ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!

【画像】今週のゴミトリビア

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先日、「中国・上海で2019年からゴミ分別がスタートした」という話を少ししました。調べてみたら、上海では分別スタートから1年足らずでゴミの"デジタル化"が進み、ゴミ袋のQRコードでどの家庭から出されたゴミか確認できたり、ゴミが多くなると自動的に業者に連絡がいったり、分別ができていない家庭にはメッセージが送信されたり、様々な技術が導入されているようです。

もちろんすべての集積場で導入されたわけではないようですが、日本中どこを探してもこんなシステムはありません。ゴミ分別を学べるアプリやカードゲームまであるそうです。

日本では様々な規制があり、新しく今までにないシステムの導入は他国より遅いイメージがあります。国によって事情が違うのは承知の上ですが、アフリカではドローンを使った荷物の配達が始まっていたりとか、どんどん新しいことが始まる国を見ていると羨ましい気持ちにもなります。

こういうゴミも中身が入っていると破裂して飛び散ります。中身を出してから捨ててください!
こういうゴミも中身が入っていると破裂して飛び散ります。中身を出してから捨ててください!

■海外の「ゴミ事情」

「国の事情」と言いましたが、国によって生活習慣も全く違います。インドではチャイを飲んだあと、器を洗う水がもったいという理由で飲んだ器を叩き割るそうです。日本にやってきたインドの方が、飲み終わったペットボトルを地面にたたきつけていた、という話を聞いたことがあります。長年の習慣が思わず出てしまったんでしょう。

僕がインドネシアで船に乗ったとき、船長がペットボトルをどんどん川に捨てていました。「なんでそんなことするの?」と聞いたら「川下にゴミを拾う人がいるから仕事を与えてあげてるんだ」と。ゴミを拾う人が本当にいるのかわかりませんが、これも地元の習慣ですよね。

ネパールの山岳地帯から日本に来ていた清掃員は、「地元ではそうだった」と言って谷を見つけるとそこへゴミをバシバシ捨てていました(笑)。

生まれたときからやっている習慣に疑問を持つことは難しいですよね。日本でゴミは当たり前のように燃やしていますけど、世界的にはゴミを燃やす国のほうが少ない、ということもあります。

■ゴミの先進国

世界的に見て、ゴミの一番の先進国といったらスウェーデンでしょう。出されたゴミの1パーセントしか埋め立てておらず、99パーセントはリサイクルされています。

スウェーデンのトイレには穴が2つあり、前の穴には小を、後ろの穴には大を流して、それぞれリサイクルしています。大はメタンガスが発生するからバスの燃料などに、小が流れた下水を使ってビールまで作られています。とにかくすべてのものがリサイクル前提で循環しているのです。

ゴミについては地域でも時代によっても感覚が違いますよね。昔の小説を読むと、東大生が食べ終わった弁当を電車の窓から捨てるシーンがあったりします。でも、その時代では誰もおかしいと思わなかったんですよね。

アルピニストの野口健さんは、「日本人が捨てていったゴミを何とかしてくれないか」と言われて見に行ったら、日本人が登頂記念に設置した記念碑だったそうです。

日本も最終的にスウェーデンのような循環社会になりたいところですが、システムが変わらないと難しいと思います。

でも、以前話した鹿児島県の大崎町の例を見ても、やってやれないことはないんですよね。ルールを変えて住民たちが一丸となれば、実現できることもたくさんあるんです。

今、日本の分別は世界的に優れていると言われていますが、あっという間に遅れを取らないように、みんなで頑張っていきましょう。

滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。
著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数
公式Twitter【@takizawa0914】

※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。

イラスト/北村ヂン

日本と海外では、ゴミの文化が違います