6月30日、ついに最終回の放送を迎えたドラマ「夫婦が壊れるとき」(毎週金曜深夜0:30-0:59ほか、日本テレビほか)。家、財産、親権…すべてを渡さないために奔走していた稲森いずみ“陽子”の闘いが、ようやく決着した。泥沼の末に果たされた壮絶な復讐劇の結末に、反響が集まっている。(以下、作品のネタバレを含みます)

【写真】「凪にはもう会えない」泣きながら陽子が取り出したのは、髪の毛…不穏すぎるワードに固まる昂太

■「夫婦が壊れるとき」とは

「夫婦が壊れるとき」は、2015年と2017年にイギリスで放送された「女医フォスター 夫の情事、私の決断」が原作の壮絶なサスペンスドラマ。2020年に韓国で「夫婦の世界」というタイトルでリメイクされた際は、韓国ケーブルドラマ史上最高となる視聴率28.4%という大記録を達成した。誰が敵で誰が味方なのかわからない疑心暗鬼にかられながら、ヒロイン・陽子は自分を裏切った人々へ壮絶な復讐をおこなっていく…。

日本オリジナル版となる同作でヒロイン・真壁陽子を演じるのは、幅広い役柄で演技力を評価されてきた稲森。映像制作会社を経営している夫・真壁昂太を吉沢悠が、2人の間に割り込む不倫相手・佐倉理央は優希美青が務める。

■「もう終わり。凪には会えない…」昂太を追い詰めた陽子の決定打

前回のラストでは息子・凪に拒絶されてしまった陽子。夫に手ひどい裏切りを受けたにもかかわらず、「好きじゃない。今のママは…」と言われたショックからかハサミを取り出したのだが、今回その用途が明らかになった。

家に陽子の車が止まると、降りてくるのは陽子1人。扉を開けると昂太が気色ばんだ顔で「凪はどこだ」と聞いてくるが、陽子はなぜか「3人で初めて海に行ったときのこと覚えてる?」と全く違う話を始める。

楽しい思い出の数々を、昂太の行動が台無しにしたと糾弾する陽子。「この11年間は無駄だった。誰に頼めば公平に裁いてくれる?」と固い声色でなおも詰め寄ると、昂太は苛立たしそうに頭を抱えて「もうわかったよ!何度謝らせれば気が済むんだよ!」と逆切れするのだった。

しかし陽子は一歩も引かず、「あなたは1度も謝ってない!」「凪を奪うために私が狂ってると思わせた!」と親権を奪うために昂太がおこなった卑劣な工作にも言及。ふてくされたように顔をこわばらせるばかりの昂太だったが、「もう終わり。凪には会えない…」という言葉を聞くとさすがに不安そうな表情に変わる。

親権を争う流れは、現在昂太に傾いていた。その状況で「凪には会えない」と結論付けた陽子の言葉に、不信感を抱いたようだ。よく見れば陽子の手には血のにじむ包帯が巻かれ、衣服にもわずかに血痕が付着している。「どういう意味だ」と立ち上がる昂太に、陽子の独白が続く…。

「やっと親として自信を持ち始めた私を、めちゃくちゃにした。自分が抑えられなくなって…」「悪いのは全部あなた!なのに凪があなたの味方したから!」と不穏すぎるワードを連発して泣き始めた陽子に、昂太の不安は最高潮に。そして陽子がポケットから取り出したのは、一筋の毛束だ。

「凪の匂い」と言いながら泣き崩れる陽子に、青ざめる昂太。凪の親権を手に入れるために仕事の面でも陽子を追い詰めてしまったことが、最悪の結果を招いてしまったのか…。「私は絶対に許さない。あなたを苦しめるためならどんなことだってする。子どもを失って、地獄を味わって」という言葉に、ついに陽子へ掴みかかる昂太。

そこで、玄関の扉が開く。入ってきたのは、凪だった。「話が終わるまで待ってたんだけど」と説明する凪に思わず抱きつこうとする昂太だが、凪はそれをすげなく拒否する。「子どもが生まれるって本当?家のお金も全部使ったって本当なの?」と、昂太の悪行と裏切りのすべてを知って傷ついた表情を浮かべる凪。昂太が「ごめんな」とすがっても、凪は「触るな!お前はパパじゃない!」と振りほどいて2階へ去ってしまうのだった。

■家、財産、親権…すべてを手放さずに迎えた最高のエンディング

陽子の芝居に肝を冷やされ、凪にも決定的に拒絶された昂太。「自業自得」と切り捨てる陽子の言葉に、昂太は大声を上げて力任せに陽子を付き飛ばす。すると陽子は家具に激突し、血を流して倒れてしまう。

額から血を流して起き上がらない陽子。大きな音を聞いてなのか、家に駆けつけた加集朋美(安藤聖)が救急車を呼ぶ。そして観念した様子の昂太は「俺がやった」「通報してくれ…」と放心して立ち尽くすのみ…。

眉の上を切ってしまった陽子だったが、命には別状がなかったようだ。場面が切り替わり、弁護士と対面するその姿は普段と同じ凛と背中が伸びている。弁護士からは家、財産、親権…そのすべてが当初の目標通りに陽子の手へ収まったことを喜ぶ声が。陽子は嬉しそうに微笑みつつ、次は体を患う弁護士の力になると宣言するのだった。

後日、平穏な生活を取り戻した陽子と凪。薬を処方する代わりに患者である吉野芽衣(結城モエ)に昂太を尾行させた件も、理事長である大庭学(長谷川初範)の判断で不問に付す決定が下った。実は大庭自身、かつて妻に先立たれたことでアルコール依存症に陥り、病院の院長を退いたという経緯がある。夫に裏切られながらも酒や薬に逃げることなく闘った陽子を、責める気にはなれなかったのかもしれない。

「医者は、お前さんの天職だと私は思ってるよ」。過ちを反省していた陽子は、大庭の言葉に感動して医者を続けることを決意する。かつて親友でありながら昂太の不貞を隠していた相沢佳奈子(内田慈)とも仲直りすることができ、文字通り“昂太だけを世界から排除する”ことに成功した形だ。

ある日、海の見えるテラスで凪と並んでいた陽子。「夫婦ってなんだろう。愛し合って一緒に歩んできたはずなのに、何故裏切り、傷つけあうのか…」と独白していると、視線の先には昂太と理央の姿が。「凪、ゲーム教えて」と対面に座っていた凪を隣に呼び寄せ、おそらく街を出ていく直前なのだろう昂太に凪を見る最後の機会を与える。

辛そうに顔を固くする昂太。凪も昂太に気づいたようだが、視線は一瞬でゲームに戻る。その姿でついにすべてを諦めたのか、昂太は意気消沈したまま自身の車に乗り込むのだった。それを見送りながら、「もう振り返らない」と決意した陽子。陽ざしを正面から受けて輝く顔は、穏やかな表情を浮かべていた。

決着を迎えた復讐劇…稲森いずみ“陽子”が手にしたものは/※提供画像