠由記
07. 薄明光線 / 櫻井もも、蟹沢萌子、冨田菜々風
08. ウルトラレアキッス / 尾木波菜、菅波美玲、本田珠由記
09. サマーチョコレート / 鈴木瞳美、谷崎早耶
10. ピオニーズ / 蟹沢萌子、冨田菜々風
11. こちらハッピー探検隊 / 落合希来里、河口夏音、櫻井もも、永田詩央里、本田珠由記
12. 天使は何処へ
13. P.I.C.
14. チョコレートメランコリー
15. す、好きじゃない!
16. クルクルかき氷
17. 「君の音だったんだ」
18. はにかみショート
19. 君はスパークル
20. 「君と僕の歌」
21. まほろばアスタリスク
アンコール
22. 自分賛歌
23. このままでモーメンタリ
24. 虹が架かる瞬間
25. ≠ME

ABCテレビ「ノイミーステーションTV」

2023年8月5日(土)24:30~25:00
<出演者>
≠ME
MC:森本晋太郎(トンツカタン)

客席をバックに記念撮影する≠ME。(c)YOANI