2023年12月9日(土)~24日(日)東京・よみうり大手町ホール、12月26日(火)~28日(木)大阪・新歌舞伎座にて、日本初演となるミュージカル『ジョン&ジェン』が上演されることが決定した。

ミュージカル『ジョン&ジェン』は、『ワイルド・パーティ』『アダムス・ファミリー』『ビッグフィッシュ』といった多くのオン/オフ・ブロードウェイ作品に携わるアンドリュー・リッパと、本作で初めて舞台作品の歌詞・脚本手掛けたトム・グリーンウォルドによる作品で、1995年にオフ・ブロードウェイで初演された。舞台は1985年から現代にかけてのアメリカ。変わりゆく社会を背景に、親子や姉弟(きょうだい)という家族の関係性に焦点を当て、知性とウィットに富んだ台詞と、美しいメロディーが溢れる秀逸なミュージカル
出演者は二人。1幕では姉と弟の幼少期から青春期が、2幕では母親と息子とのすれ違っていく人生が描かれている。ピアノ、チェロパーカッションの生演奏が奏でる胸に響く旋律とともに織り成される家族の物語は、人の心に寄り添い、癒しを与えてくれる感動作となっている。

日本初演となる今回、演出・翻訳・訳詞・ムーブメントを手掛けるのは、音楽座および劇団四季を経て、2010年度文化庁新進芸術家海外研修制度の研修員としてロンドンニューヨークで1年ずつ研修を積み、2013年にアンドリュー・ロイド=ウェバーが学園長を務めるArts Educational Schools Londonにて舞台演出の修士課程を修了、文化間の壁を越えた舞台芸術をテーマに国際的に活躍している市川洋二郎。これまでに国内では、濱田めぐみを第24回読売演劇大賞優秀女優賞に導いた『Tell Me On A Sundayサヨナラは日曜日に~』(演出・翻訳・訳詞/2016)や、第15回「小田島雄志・翻訳戯曲賞」を受賞した『The View Upstairs -君が見た、あの日-』(翻訳・演出・振付/2022)。国外では、ロンドンでのミュージカルユーリンタウン』(演出/2018)や、『GALAXY TRAIN - A New Musical』(原案・脚本・日本語台本・演出/2023)など、国内外で多くの作品を手掛けるほか、2023年オリビエ賞最多部門受賞作品のロイヤルシェイクスピアカンパニー(RSC)製作『となりのトトロ』では中トトロ役で出演するなど、俳優としても活躍する市川が、日本初演となる本作に挑む。

舞台に登場するのは、ジョンとジェンの2人のみ。ジョン[1幕=弟、2幕=息子]には、2007年の芸能活動スタートから ドラマ・映画といった映像作品に数多く出演し、近年は舞台俳優としてのキャリアも重ねている森崎ウィン、幼少期から音楽に携わり、15歳から声楽を志し、現在ではミュージカルに欠くことのできない存在となっている田代万里生。そして、ジェン[1幕=姉、2幕=母]には、豊かな声量と表現力を武器に、ミュージカル作品に留まらず、バラエティ番組や音楽番組でも他を圧倒する存在感を放つ新妻聖子、劇団四季では数々の作品でヒロインを演じるなど看板俳優として活躍し、退団後はさらに様々なジャンルの舞台作品で引く手あまたの活躍をみせる濱田めぐみが決定した。1幕では姉弟、2幕では親子の関係性を、森崎・田代、新妻・濱田がダブルキャストで演じ、4バージョンの異なる顔合わせがそれぞれのハーモニーを生み出す。

世界で活躍するクリエイターと、実力派俳優が織り成す、家族の物語に期待しよう。

<ストーリー>
[第一幕]
1985年、六歳の少女ジェンの家に、ジョンが生まれる。弟を温かく歓迎するジェンは、暴力を振るう父親から守り抜くことを誓い、ふたりは支え合いながら成長する。
やがて10代になったふたりの関係は少しギクシャクし始めるが、ジェンが大学進学のため家を出る時になると、ジョンは姉を引き留めようとする。しかし、自由を望むジェンは、振り払うように出ていってしまう。
NYに出てきたジェンは、刺激的な環境で生活を始める。一方で、ジョンは父親の影響を受け始める。やがて、同時多発テロが発生。それは、イラク戦争勃発の引き金となり、ふたりの人生をも大きく変えてしまうことになるのだった。

