わが子への教育費は抑えたくないと思っていても、子どもを習い事に通わせるとき、月額いくらかかるかは気になるところです。そんな習い事について、料金の“からくり”の見抜き方とポイントを、子育て本著者・講演家の私がお話ししたいと思います。

あるママの“本音”

 ◯◯式教室やそろばん教室は、たいてい一定時間、教室が開かれていて、その時間帯の中で自由に子どもたちが出入りできるようになっています。滞在時間も特には決められていないようです。

 私のママ友の話です。子どもに「◯◯式に通いたい」と言われた母親が料金を見ると、算数8000円、国語8000円でした。週2回通ってもいい教室だったので、「通常の習い事より回数も多いから割安だわ」と思いました。そして2教科申し込み、月額1万6000円となりました。

 さて、その子は、最初のうちは教室に30分程度滞在していたのですが、だんだんと入室してから10分ほどで2教科をこなして帰宅するようになりました。用事があったり、風邪をひいたりして、週1回しか行かないことも多くなってきました。

 そこで、その母親は計算してみました。月額1万6000円、週2回コースでも実際、わが子は週1回しか行かなくなってしまっているので1回4000円、しかも10分しか教室にいないので、1分400円…。

「何だか、割高だわ」と考えるようになりました。そして、教室に行ってもじっくりと勉強してこない子どもに、「1時間は教室にいなさい」と言うようになりました。

 長い時間いたら学習効果が上がるというわけではありませんし、宿題にもらうプリント代も月謝に反映されているでしょう。自由に出入りする形式の場合、子どものタイプを見極めて通わせた方がいいかもしれませんね。

「単価」を計算してみよう

 子どもが自由に出入りできる形式ではない「一斉授業」の習い事の場合も、授業時間や年間授業回数をチェックしておく必要があります。同じ金額でも、授業時間が「90分」と「45分」では単価が全く違ってくるからです。

 スーパーのお肉で、パックの上に「380円」とバーンと書いてあって「あら安いわ」と思いきや、中身のグラム数が少なかった経験はありませんか。小さく表示されている「100グラム当たりの値段」を見る必要があります。習い事の料金も、これと同じです。例を2つ挙げてみましょう。

【習い事・A社】

・授業料(月額)…2800円
・授業時間…午後3時~午後3時45分(45分授業)

【習い事・B社】

・授業料(月額)…5000円
・授業時間…午後3時~午後4時30分(90分授業)

 計算してみると、A社は1分あたり62円、B社は55円なので、B社の方が7円安いことが分かります。逆に、A社の単価で仮に90分授業をしたら、5600円になります。一方のB社は5000円なので、どう計算してもB社の方が安いのです。数字のマジックですね。

 年間、授業が何回あるかもチェックポイントです。年間授業回数が「44回」なのと「40回」なのとでは、大きな違いがあります。年間40回しか授業がない習い事は、年間44回授業がある習い事と比べると、支払う側は1カ月分も損をしている計算になるのです。

「授業は毎月4回です。5週目は授業がありません」というケースや、「月の最終日は、授業はありません」というケースなどで、年間授業回数が記載されていない場合は、ぜひ尋ねてみましょう。

 仮に、月3回しか授業がない場合は「月3回×12カ月」、これに夏休み、お正月休みが入ってさらに授業回数が減ると、月額授業料は安く見えていても割高になります。台風や大雪の場合はどうなるのか、年間授業数が減らないかどうかもチェックしておきましょう。

 年間授業回数ももちろんですが、子どもは急に熱を出すなど、体調を崩すこともよくあります。また、上の子が元気でも、下の赤ちゃんの具合が悪くなり欠席せざるを得ない…といった状況もたびたび起こります。「その曜日、その時間に参加できないと1週抜ける」のは、何とももったいないです。そのため、欠席したときに別のクラスに振り替えできるかどうかも、確認しておくべきポイントになります。

「月額授業料」も確認を

 そして、私たちはつい、「月額授業料」の部分だけに目がいってしまいます。ここにもマジックがあります。次の2つを比べてみてください。

【習い事・A社】

・授業料(月額)…2800円
・教材費…1500円(毎月)

【習い事・B社】

・授業料(月額)…4000円
・教材費…月謝に含む

「あら、A社は2800円で安くていいわ」と思いきや、計算してみるとA社は結局、月額4300円支払うことになります。これに対して、B社は月額4000円だけです。B社の方が300円安いですよね。これに、季節ごとに冷暖房費、施設維持費がかかるケースもあります。1カ月にかかる授業料だけ見るのではなく、全体で実際にいくらかかるのか、足し算してみましょう。

 そして、入会するときに「入会金」があるかどうか、いったん退会してから再入会するときは再び入会金が必要なのか、「きょうだい割引」で兄弟姉妹は入会金が無料になるのか…などもチェックポイントです。

 また、広告では新規入会者を募るため、「ただいまご入会の方にはもれなく、通学かばんを無料プレゼント」といったようなフレーズが書いてあることがありますが、実は新規入会者プレゼントはタダではなく、「見た目が無料」なだけです。プレゼントされたと思っているかばんも、あなたが支払った入会金、授業料、教材費などにちゃんと組み込まれています。

 そのかばんを持って街中を歩くのが子どものステータスになることもありますが、「ああ、あの子、◯◯教室に通っているね」「ああ、こんな教室があるんだ」と広告費のかからない宣伝マンにされていることも、頭の片隅に入れておきましょう。

 以上、授業料の分析方法についてお話ししましたが、最も大事なことは何でしょうか。それは「単価が安いかどうか」ではありません。どんなに安くても指導者の教え方が悪く、子どもが嫌がる状態だったら、時間とお金をドブに捨てているようなものですよね。どんなに安いお肉でも、味がすごくまずかったら無駄遣いになってしまうのと同じです。

 本当に価値あるものなのかどうか、じっくりと検討しましょう。

子育て本著者・講演家 立石美津子

習い事の料金、どこをチェックすべき?