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「猿之助容疑者は『両親の顔にかぶせたビニール袋を養生テープでとめた』などと供述していますが、そのビニール袋は見つかっておらず、警視庁は犯行後に証拠隠滅を図った可能性があるとみて調べています。

また『家族3人でうどんを食べた後、処方された睡眠薬を水に溶かして飲んだ』との供述も、1リットル以上を飲まないと致死量に至らず、普通なら途中で眠くなって寝てしまうはずです」(捜査関係者)

6月27日市川猿之助容疑者(47)が、死亡した両親のうち母・延子さん(享年75)の自殺を手助けしたとして自殺ほう助の疑いで逮捕された。猿之助容疑者は5月17日東京都目黒区の自宅で両親に睡眠薬を服用させ、一家心中を図ったとされる。自らのパワハラとセクハラ疑惑を報じた週刊誌『女性セブン』の発売前日だった。

「家族会議で一家心中を決めた理由について、猿之助容疑者は『あることないことが週刊誌に掲載されることが引き金』だという趣旨の供述をしていたそうです。母親と同じく死亡した父親・段四郎さん(享年76)も、死因は向精神薬中毒の疑いとされています。

今後、父親に関しても何らかの容疑で再逮捕されるとみられています。認知症の症状が進んでいたという父親が自殺の意思表示ができたのか。殺人容疑になる可能性もあります」(全国紙記者)

東京・上野にある寛永寺に、段四郎さんの両親が眠っている一族の大きな墓がある。段四郎さん夫妻、猿之助容疑者の塔婆も見える。お墓は掃除されているが、供え物も、献花も、焼香の跡もない。両親の納骨はまだのようだ。

「その件については、一切お答えできません」(寺の管理事務所)

後援会関係者は言う。

「両親の遺体は荼毘にふすこともできず、安置所にあるようです。猿之助さんが転院したとき、香川さんが面会に行ったそうです。『澤瀉屋のことは任せろ』と伝えた香川さんに、猿之助さんは弱々しく『ありがとう。迷惑かけてすみません』と答えたといいます」

猿之助容疑者に科される刑について渋谷第一法律事務所の寺井友浩弁護士は言う。

「母親だけの自殺ほう助であれば6カ月から最長7年の刑となります。初犯のため4~5年の執行猶予がつく可能性もありました。ですが、今回は両親が亡くなり、併合罪になるでしょう。併合罪とは同一人物が犯した複数の罪ですが、重いほうの罪が優先されます。

父親も自殺ほう助となれば、6カ月から最長7年の刑ですが、2人の自殺ほう助なら初犯でも執行猶予がつかない可能性もあります。自殺の方法を猿之助容疑者が調べていたということですので、過失致死罪などの可能性もあるかもしれません。今後の捜査や供述にもよりますが、故意の殺人となれば最低でも5年以上の懲役刑。自殺が目的であったという情状酌量などで判決的には6~7年の実刑になるのではないかと考えます」

香川照之はほとんど眠らず宙乗りを

歌舞伎関係者は言う。

「猿之助さんは歌舞伎役者を引退する意向だそうです。当初、松竹側は猿之助さんが逮捕されなければ、歌舞伎役者として舞台に立つのは無理でも、演出・脚本家としての道を用意することを考えていたようですが、逮捕によって事情が一変しました。

猿之助さんは今後、歌舞伎界から完全に退かざるをえないでしょう。もう猿之助を名乗ることもできなくなり、以後は本名・喜熨斗孝彦として別の人生を歩むことになります。澤瀉屋の今後については、トップの猿翁さんは病気のため事件について判断できる状態ではないと聞いているので、中車さん(香川照之)の意向も聞き、松竹が総合的に判断することになるでしょう」

7月の歌舞伎座での「七月大歌舞伎」で、中車は猿之助容疑者の代役として宙乗りに初挑戦してる。

「じつは中車さんも事件後眠れず、睡眠薬を常用していましたが、摂取量が過度になるのを避けるため現在はほとんど眠らずに宙乗りの稽古に必死なのです。そのため、かなりやつれていると聞いています」(前出・後援会関係者)

別の歌舞伎関係者は言う。

「猿之助容疑者が父への殺人罪で実刑となった場合は、歌舞伎界から完全追放となり、もう『猿之助』の名跡すら、おいそれと使うことはできなくなるでしょう。澤瀉屋内からも『猿之助の名跡は未来永劫、使われることのない“止め名”にしてはどうか』という話も出ているそうです」

歌舞伎界で“止め名”とは、諸事情により、封印された名跡のことを指す。

「二代続けて早く亡くなった尾上榮三郎や、初代團十郎を刺殺した生島半六など、いわくつきの名跡がそれにあたります」(前出・歌舞伎関係者)

演劇評論家の上村以和於さんはこう語る。

「尾上榮三郎や生島半六以外の“止め名”のケースでは、具体的な名前は避けますが、役者の没後、その妻だった方が『絶対にこの名前は誰にも継がせたくない』とおっしゃって、誰も襲名しない名前もあります。少なくとも今回、猿之助という名跡が“止め名”になってもおかしくはないですね。本来なら猿翁さんが決めることになるのでしょうが、お体のこともあるし、松竹も絡んでくる問題になるでしょう」

猿之助が“止め名”になれば、中車の息子・團子も、五代目猿之助を名乗ることはなくなる。

「本来、團子という名前は将来、猿之助もしくは段四郎になるべき人が若い時代にこれまで名乗ってきた名前です」(前出・上村さん)

團子が猿之助ではなく、段四郎として澤瀉屋を背負う選択肢は残されているようだ。

「そのためにも中車さんにはもっと頑張ってもらわないと困ります。幸か不幸か、香川照之としての仕事がなくなってしまっています。もうこの際、中車に専念してやってもらいたいと思います」(前出・上村さん)

自らの家族だけでなく、歌舞伎界全体に大きな被害を与えてしまった猿之助容疑者。今後の捜査で新事実は明らかになるのか――。