アトレティコ・マドリードへの移籍が決定したスペイン代表DFセサル・アスピリクエタが、チェルシーファンに別れのメッセージを送った。

 現在33歳のアスピリクエタはオサスナの下部組織出身で2010年にマルセイユへ移籍後、2012年8月からチェルシープレープレミアリーグチャンピオンズリーグ(CL)、ヨーリッパリーグ(EL)、FIFAクラブワールドカップなどで優勝を経験するなど、同クラブ史上初めてすべての主要タイトルを獲得した選手にもなった。

 今年1月には元チェコ代表GKペトル・チェフ氏が記録していたチェルシーにおける外国籍選手の最多出場記録を更新したほか、クラブ史上6人目となる500試合出場も達成した。2022-23シーズンはベンチに座る機会も増えたが、公式戦32試合に出場。クラブ通算では公式戦508試合出場で17ゴール56アシストを記録し、9つのタイトルを獲得した。

 昨夏にはバルセロナへの移籍の可能性も浮上していたアスピリクエタだが、ドイツ代表DFアントニオ・リュディガー(レアル・マドリード)とデンマーク代表DFアンドレアス・クリステンセン(バルセロナ)がフリーで退団したことで、チェルシーは守備陣が手薄に。そのような状況から、所属していた選手の中で最古参で2019-20シーズンから主将を務めていたアスピリクエタは残留を受け入れ、昨年8月に契約を2024年6月30日まで延長した。

 そんなアスピリクエタだが、ベンチに座る機会が増えたことで今夏に再び退団の可能性が浮上。当初はインテルから関心が寄せられ、同選手も前向きになっていることも報じられていたが、アトレティコ・マドリードからも関心が示されたことで同選手は母国のクラブへの移籍を決断。なお、チェルシーとの現行契約は来夏までとなっていたものの、長年クラブに貢献してきたことに敬意を示し、チェルシーは移籍金を求めず、契約を解除してフリーでのアトレティコ・マドリード移籍となった。

 11年過ごしたチェルシー退団が決定したアスピリクエタはクラブ公式のインタビューに応じ、「自分の気持ちを言葉で表現することは難しい。これは信じられないものになった。ただ、みんなに感謝している。なぜなら、多くの人の助けなしではこれは起こり得なかったからだ。なんという旅だっただろう」と涙ながらに感謝を語った。

「ここは僕の家であり、いつかまたここでみんなと会えることを願っている。彼らが毎回僕に示してくれた愛は本当に誇りに思っていることであり、この関係を永遠に維持できることを願っている」

「11年過ごしたチェルシーを離れることになった。今日、ここにいる自分を想像できなかったが、本当にありがとう。ピッチの中でも外でも、このバッジを守ることができたのは誇りだ。これは僕の人生そのものになった。信じられないような思い出もたくさんある。ピッチの中だけではなく、僕と妻の下には3人の可愛い子どもも生まれた」

ピッチ上で、チームメイトやスタッフ、監督たちと共有してきたすべての瞬間は信じられないものだ。初めて(スタンフォード・)ブリッジでファンに紹介された時、そして最後の試合を考えるとなんという旅だったんだろう。このクラブのキャプテンを務めるなんて想像してもいなかった。すべてを捧げた気がする。愛しているし、とても楽しかった」

「信じられないような思い出も共有できた。ここに来た瞬間から、愛を示してくれて、サポートしてくれた。僕がここに来た時はチャンピオンズリーグ優勝チームだった。ロッカールームにはクラブのレジェンドと、サッカー界のレジェンドばかりだった。自分の場所を確保するためには一生懸命努力しなければならないと思った」

「今でも最初の試合のことは覚えている。ここではなく、U-23チームのアカデミーピッチだった。それもここでプレーするために、自分がどれほど努力しなきゃいけないのか、気づかせてくれたことだった」

「キャリアで最高の瞬間を選べと言われたら、結構明らかだと思うけど、ポルトでのチャンピオンズリーグ優勝だ。ヨーロッパの王者となったが、キャプテンになってから初のタイトル獲得でもあった。そこにたどり着くためにたくさんの人が多くの努力をした」

「最初にトレーニング場に来た時に壁にあるすべてのトロフィーを見た。そこにいたいと思ったし、このクラブの歴史の一つになりたいと思った。クラブを助けたかったし、誇りに思っていることでもある。決勝で負けたりする厳しい瞬間もあり、トロフィー獲得まで目前に迫っていたことはとても心苦しいことでもある。だから、クラブの歴史になるような瞬間の一部になれたことは誇りに思っている」

「僕にとってクラブや新しいオーナーと良好な関係を築くことはとても需要だ。正直な話し合いをして、敬意を示してくれた彼らにはとても感謝している。チェルシーは僕の家だ。これからもそうだ。いつの日か違う役割としてここに戻ってくることを期待している。このクラブ、スタッフ、ファンは最高なものに値しているし、来シーズンは目標が達成できるようにみんなの幸運を祈っている」

 そして、最後に「たくさんのことを言いたいけど、簡潔に伝えたいと思う」と改めて感謝を口にしながら、チェルシーファンにメッセージを送った。

「このクラブの一員である限り、全力を尽くすように伝えたい。それがチェルシーの一員になるために学んだことだ。要求されるレベルは本当に高く、クラブやファンへのコミットメントは毎日で、他の道を選びたくなるほど厳しい時期でさえ続くものだ。そういった時こそ、クラブの強さと魂を集結してみんなで同じ方向に向かって進んでいくことを示さなければならない。チェルシーがいるべき場所に戻ってくることは知っている」

「ファンのみんなには、ここに来た瞬間から与えてくれた愛やサポートをすべて返そうとしてきた。初日からデイブと呼ばれ、何を意味するのかわからなかったが、すぐに繋がりを感じることができた。ピッチ上でもピッチ外でもこの関係はかけがえのないもので、永遠に続いていくだろう」

「いつの日かここに戻ってきて、みんなにはきちんとお別れを言うことができれば幸いだ。愛するチーム、クラブをサポートし続けてください。みんなはこのクラブの魂だ。このまま前進してください。みんなを愛している」

【動画】アスピリクエタが惜別のメッセージ

チェルシーを退団したアスピリクエタ(写真は2021年5月のもの) [写真]=Getty Images