俳優の役所広司7月5日(水) 、東京・丸の内の日本外国特派員協会で行われた記者会見に出席し、福島第一原発事故を題材にしたNetflixシリーズ『THE DAYS』について語った。入念なリサーチに基づき、「あの日、あの場所で何があったのか」を、政府、会社組織、原発所内で事故に対峙する者たちという、異なる3つの視点から克明にとらえた全8話。主演の役所は、福島第一原発吉田昌郎所長を演じている。

役所は「生々しい記憶が残る中、ドラマ化して大丈夫だろうか不安もあったが、現場では『演じ過ぎない、エンターテインメントし過ぎない』ということを、みんなで心がけていた」と振り返り、「世界が混乱する中で、エネルギーは国民が結論を出さないといけない問題。ドラマを通して、もう1回考えてもらえれば」と作品の意義を強調した。

また、Netflixでの世界配信については、「内容的に、地上波では100%企画は通らないと思います」と断言し、「このドラマを伝えるのは、配信が一番自由度は高いし、思ったものを表現できると思う。表現の場は、非常に広がった」とその可能性にさらなる期待を寄せた。

会見に同席した増本淳プロデューサーは、「事故から12年が経ち、忘れかけている人や、当時は幼くて、はっきりと記憶がない若い世代も増えている。ぜひ、思い出してほしい、知ってほしいという思いで、果たすべき役割を考えた」と本作を手がけた理由を説明。「まだ、事故は収束していない」と強調し、「感情の押し付けをしないように心がけた。関心を持ってもらい、議論を活発にしてもらえれば」とアピールした。

フジテレビを退社し、本作をNetflixシリーズとして製作。「世界配信されるので、なぜ、日本人である自分が、これを作らなければいけないのか、意味や伝えるべきメッセージは何なのか。今まで以上に真剣に考えるようになりました」といい、「こういう事故を起こしてしまった責任に、最後まで向き合いたいんだというメッセージを伝えたい」と熱弁した。

取材・文・撮影:内田涼

<作品情報>
Netflixシリーズ『THE DAYS』(全8話)

Netflixで独占配信中

詳細はこちら:
https://www.netflix.com/title/81233755

左から)役所広司、増本淳プロデューサー