アフリカマイマイ

色鮮やかに咲くアジサイと、その葉を這うカタツムリの光景は梅雨の風物詩といえる。子供たちに人気のカタツムリを自宅に持ち帰り、飼っている家庭もあるという。

だがそんなカタツムリが原因で、アメリカでは深刻な被害を受けている地域があるそうだ。『NEW YORK POST』や『abc7』が報じている。


■生態系被害防止外来種のカタツムリ

今月初め、マイアミの郊外であるフロリダ州ブロワード郡のミラマー地区で、少なくとも1匹のアフリカマイマイが発見された。

これはアフリカからの外来生物で、サイズは世界最大級。大きなもので約20センチメートルもあり、日本でも小笠原諸島沖縄県奄美大島や徳之島などに生息する。

ただし、生態系被害防止外来種に指定され、「世界の侵略的外来種ワースト100」に入る危険生物だ。


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■薬剤で徹底的な駆除

同州の農務・消費者サービス局は20日、徹底的な駆除と防疫措置について計画を発表した。

駆除剤としては、住宅での使用が許可されているメタアルデヒド系の軟体動物駆除剤が使用されるが、住民にもある程度の行動制限に協力してもらわなければならない。

当局は「アフリカマイマイをはじめ、対象地区の植物やその一部、土壌、庭の廃棄物、ゴミ、瓦礫、堆肥などを、農務省の許可なく移動させたり持ち込んだりすることは違法である」と強調している。


■人体と農作物ばかりか…

アフリカマイマイは、人体と農作物の両者に深刻な影響を与えることが分かっている。500種類以上の植物を食い荒らすほか、プラスチック製の容器、看板まで破壊。殻はかなり鋭く、過去には車のタイヤがパンクした例もあったという。

さらに厄介なことに、人間に髄膜炎を引き起こすことがある「ラット肺線虫」という寄生虫を媒介しており、接触は厳禁だ。


■33億円を投じた地域も

また同州マイアミ・デイド郡は、10年間で2,300万ドル(約33億円)を投じ、17万匹のアフリカマイマイを駆除してきた。フロリダ州ではこれまでさまざまな措置を行ってきたが、1匹が1年に最大1,200個もの卵を産むといい、根絶はなかなか難しそうだ。

ブロワード郡では今、卵を産んでいた可能性がある植物由来のものに触れること、動かすことを一切禁じられている。徹底した駆除には、住民たちの協力が欠かせないという。

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(文/Sirabee 編集部・桜田 ルイ

有害カタツムリ発生でフロリダ州の街が隔離に 人体や農作物に深刻な影響