南アフリカの首都ケープタウンでは冬を迎え、風が強い日が続いている。しかし日中は晴れると過ごしやすい状況であり、学校が長期の休みということもあって多くの観光客が訪れている。そんな中、観光客に人気のタンデムパラグライダーによる死亡事故が発生した。ケープタウンでパラグライダーによる初の死亡事故だったことと、被害者の息子がワールドラグビー出場選手ということもあって、注目を集めた。南アフリカのニュースメディア『IOL』などが伝えた。

7月3日午後、南アフリカのケープタウンでパラグライダー同士が空中で衝突する事故が発生し、乗客の1人が死亡した。タンデムパラグライダーは2人乗り用のハーネスを装着し、インストラクターの操縦でテーブルマウンテン、またはライオンズヘッドから海へ向かう上空を滑走する。乗客は特別な技術を必要とせず、ケープタウンの海と山、両方の景色を存分に堪能できるため、観光客に人気のアトラクションだ。

そのタンデムパラグライダーが空中で衝突したが、追突した2機のうち1機は無事に着陸し、インストラクターと乗客に怪我はなかった。もう1機は予備パラシュートを展開したが、着地予定だった海沿いの広場を越え、沖合約200~300メートルの波打ち際に着水したようだ。操縦していたインストラクターは軽傷で済んだが、乗客の男性は波に洗われた岩の上にいた。南アフリカ海難救助隊(NSRI)のレスキューチームや救急隊員が男性のもとに向かい、ハーネスなどを取り外して救命措置を行ったが、その場で死亡が確認された。

亡くなった男性は、アイルランド人のグレイグオリバーさん(Greig Oliver、58)だった。グレイグさんは元スコットランド代表のラグビー選手で、2011年以降はアイルランドラグビー・クラブ「マンスター・ラグビー(Munster Rugby)」が主催する「マンスター・ラグビーアカデミー」で、プロとして活躍できるエリート選手を育成指導する立場にいた。

グレイグさんは、6月24日から開催されている「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ」に出場する息子を応援するため、妻とケープタウンに滞在していた。またラグビーチーム「マンスター」は、今年の5月にアイルランドウェールズスコットランドイタリア南アフリカのプロクラブチームが競う「ユナイテッドラグビーチャンピオンシップ(URC)」で見事優勝したが、その決勝が行われたのもケープタウンで、グレイグさんが亡くなった場所に近いスタジアムであった。

マンスター・ラグビーの最高経営責任者であるイアン・フラナガン氏(Ian Flanagan)は、グレイグさんの訃報を受け「マンスター・ラグビーを代表して、グレイグの妻フィオナさん、息子のジャックさん、娘のシアラさん、そしてオリバー家のご家族に深い哀悼の意を表します」とコメントを発表した。そしてグレイグさんについて「彼はラグビーに対する熱意を持ち、若い選手たちがフィールドの内外で最高の力を発揮できるよう支援することに、並々ならぬ情熱を注いでいました」と述べ、マンスターやアイルランドラグビー界にとっても「大きな損失である」とショックを受けていた。

画像は『IOL 2023年7月4日付「WATCH: Irish paraglider dies and crashes into icy Sea Point waters after mid-air crash」(Picture: Armand Hough/African News Agency(ANA))』『Munster Rugby 2023年7月4日付Twitter「Shocked & deeply saddened by the sudden passing of our close friend & colleague Greig Oliver.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN

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