6月25日、小学4年生から6年生を対象としたフットサル大会「EXILE CUP 2023」の関東大会が、千葉県千葉市のフクダ電子フィールドで開催された。2010年にスタートしたEXILE CUPは、2020年から2022年まで新型コロナウイルス感染症拡大の影響で開催を自粛。本年度は4年ぶり11回目の開催となる。全国9地区10会場で予選大会を行い、各会場の優勝チームが愛媛県今治市で行われる決勝大会に進出する。関東大会は計52チームが集まる激戦区だ。

 大会にはFANTASTICS from EXILE TRIBEの澤本夏輝さんと堀夏喜さん、Lucky²から山口莉愛さん、杉浦優來さん、永山椿さん、深澤日彩さん、比嘉優和さん、上村梨々香さん、森朱里さん、佐藤妃希さんがゲストとして参加。開会式では澤本さんとLucky²のリーダー杉浦さんが挨拶に立ち、「試合には勝ち負けがありますが、悔いなく最高の思い出を作ってください!」(澤本さん)、「今日は皆さんの試合を見られるのがすごく楽しみです。一緒に頑張りましょう!」(杉浦さん)と、子どもたちに激励の言葉を掛けた。

 その後、EXPG STUDIOに所属するEPIインストラクターのMayukaさんが登場し、大会に参加する選手たち全員でウォーミングアップ。EXILE TETSUYAさん監修のもと、日本サッカー協会が開発した「クラッキ!ダンス」でリズムに合わせて体をほぐすと、いよいよ予選リーグがスタートした。4チームずつ13ブロックに別れた予選リーグは、各ブロック1位の13チームと、2位の成績上位3チームが決勝トーナメントに進出する。

 サッカーを主戦場とする参加チームが多かったものの、過去大会と比較すると、フットサルらしい戦い方を取り入れたチームが増えたようだ。セットプレーから果敢にミドルシュートを狙ったり、素早い攻守の切り替えを意識しているチームが目立った。

 予選リーグで印象的なプレーを見せたのは、F.S.オーガ市川市)だ。いくつものフットサル大会で好成績を残しているF.S.オーガは、優れた個人技をベースに丁寧なパスワークから積極的にシュートを狙う見事なプレーを披露。2戦目のSUERTE FC(茅ヶ崎市)戦こそ1-3で敗れたが、残り2試合を17-0、11-0と圧倒的な攻撃力で勝利し、決勝トーナメントへ進出した。

 他のブロックでは、やはり強豪チームが地力の高さを見せつけた。2018年の決勝大会で準優勝の実績があるP.S.T.C.LONDORINA UM(足柄上郡)とP.S.T.C.LONDORINA DOIS(足柄上郡)の兄弟チームは、それぞれHブロックとEブロックを首位通過。Kブロックでは地元Jリーグクラブの下部組織であるジェフ千葉エリートプログラム(千葉市)、Lブロックではペラーダジュニアーズ(三郷市)がともに3連勝で予選リーグを突破と、実績のあるチームが順当に決勝トーナメントに駒を進めた。

 予選終了後に行われた決勝トーナメントの組み合わせ抽選会では、澤本夏輝さんと堀夏喜さんのサイン入りミニボールがプレゼントされた。ひと時のリラックスタイムを経て、16チームによる決勝トーナメントがスタート。決勝トーナメント1回戦ではジェフ千葉エリートプログラムがペラーダジュニアーズのU11チームであるペラーダグリーン三郷市)と対戦した。試合はジェフ千葉エリートプログラムが先制し、ペラーダグリーンがカウンターから追いつく展開。最後はPK戦の末にジェフ千葉エリートプログラムが3-1で勝利した。ジェフ千葉エリートプログラムは準々決勝でGrandFootballClub(日野市)を、準決勝ではペラーダジュニアーズを破って決勝に進出した。

 決勝に進んだもう1チームは、予選リーグで最多33得点を記録したP.S.T.C.LONDORINA UMだった。ピヴォの椛沢桜太郎(おうたろう)くんを軸に攻撃を展開し、時にはGKも前線に配置するパワープレーで数的優位を作りながら得点を量産。決勝トーナメント1回戦でVESPAS FC(春日部市)を4-0で下すと、準々決勝のF.S.オーガ戦では上村碧くんの華麗な得点で勝利。準決勝ではSUERTE FCに2-1の僅差で競り勝ち、決勝へ進んだ。

 決勝はハイレベルな大会の頂点を競うにふさわしい熱戦となった。先行したのはジェフ千葉エリートプログラム。佐々木晟瑠(せいる)くんが切れ味鋭いキックフェイントで左サイドを突破すると、逆サイドから走り込んだ谷東磨(とうま)くんが押し込む。P.S.T.C.LONDORINA UMのパワープレーにも、熊田隆太くんを中心とした安定感ある守備でゴールを与えない。逆に石田脩汰(しゅうた)くんが前方に飛び出していたGKの頭上を超える見事なロングシュートを決めてリードを広げた。後半はP.S.T.C.LONDORINA UMも積極的に攻勢に出て、開始早々に椛沢桜太郎くんが得点を奪うも、最後はジェフ千葉エリートプログラムのキャプテン中尾太智くんがボール奪取から華麗なミドル弾でダメ押し。初めて関東代表の座をつかみ取った。

 表彰式にはジェフユナイテッド千葉の新明龍太選手と矢口駿太郎選手がプレゼンターとして参加。「うれしい人も悔しい人もいると思いますが、これからもチャレンジしてサッカーを楽しんでください」(矢口選手)と子どもたちの健闘をたたえた。

「普段は別々のチームで活動している選手たちですが、キャプテンを中心として試合を重ねるごとに成長していきました。ジェフエリートプログラムが掲げるコンセプトをベースにしつつ、対戦相手を見ながらフットサルの動きを学んでいけた。大会を通じて、子どもたちが考えながらチーム力を伸ばせたことは素晴らしいと感じました」。優勝したジェフ千葉エリートプログラムの菅原幸輝監督は、そう選手たちをねぎらった。確かに、ジェフ千葉エリートプログラム選手たちは大会を通じてピヴォを起点とした新たな攻撃のバリエーションを取り入れ、試合中もお互いに声を出し合って連係面について確認していた。その姿からはスキルや戦術以上に、選手たちの人間性やメンタリティの高さが感じられた。「今日始めて一緒にプレーをするチームメイトもいましたけど、それぞれの特長を生かせるようにプレーしました。チーム全体で協力できたことが、優勝の要因だと思います」。キャプテンの中尾太智くんも、チームの成長を勝因に挙げた。

「しっかり練習に取り組みながら、チームとして、一人のプレーヤーとして成長する。それをチーム力にして戦っていければ、僕らにとっていい大会になると思います」。菅原監督がそう語れば、中尾くんも「またみんなで最高のチームを作りたい。チーム全員で協力して、全国大会でも優勝できるように頑張りたい」と同じ目線で力強く語ってくれた。全国の舞台でも、関東代表ジェフ千葉エリートプログラムの進化は止まらない。

文=武藤 仁史 写真=兼子 愼一郎

XILE CUP 2023 関東大会を制したジェフ千葉エリートプログラム [写真]=兼子 愼一郎