株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、代表取締役社長:林 新之助、 以下、デンソー)、アスクル株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:吉岡 晃)、エレコム株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:柴田 幸生)、タカラスタンダード株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:渡辺 岳夫)、三井倉庫ロジスティクス株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:鳥井 宏)、安田運輸株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:井上 薫)、大和ハウス工業株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:芳井 敬一)は、荷物を積載する荷台(コンテナ)部分を脱着できるスワップボディコンテナを用いた幹線中継輸送サービス「SLOC(Shuttle Line Of Communication)」の実証実験を2023年7月10日(月)から14日(金)まで、静岡県浜松市埼玉県坂戸市を中継地点とし、関東・関西間にて実施します。

 なお、本実証では、ドライバーが行う輸送作業と荷物の積み降ろしなどの荷役作業を切り分け、荷主が荷役作業を行う「荷役分離」や、異業種による複数の荷物を同じコンテナに積載する「混載輸送」も行います。

■背景となる物流業界の課題
 物流業界では、ドライバーの長時間労働が深刻化しており、荷物の積み降ろしのために待機する「荷待ち」時間も要因のひとつといわれています。さらに、長距離ドライバーの場合は長時間の運転に加え宿泊が伴うため、長い拘束時間が問題となっています。またドライバーは運転だけでなく、荷役作業を担うため、身体への負担が大きいことも問題となっています。こういった拘束時間の長さや身体的負担の大きさは、ドライバー不足にもつながっています。

1運行の拘束時間とその内訳

出典:国土交通省トラック輸送状況の実態調査(令和3年)
 このような状況を背景に、2024年4月から働き方改革関連法により、自動車の運転業務について時間外労働の上限規制が適用されます。これによりドライバーの労働環境が改善する一方で、ドライバー不足のほか、今後国内でトラック輸送している荷物の約1/4を運ぶことができなくなる(※1)と考えられており、「2024年問題」と呼ばれています。
 こうした問題の解決に、幹線中継輸送が注目されています。幹線中継輸送は、一つの行程に中継地点を設け、複数のドライバーで交代しながら輸送する仕組みです。ドライバー一人当たりの拘束時間が短縮されるとともに、荷主は労働環境を守りつつ、荷物を目的地に運ぶことができると期待されています。
SLOCとは
 SLOCは、荷物を積載する荷台(コンテナ)部分が脱着できるスワップボディコンテナ車両を活用するとともに、QRコード(※2)を使ったコンテナ管理システムを導入することで、複数の荷主と複数の運送業者によって荷物を運ぶ新しい輸送形態です。
 スワップボディコンテナ車両を用いることで、中継地点でコンテナを分離し、指定されたコンテナに載せ替えて目的地に輸送することができます。トラックの乗り換えや荷物の積み降ろしがないため、トラック同士が待ち合わせる必要がなく、柔軟な運行スケジュールを立案でき、長距離運行を日帰り運行にすることが可能となります。また、コンテナを分離できるという特長を活かし、荷主が荷物の積み降ろしを行う「荷役分離」や、異なる荷主が同じコンテナに荷物を積載する「混載輸送」も容易になります。
 日帰り運行や荷役分離が実現することにより、若手・女性・高齢者など様々なドライバーの活躍が期待できます。

■実証の概要
 本実証は、ドライバーの労働環境改善と輸送効率向上を目指し、スケジュール通りに運行できるか、ドライバーによるコンテナの脱着オペレーションがスムーズに行われるかなど、社会実装に向けた課題の抽出を行います。

期間:2023年7月10日(月)から14日(金)
主な検証項目:
・1日6便(関西発3便/日、関東発3便/日)を運行し、事前に合意したスケジュール通りに運行できるかの検証
・中継地点に複数台のコンテナが置かれた場合でも、ドライバーが間違えずに脱着できるオペレーションの確認と課題の検証
・ スマートフォンとQRコードを活用したコンテナ管理システムの利便性確認
・ 複数荷主の貨物を混載輸送した場合の役割分担や責任区分の確認と課題の検証
SLOCの流れ(イメージ)
スワップボディコンテナの交換の様子
参加企業と役割:
荷主
企業名:アスクル株式会社、エレコム株式会社、タカラスタンダード株式会社、三井倉庫ロジスティクス株式会社
荷主および混載作業
企業名:安田運輸株式会社
中継地点(マルチテナント物流施設「DPL坂戸II」)提供
企業名:大和ハウス工業株式会社
コーディネータ―(運行スケジュール立案など実証実験取りまとめ)
企業名:株式会社デンソー

運送協力企業:
アートバンライン株式会社、遠州トラック株式会社、高伸物流株式会社、トランコム株式会社、フジトランスポート株式会社、株式会社優輪商事

※1.公益社団法人日本ロジスティクス システム協会 「ロジスティクスコンセプト2030」より。
※2.QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

