モーガン・ウォレンの『ワン・シング・アット・ア・タイム』が通算15週目の首位を獲得した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 1位に初登場した3月18日6月3日付まで12週連続をマークして、6月24日付で首位に返り咲き、先週(7月1日付)、今週(7月8日付)で通算15週目の首位を獲得した『ワン・シング・アット・ア・タイム』。なお、6月10日付はテイラー・スウィフトの『ミッドナイツ』、6月17日付はStray Kidsの『★★★★★ (5-STAR)』に首位の座を明け渡したが、3作いずれもリパブリック・レコードの作品で、3月18日7月8日付まで17週連続で同レーベルが首位を独占したことになる。

 リパブリック・レコードの連続記録としては、ビリー・レイ・サイラスの『サム・ゲイブ・オール』が17週連続(1992年6月13日10月3日付)をマークして以来、約30年ぶりの記録で、首位獲得週が15週を上回ったのは、2011~12年に24週を記録したアデルの『21』以来、約11年ぶりの快挙となる。

 『ワン・シング・アット・ア・タイム』は、今週の集計期間(2023年6月23日6月29日)にアルバム・ストリーミングが104,000(1%増加)、アルバム・セールスが4,500(6%減少)、トラックによるユニットは2,000(5%増加)をそれぞれ記録して、合計110,500ユニットを獲得した。週間ストリーミングは全36曲で1億3,968万回を記録している。

 初登場から今週までの順位と各週のユニット数は以下のとおりで、 週間ユニットは17週連続で10万を突破した。ストリーミングが集計に加算されるようになった2014年12月以降では、昨年16週間10万ユニットを突破したバッド・バニーの『Un Verano Sin Ti』を上回り、史上最長記録を更新している。

3月18日 501,000ユニット(1位)
3月25日 259,000ユニット(1位)
4月1日 209,500ユニット(1位)
4月8日 197,000ユニット(1位)
4月15日 173,000ユニット(1位)
4月22日 167,000ユニット(1位)
4月29日 166,000ユニット(1位)
5月6日 149,000ユニット(1位)
5月13日 138,000ユニット(1位)
5月20日 141,000ユニット(1位)
5月27日 134,500ユニット(1位)
6月3日 129,000ユニット(1位)
6月10日 126,000ユニット(2位)
6月17日 117,000ユニット(2位)
6月24日 111,500ユニット(1位)
7月1日 110,000ユニット(1位)
7月8日 110,500ユニット(1位)

 続いて今週2位には、米ジョージアアトランタ出身の人気ラッパー=ヤング・サグの新作『ビジネス・イズ・ビジネス』が初登場。本作は、2021年10月にリリースした前作『パンク』から約1年半ぶり、3枚目のスタジオ・アルバムで、コンピレーション・アルバム、ミックステープを含めて通算8作目のトップ10入りを果たした。

スタジオ・アルバム
1位『ソー・マッチ・ファン』(2019年)
1位『パンク』(2021年)
2位『ビジネス・イズ・ビジネス』(2023年)

コンピレーション・アルバム
8位『Slime Language』(2018年)
1位『Slime Language 2』(2021年)

ミックステープ
7位『Slime Season 3』(2016年)
8位『Jeffery』(2016年)
8位『Beautiful Thugger Girls』(2017年)


 『ビジネス・イズ・ビジネス』の初動ユニットは89,000で、その内訳はアルバム・ストリーミングが80,000、アルバム・セールスが8,500、トラックによるユニットは500だった。週間ストリーミングは1億632万回を記録している。

 『ビジネス・イズ・ビジネス』は、『ワン・シング・アット・ア・タイム』に拒まれ惜しくも2位に初登場した以下に続く通算11作目のアルバムで、その間1位に初登場できたのは前述の『★★★★★ (5-STAR)』だけだった。

3月25日 TWICE『READY TO BE』
4月8日 JIMIN『FACE』
4月15日 メラニー・マルティネス『ポータルズ』
4月22日 NF『ホープ
4月29日 メタリカ『72シーズンズ』
5月6日 Agust D『D-DAY』
5月13日 SEVENTEEN『FML』
5月20日 エド・シーラン『- (サブトラクト)』
6月24日 ナイル・ホーラン『ザ・ショー』
7月1日 ATEEZ『THE WORLD EP.2 : OUTLAW』
7月8日 ヤング・サグ『ビジネス・イズ・ビジネス』

