(篠原 拓也:ニッセイ基礎研究所主席研究員)

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 5大ジャンボ宝くじのひとつ、「サマージャンボ宝くじ」の発売時期が今年もやってきた。最高当せん金は1等・前後賞合わせて7億円と、ジャンボ宝くじのなかでは年末ジャンボに次ぐ高額となっている。今回の宝くじはどう狙うべきか? 宝くじの研究を続けているニッセイ基礎研究所の篠原主席研究員がアドバイスする。(JBpress編集部)

サマージャンボは超高額の7億円狙い

 サマージャンボ宝くじには、ほかのジャンボ宝くじと同様、「ジャンボ」と「ジャンボミニ」の2つがある。今回、「1等・前後賞合わせて7億円」のうたい文句で発売されるのは、サマージャンボだ。一方、サマージャンボミニの当せん金は、1等・前後賞合わせて3000万円となっている。

 まず、ジャンボから見ていこう。実は、ジャンボは当せん金や当せん確率は昨年のものと同じ内容となっている。昨年、1000万円や100万円の中間的な高額当せん金をやめて、シンプル化が行われた。超高額当せんとして、1等・前後賞合わせて7億円を狙う形に変更されたわけだが、その形が今年もそのまま維持された格好だ。

 なお、ジャンボには2等5万円、3等1万円といった比較的少額の当せんを、高確率で目指す仕組みも残されている。平均的に981枚のくじを購入すれば、3等1万円以上が当たる計算だ。

 その際、4等と5等からも平均的に5万6000円以上の当せん金が期待できる。合わせると、6万6000円以上の受け取りとなる。ただし、そのためには、くじの購入に29万4300円が必要となる。

ジャンボミニは当せん金100万円の2等を新設

 一方、ジャンボミニはどうか。ミニでは、昨年のものからいくつか変更が行われた。主な変更点は以下の4つにまとめられる

(1)1等の当せん金を3000万円から2000万円に引き下げるとともに、1等の前後賞(当せん金500万円)を設け、1等・前後賞合わせて3000万円とした
(2)当せん金100万円の2等(1ユニット=くじ1000万枚あたりの本数は700本)を新設した
(3)昨年、当せん金1万円だった2等が3等となり、当せん金が3000円に引き下げられた(1ユニットあたりの本数は10万本)
(4)これらの結果、1ユニットあたりの当せん本数は110万4本から110万712本に増加

 今年のジャンボミニは、当せん金の合計は3000万円のままで、1等を1等・前後賞に組み替えた。そして、昨年の1万円の当せん金を3000円に引き下げるとともに、その差額をもとに当せん金100万円の2等を新設したわけだ。

 この2等100万円は、サマージャンボミニとしては、昨年も一昨年もなかったものであり、今回の特徴的な変更と言えるだろう。

 これにより、100万円以上の当せん金が当たるくじの本数は、1ユニットあたり712本となっている。ジャンボミニは当せん金3000万円の1等・前後賞を狙いつつ、100万円の高額当せんに軸足を置いたくじと位置づけられる。

ジャンボミニも高額当せんを狙うためのくじに

 今回のサマージャンボ宝くじは、ジャンボミニで2等100万円が新設された点が特徴的だ。

 これは、平均的には1万4045枚のくじを購入すれば、1等、1等の前後賞、2等といった100万円以上の高額当せんに当たることを意味する。

 その際、3等と4等からは平均的に84万円以上の当せん金が期待できる。合わせると、184万円以上の受け取りとなる。ただし、そのためには、くじの購入に421万3500円が必要となる計算だ。

 サマージャンボミニに100万円という高額当せん金が設定されたことを、どう捉えたらよいだろうか。当せん金のゾーン別に少し整理してみよう。

●7億円の超高額ゾーンは、サマージャンボで狙う
●3000万円や100万円の高額ゾーンは、サマージャンボミニの出番
●5万円や1万円の比較的少額を高確率で狙うゾーンは、再びサマージャンボがその役目を担う

 こんな形で、2つのくじの間で当せん金ゾーンの棲み分けが行われたと捉えることができる。

 こう見ていくと、今回のサマージャンボミニはもはや「ミニ」ではない。3000万円や100万円といった高額当せんを狙うためのくじと見るべきだろう。

ジャンボミニで2等当せん金100万円が新設された意味

 繰り返しになるが、今回のサマージャンボ宝くじは、ジャンボミニで2等100万円が新設された点が特徴的だ。この理由について筆者の考えを述べておきたい。

 通常、ジャンボ宝くじでは億円単位の超高額当せんと、数万円の比較的少額の当せんの間に、100万円の高額当せんの等級が設けられている。

 実際に、今年5~6月に発売されたドリームジャンボ、2~3月に発売されたバレンタインジャンボ、昨年発売された年末ジャンボでは、いずれもジャンボの3等、ジャンボミニの2等として、当せん金100万円の等級が設定されていた。

 100万円という金額は、平均的な給与所得者にとっては数カ月分の月給に相当する。個人事業主にとっては、コロナ禍の初期に受け取ることのできた「持続化給付金」の上限額でもある。年金生活者にとっては、今年度の老齢基礎年金(満額)である79.5万円を優に超える水準となる。

 モノもサービスも、さまざまな物価が上昇している昨今の情勢を踏まえれば、100万円の当せんは、日々の生活に大きなプラスとなるはずだ。

 今回の当せん金100万円の新設には、超高額でも比較的少額でもない、通常の高額当せんの狙いをジャンボミニの機能として持たせる。そして、ジャンボミニで100万円が当せんした人には、日々の生活に少しだけ余裕や潤いを味わってもらう──そんな意味が込められているものと考えられる。

2つのくじをもとに当せんへの期待を膨らませる

 ジャンボ宝くじを買うときには、「高額当せんのドキドキ感」と、「高確率当せんのワクワク感」の2つの楽しみ方があるはずだ。

 今回、高額当せんを、7億円の超高額当せんと、3000万円や100万円の高額当せんの2つに分けて、それぞれを2つのくじが担う。それが今回のサマージャンボ宝くじの構図といえる。

 もちろん、この「高額当せんのドキドキ感」と「高確率当せんのワクワク感」をどう組み合わせるか、やり方は人それぞれだ。

サマージャンボで、7億円の大きな夢を見るか?」
サマージャンボミニで、100万円以上の高額当せんを狙うか?」
サマージャンボで、5万円や1万円といった少額の高確率当せんを目指すか?」
「ジャンボとジャンボミニのくじをどう組み合わせて、何枚ずつ買うことにするか?」

 いろいろ考えているうちに、ドキドキ感やワクワク感を味わうことができれば、幸せな時間を過ごすことができる。この段階で、すでに宝くじを堪能することができたといえるかもしれない。

 今回のサマージャンボ宝くじの発売期間は7月4日8月4日までで、抽せんは8月18日に行われる。購入を考えるための時間はたっぷりある。アフターコロナの夏の楽しみの1つとして、夢を買ってみるのもいいだろう。

【参考】
「宝くじ公式サイト」(全国都道府県及び全指定都市

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