<各社のコメント>
株式会社デンソー
 デンソーは、「環境」と「安心」分野における提供価値の最大化を通じ、人々の笑顔があふれる幸福循環社会の実現に取り組んでいます。業種を超えた多くの荷主企業の皆さまとともに、SLOCの社会実装に挑戦し、働く人の労働環境を改善しながら、荷物を待つ生活者に荷物を届ける「安心」な物流と、輸送効率の向上によるCO2削減で「環境」に優しい物流を目指します。また、将来的には、人・モノ・時間の最適化に向けて、量子コンピューティングや高度運転支援技術を活用し、物流全体の自動化を推進していきます。
企業HP:https://www.denso.com/jp/ja/

アスクル株式会社
 当社は2020年に定めたパーパス(存在意義)『仕事場とくらしと地球の明日(あす)に「うれしい」 を届け続ける。』に基づき、さまざまなステークホルダーと共創し、荷主の立場から様々な社会課題への対応をすすめ、サステナブルなEC物流の実現を目指しています。これまでも、荷待ち時間の削減や荷量の平準化など、物流環境の改善に取り組んでまいりましたが、本実証実験への参加を通じて中継輸送/共同輸送の可能性を模索し、今後も物流業界の皆様と共に、持続可能な物流網の構築と働き手の環境改善に努めてまいります。
企業HP:https://www.askul.co.jp/corp/

エレコム株式会社
 当社は、IT周辺関連製品の開発、製造、販売を行っており、現在東西の2拠点で物流センターを運営しています。そのため、物流業界が抱える2024年問題に対して非常に強い危機感を抱いている一方で、当然のことながら1社のみの取り組みでは解決できない問題だと認識しています。この度、幹線中継輸送サービス「SLOC」の実証実験に荷主の立場で参加させていただきますが、ここで得られた知見やノウハウを業界内でシェアリングすることで、物流業界全体の最適化に取り組みたいと考えています。
企業HP:https://www.elecom.co.jp/

タカラスタンダード株式会社
 今後、物流業界の2024年問題をきっかけに、全国的な輸配送能力不足が予想される中、当社も荷主企業として、輸配送を効率的に行うさまざまな手段の有効活用が必須と認識しています。現在、入出庫業務の高回転化を目指した設備導入によるトラック待機時間の短縮や、輸配送能力に合わせた出荷量平準化の他、運送事業者様のご協力の下、船や鉄道へのモーダルシフトなども含めた輸配送の多様化による対応力強化を進めています。今回の幹線中継輸送サービス「SLOC」の実証実験も貴重な経験とし、多様化をさらに進めてまいります。
企業HP:https://www.takara-standard.co.jp/

三井倉庫ロジスティクス株式会社
 弊社三井倉庫ロジスティクスを含む三井倉庫グループは、物流を通じてお客様のサプライチェーンサステナビリティの実現を支援する新たなサービス(三井倉庫SustainaLink)を展開しており、環境リスク・労働力リスク・災害リスクに対応した幅広いメニューを提供しております。
 本実証実験は、企業や業界の枠を超えての輸送最適化とドライバー労働負荷軽減の実現に向けた挑戦となります。今後更にAIやロボティクスなどの新たなテクノロジーの導入による輸送の最適化や自動化に取り組み、物流という社会インフラの安定化に貢献していきます。
企業HP:https://www.mitsui-soko.com/company/group/msl/

安田運輸株式会社
 安田倉庫グループは、「健全な企業活動を通じて、お客様、株主、従業員、地域社会の期待に応え豊かさと夢を実現する。」という経営理念のもと、「高品質で安全なサービスの提供による最適な社会環境の創造」、「多様な人材がゆとりと豊かさを体現できる職場の実現」という重要課題(マテリアリティ)に取り組んでおります。
 グループの一員である安田運輸は幹線中継輸送サービス「SLOC」の実証実験参加を通じ、持続可能な輸送サービスの構築やドライバーにとって働きやすい環境の更なる整備を目指してまいります。
企業HP:https://ytsc.co.jp/

大和ハウス工業株式会社
 当社は、全国にわたる営業ネットワークと開発実績を活かして、中継輸送に適した土地の選定や先進的物流施設の仕様を取り入れ、お客さまのニーズに応じた物流施設開発を進めています。また、2024年問題におけるトラックドライバー等の人材不足への対応として、ダイワロジテックをはじめとするグループ会社およびパートナー企業とともに、物流業務の作業効率化、ロボットの活用による省人化やサプライチェーン全体の効率化・省エネ化にも取り組んでいます。今後も、物流DXや総合的なコンサルティング力を活用することで、物流業界全体の課題解決を目指してまいります。
企業HP:https://www.daiwahouse.co.jp/

【ご参考】
幹線中継輸送サービス「SLOC」の取り組みについて、デンソーウェブサイトDRIVEN BASEにて記事を掲載しています。ぜひご覧ください。
https://www.denso.com/jp/ja/driven-base/project/sloc/

配信元企業:大和ハウス工業株式会社

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