 『ワン・シング・アット・ア・タイム』のように、あるアルバムが長期間首位を独占するケースは珍しくはない。昨年は、バッド・バニーの『Un Verano Sin Ti』も首位獲得13週のうち8作を2位におさえてトップを維持し、2016年にはドレイクの『ヴューズ』も首位獲得13週中8作を2位に留めた。それ以前には、2014年に『アナと雪の女王』のサウンドトラックが首位を獲得した13週中10作を2位におさえ、2011~12年にはアデルの『21』が24週中15作を拒んだことがある。

 チャートに戻り、今週3位にはメキシコ人シンガーのペソ・プルマによるデビュー・アルバム『Genesis』が初登場して、初のトップ10入りと自己最高位を更新した。また、メキシコ系アーティストとしてはエスラボン・アーマードの『Nostalgia』(2022年5月21日/9位)、『Desvelado』(2023年5月13日/6位)に続く史上3作目のトップ10入りを果たしている。

 『Genesis』は、初週アルバム・ストリーミングが72,000(1億118万回)、アルバム・セールスは1,000をそれぞれ記録して、合計73,000ユニットを獲得した。ストリーミングが集計に加算されるようになった2014年12月以降、メキシコ系アーティストのアルバムとしては、前述の『Desvelado』が初週(2023年5月13日付)で記録した44,000を大きく上回り、史上最高の週間ユニットを更新している。

 なお、『Genesis』のリリース日は先週の集計期間最終日である6月22日で、1日分前週と集計が分かれたことになるが、7月1日付ではランクインしなかった。

 ペソ・プルマは、エスラボン・アーマードとコラボレーションしたシングル「Ella Baila Sola」が、今年の4月22日付ソング・チャート“Hot 100”でメキシコの楽曲として史上初のトップ10入りを果たし、ブレイクした。なお、同曲は『Genesis』には収録されていない。

 4位は、先週に続いてテイラー・スウィフトの『ミッドナイツ』(57,000ユニット/6%減少)が同位をキープ。先週3位に初登場したガンナの『A Gift & a Curse』は、前週から36%減少の55,000にユニット数を落とし、今週5位にランクダウンした。

 続いて今週6位には、ケリー・クラークソンの10thアルバム『ケミストリー』がデビューして、以下に続く9作目のトップ10入りを果たしている。

1位『サンクフル』(2003年)
3位『ブレイクアウェイ』(2004年)
2位『マイ・ディセンバー』(2007年)
1位『オール・アイ・エヴァー・ウォンテッド』(2009年)
2位『ストロンガー』(2011年)
3位『ラップト・イン・レッド』(2013年)
1位『ピース・バイ・ピース』(2015年)
2位『ミーニング・オブ・ライフ』(2017年)
6位『ケミストリー』(2023年)

 『ケミストリー』の初動ユニットは53,000で、その内訳はアルバム・ストリーミングが9,000、アルバム・セールスは43,000(今週のトップセールス)、トラックによるユニットは1,000をそれぞれ記録した。アルバムの週間ストリーミングは、全14曲で1,125万回を記録している。

 以下、モーガン・ウォレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』(47,000ユニット/3%増加)が6位から7位、シザの『SOS』(47,000ユニット/2%減少)が5位から8位にダウンして、テイラー・スウィフトの『ラヴァー』(43,000ユニット/9%増加)は10位から9位にワンランクアップした。先週2位に初登場したATEEZの『THE WORLD EP.2 : OUTLAW』は、初週から68%減少の34,000にユニット数を落とし、今週10位にランクダウンしている。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは7月7日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『ワン・シング・アット・ア・タイム』モーガン・ウォレン
2位『ビジネス・イズ・ビジネス』ヤング・サグ
3位『Genesis』ペソ・プルマ
4位『ミッドナイツテイラー・スウィフト
5位『a Gift & a Curse』ガンナ
6位『ケミストリー』ケリー・クラークソン
7位『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
8位『SOS』シザ
9位『ラヴァー』テイラー・スウィフト
10位『THE WORLD EP.2 : OUTLAW』ATEEZ

【米ビルボード・アルバム・チャート】モーガン・ウォレン通算15週目の1位、ヤング・サグ/ペソ・プルマらトップ10入り