6月から電気代が大幅に値上げされており、家電製品を工夫して使うことによって効率よく「節電」することが欠かせません。しかし、キッチン家電については、「節電」だけに気を取られるとかえって損をすることがあるので、注意が必要です。節電方法に詳しいFPの風呂内亜矢氏が、『どうする!? 電気代 節約完全マニュアル』(ART NEXT)において、キッチン家電のタイプごとの「節約」のポイントを解説します。

ガス代・水道代も含めて節約効果を試算しよう

キッチン家電における電気代節約に関して大切なのは、「ガス代や水道代を考慮に入れたうえで節約効果を試算する」ことです。

たとえば電子レンジならば「野菜の下ごしらえに使う調理器具を、ガスコンロから電子レンジに変更したらどうなるか」をガス代・電気代込みで比較する必要があります。

すると、電子レンジの方が、葉菜だと年間約940円の節約、果菜だと年間約1,000円の節約、根菜だと年間約860円の節約になります([図表1]参照)。

食器洗い乾燥機の場合は「流しっぱなしの水で手洗いする場合の水道代と、食器洗い乾燥機を使用した場合の電気代・水道代」とを比較しなければ、節約効果の正確な試算はできません。

手洗いの場合、ガス代と水道代で年間合計約2万5,560円であるのに対し、食器洗い乾燥機を使うと電気代と水道代で年間合計約1万9,090円となり、食器洗い乾燥機にする方が年間合計約6,470円の節約となります([図表2]参照)。

 

「発熱系」の家電は「待機電力」に注意

また、電気ポットのような「発熱系」の家電の場合、不使用の状態でコンセントにつながっているだけでも待機電力がかかります。

電気ポットに満タンの水2.2リットルを入れて沸騰させた場合、1.2リットル使用後に6時間保温状態にしたのと、プラグを抜いて保温せず後で再沸騰させて使用した場合とでは、後者のほうが年間約3,300円の節約になります([図表3]参照)。

 

炊飯器に関しては、ここでは「長時間、保温機能を使った場合」と、「炊いた後にすぐ冷凍して、食べるときに電子レンジで加熱する場合」で比較しました。この試算によると、電気代は前者では1回約6.05円であるのに対し、後者は差額は1回約5.21円と、差額は1円にも満たないので、節電効果としては低いものといえます([図表4]参照)。

ただし、電気代とは直接関係ないものの、炊飯器の保温機能で長時間保温し続けると水分が飛んで固くなるだけでなく、黄ばみが生じて見た目も悪くなります。味や見た目も考慮するなら、冷凍保存するほうがおすすめといえるでしょう。

このように、待機電力については、実は気にする必要がないものも多いのですが、これら「発熱系家電」の待機電力は意外と電気代に影響するので、意識したほうがいいでしょう。

キッチンは「節電」以外にも省エネの余地あり

最後に節電とは少し異なりますが、キッチン回りの省エネの話をしておきます。

食材を買い過ぎて使わずに捨てざるを得なくなるなど、あまりにもったいない行為が日常的になっている人もいるでしょう。

フードロスを出さないことも、立派に節約・省エネです。食材の買い置きは計画的に行いましょう。

■キッチン家電節電のPOINT

・純粋な「節電」のみで考えない

 ⇒ガス代や水道代込みで節約効果を試算する。

・電気ポットは保温せず再沸騰

 ⇒発熱系家電の待機電力は大きい。

・生ごみを“出さないこと”も節約・省エネ

 ⇒食材購入も計画的に。使いきれない量を買わないように心がけよう。

風呂内 亜矢

日本FP協会 評議員

1級ファイナンシャル・プランニング技能士

(※写真はイメージです/PIXTA)