[第二幕]
時は流れ、2005年、ジェンは恋人ジェイソンとの間に息子を授かり、弟にちなんでジョンと名付ける。弟の面影を重ねながら、手塩を掛けて息子の世話をするジェンだが、当の本人は過保護な母親を少し疎ましく思うのだった。
ジェイソンとの別れや父親との確執など、様々な問題を抱えながらも母親として必死に頑張るジェン。
一方で、母の期待とは裏腹に叔父のジョンとはまるで違った人間へと成長していく少年ジョン。
やがてジョンが大学への進学のために家を出ると決めた時、母子それぞれが、自らが抱える人生の問題と直面することになる。


演出・翻訳・訳詞・ムーブメント:市川洋二郎  コメント

人間は生きる過程で、色々な「荷物」を心の中に蓄積していきます。

友達と笑いあった春の午後。
太陽が燦々と煌めいた幼い夏の朝。
大事な人と過ごした温かな夕暮れ
涙を流した寂しい夜明け。

二度と戻れない、決して帰ることの無い、あの日々。

そのひとつひとつが今の自分を形作っている大切な要素です。
これまで積み上げてきた時間が、私たちを未来へと導いてくれるのです。

けれど中には、心に暗い影を落とす思い出も無いわけではありません。
それは、深く胸をえぐり、じわじわとその奥深い所を侵食していきます。

もしかしたら「生きる」ということは、この世界の喜びを知ると同時に、その苦しみを味わい、それを乗り越えていく方法を学ぶための魂の試練なのかもしれません。

この作品との出会いが皆さんにとって、自らの旅路を振り返り「生きる」ということをお考えになる機会になることを祈っております。

キャスト コメント

森崎ウィン [ジョン役(ダブルキャスト)]
2人ミュージカル
この言葉に心を奪われ運命だと感じ、今作のキャストの一員として加わらせて頂きました。
そして日本初演となる今作、初めて尽くしの内容に脚本を読むだけでワクワクが止まりません。
皆様の元に届くまで精一杯楽しみながら努めます。どうか、劇場に受け取りにお越し頂けると嬉しいです。

■田代万里生 [ジョン役(ダブルキャスト)]
2幕ものの二人芝居ミュージカル!共に出ずっぱりで歌いっぱなしのお相手は、濱田めぐみさんに新妻聖子さん。僕は、1幕では【弟のジョン】、そこから時が経った2幕では【息子のジョン】、名前は同じですが異なる2役を演じます。どちらも子供から大人のシーンまで演じますが、なんと冒頭の僕の登場シーンは5歳! 一体どうなってしまうのか!? 今からとても楽しみです。日常が非日常となる瞬間を、是非劇場で体感して下さい。

■新妻聖子 [ジェン役(ダブルキャスト)]
ほぼ歌で紡がれる2人だけのミュージカルです。

私が演じるジェンは、
一幕は姉として弟を
二幕は母として息子を
不器用ながらも愛し、護りぬくと誓った女性。

毒親、思春期トラウマ、子離れ。
誰もが必死に乗り越えるべきことに立ち向かいながら、より良い自分を目指して今を生きている。

人生のもどかしさや歓びを同じ空間で味わって頂けるような、そんな芝居になる予感がしています。
12月に劇場でお会いしましょう!

■濱田めぐみ [ジェン役(ダブルキャスト)]
物語の構成に凄く興味が湧きました。音楽の素晴らしさと芝居の枠組みがシンプルだからこそ際立ってクッキリと見えてくる作品。
演じる役者、その時の環境によっても全く別物の舞台が存在するんだろうなと今から楽しみです。今までに無かったタイプの作品にチャレンジできる事、そしてキャストの新妻聖子ちゃん田代万里生くん、舞台初共演の森崎ウィンくんとガッツリお稽古して作り上げていく時間をとても楽しみにしております。
是非劇場へ私達と素敵な時間を過ごしにいらしてください!

(上段左から)森崎ウィン、田代万里生(下段左から)新妻聖子、濱田めぐみ